ジョジョの奇妙な冒険 第3部「スターダストクルセイダーズ」。個性豊かな刺客が次々と承太郎一行を襲いますが、その中でも「精神的なエグさ」と「外見のギャップ」で読者に強烈なトラウマとインパクトを残したのがネーナです。
「え、あの美少女が……?」と絶望したファンも多いはず。今回は、DIOの刺客であるネーナの正体から、寄生型スタンド「女帝(エンプレス)」の恐ろしさ、そして策士ジョセフ・ジョースターによる伝説的な決着までを徹底的に掘り下げていきます。
ホル・ホースに愛された(?)悲劇の美少女ネーナの初登場
インドのカルカッタ。喧騒の中でホル・ホースに詰め寄り、「行かないで!」と泣きつく可憐な少女。それがネーナの初登場でした。
長い髪に整った顔立ち。誰もが「物語のヒロインか、あるいは巻き込まれ型の一般人」だと思ったことでしょう。特にポルナレフは彼女の美しさに一目惚れし、デレデレ。読者も「ホル・ホース、なんてひどい男なんだ」とネーナに同情の眼差しを向けました。
しかし、これこそが彼女の計算。ネーナは単なる恋する乙女ではなく、DIOから多額の報酬を約束された冷酷な暗殺者だったのです。
彼女の目的は、承太郎一行の足止め、そして抹殺。そのために自らの血をジョセフ・ジョースターの腕に付着させることから、悪夢のような戦いが始まります。
スタンド「女帝(エンプレス)」の能力:じわじわ追い詰める寄生の恐怖
ネーナのスタンド「女帝(エンプレス)」は、タロットカードの4番目「女帝」を暗示しています。このスタンド、ジョジョ史上でも屈指の「嫌らしさ」を誇る寄生型です。
- 発現のきっかけは一滴の血ネーナはわざと自分の腕を切り、その血をジョセフの腕に浴びせました。この「血液」がスタンドの種となります。
- 成長する人面疽(じんめんそ)ジョセフの腕にできた小さなイボ。それが次第に大きくなり、目、鼻、口が形成され、やがてはっきりとした「顔」になります。しかもこのスタンド、意思を持って喋ります。「ウヒヒヒ」という下品な笑い声とともに宿主を精神的に追い詰めるのです。
- 肉体を喰らって巨大化する女帝は宿主のエネルギーを吸収して成長します。最初はただのデキモノでしたが、次第に腕が生え、胴体ができ、ジョセフの腕の上で独立した一個体として完成されていきます。
この能力の最も恐ろしい点は、「周囲にバレにくい」ことです。一般人から見れば、ただのひどい腫れ物にしか見えません。助けを呼ぼうにも、医者に行けば「手術で取り除ける」と誤解され、返り討ちに遭うだけ。孤独な戦いを強いる、暗殺に特化した能力と言えるでしょう。
自身の肉体さえも造形する「擬態」の真実
物語の中盤、驚愕の事実が判明します。私たちが「ネーナ」だと思っていたあの美しい姿自体が、実はスタンド能力による「偽り」だったのです。
ネーナの本来の姿は、お世辞にも美しいとは言えない、小太りで醜悪な容姿。彼女は自身のスタンド「女帝」を体全体に薄く張り巡らせることで、理想的な美女の姿を形作っていました。
いわば、スタンドによる究極の「特殊メイク」です。
ホル・ホースが彼女を「世界一のレディ」と呼んで口説いていたのは、彼が彼女の正体を知っていたからなのか、それとも単に女なら誰でも口説く性質だったからなのか。どちらにせよ、ネーナはその言葉を拠り所にし、DIOへの忠誠を誓っていました。
ジョジョの世界には、後に第4部でジョジョの奇妙な冒険 第4部に登場する辻彩の「シンデレラ」という、容姿を変えるスタンドが登場します。しかし、ネーナの場合は自身の肉体を「肉腫」で覆い隠すという、より強引で執念深い手法をとっていたのが特徴です。
策士ジョセフ・ジョースター対女帝:逆転のロジック
ジョセフの腕の上で成長しきった女帝は、ついに牙を剥きます。ジョセフの首を絞め、その怪力で圧倒。2部の主人公であり、波紋の達人であるジョセフも、老いと特殊な寄生能力に大苦戦を強いられます。
女帝は勝ち誇り、ジョセフを嘲笑います。しかし、ここでジョセフ・ジョースターという男の真価が発揮されます。
ジョセフは近くにあった「コールタールの樽」に腕を突っ込みました。女帝は「熱い!何を考えてるんだ!」と叫びますが、これはジョセフの計算通り。
- 動きを封じる: 冷えて固まるコールタールの性質を利用し、女帝の物理的な動きを制限した。
- スタンドの特性を利用: 「スタンドはスタンドでしか倒せない」というルールに基づき、自身のスタンド「隠者の紫(ハーミットパープル)」をコールタールの中に潜り込ませ、女帝を内側からがんじがらめにした。
最後は、ジョセフの代名詞とも言える「おまえの次のセリフは……」が決まります。
「う、動けない!このコールタールをどうにかしなきゃ!」
女帝がそう叫んだ瞬間、ジョセフのハーミットパープルが女帝を粉砕。本体とスタンドが直結しているジョジョの法則通り、離れた場所にいたネーナ本体もまた、無残に破裂することとなりました。
最後が悲惨と言われる理由:美しさの崩壊と孤独な死
ネーナの最期がなぜここまで読者の印象に残るのか。それは、彼女が守り続けてきた「美しさ」が無残に剥がれ落ちたからです。
ジョセフが女帝を倒した瞬間、ネーナの擬態は解けました。
それまで「可憐な美少女」として振る舞っていた彼女が、実際には地面に転がる醜い姿であったことがポルナレフたちの前で露呈します。
彼女は死の間際までホル・ホースに助けを求めていたのかもしれませんが、利用されるだけ利用され、最後は誰に看取られることもなく、ただの「刺客の一人」として処理されました。
そのあまりの落差と、隠していたコンプレックスを白日の下に晒される屈辱。肉体的な死以上に、精神的なプライドを完膚なきまでに叩き潰されたことが、彼女の最後を「悲惨」たらしめています。
まとめ:ジョジョのネーナとスタンド「女帝」が残したもの
ネーナとの戦いは、第3部におけるジョセフ・ジョースターの数少ない単独戦闘シーンであり、彼の知略が光る名エピソードです。
ジョジョの奇妙な冒険 第3部 カラー版で改めて読み返すと、彼女の表情の変化や、女帝が成長していく過程の不気味さがより鮮明に伝わってきます。
単なる「敵」として片付けるには惜しいほど、執念と悲哀に満ちたキャラクター、ネーナ。彼女の存在は、ジョジョという作品が持つ「表裏一体の恐怖」を見事に体現していました。
美しさは皮一枚の幻想に過ぎない。その裏側に潜む醜い本性と、それを打ち破る老練な知恵。**ジョジョのネーナとスタンド「女帝」を徹底解説!正体や能力、最後が悲惨な理由は?**というテーマで振り返ってみると、改めて荒木飛呂彦先生の描くサスペンスの深さを実感せずにはいられません。

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