『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』に登場する敵キャラクターの中で、読者の心に最も強烈な爪痕を残したコンビといえば、暗殺チームのプロシュート兄貴とペッシではないでしょうか。
物語序盤のペッシは、お世辞にも「強敵」とは呼べない風貌と性格でした。しかし、ネアポリス駅からの列車内での死闘を経て、彼は作中屈指の「スゴ味」を見せる戦士へと変貌を遂げます。
なぜ、臆病な「マンモーニ(ママっ子)」だったペッシがあれほどの覚悟を決められたのか。そして、彼を導いたプロシュート兄貴との絆には何があったのか。今回は、ペッシの成長の軌跡と、今なお語り継がれる名言の数々を徹底的に考察していきます。
1. 初登場時のペッシ:自信なき「マンモーニ」の実態
物語に登場したばかりのペッシは、暗殺者としての適性を疑いたくなるほど精神的に未熟でした。
ジョジョの世界において「精神の形」とされるスタンド能力を持ちながら、彼は自分の力に自信が持てず、常に周囲の顔色を窺っていました。指を噛む癖や、困難に直面した際にすぐプロシュート兄貴に泣きつく姿は、まさに「マンモーニ」そのものです。
しかし、プロシュート兄貴だけは、ペッシの内側に眠る「才能」を見抜いていました。
彼はペッシを突き放すのではなく、時に厳しく、時に諭すようにプロの暗殺者としての心構えを説き続けます。この段階のペッシにとって、兄貴は単なるリーダーではなく、絶対的な依存対象であり、超えるべき高い壁でもありました。
2. プロシュート兄貴が授けた「真の覚悟」とは
ペッシを語る上で欠かせないのが、プロシュート兄貴による熱血指導(暗殺者流)です。
有名な「『ぶっ殺す』と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!」というセリフは、読者の間でも伝説的な名言として知られています。これは単なる精神論ではなく、「決意した瞬間に結果を引き寄せる」という、この過酷な世界で生き残るための鉄則でした。
プロシュート兄貴は、言葉だけで教育したわけではありません。
自らが瀕死の重傷を負い、列車の車輪に巻き込まれそうになりながらも、スタンド能力「ザ・グレイトフル・デッド」を解除せずに維持し続けたその背中。命を賭して目的を遂行しようとする「行動」こそが、ペッシの眠っていた本能を呼び覚ます鍵となったのです。
3. スタンド「ビーチ・ボーイ」の真価と恐ろしさ
ペッシのスタンド「ビーチ・ボーイ」は、一見するとただの釣り竿です。しかし、使い手の精神が成長した瞬間、この能力は回避不能の必殺技へと昇華しました。
このスタンドの最大の特徴は、壁や人体を透過して「標的の心臓」をダイレクトに釣り上げることができる点にあります。さらに、糸に触れた者の振動や殺気を敏感に察知し、攻撃を加えようものならそのダメージを相手に反射するという、攻防一体の特性を持っています。
覚醒したペッシは、ブチャラティのわずかな呼吸の乱れや、微かな殺気すらも糸を通じて感知しました。
「獲物がどこにいて、何を考えているか」を正確に把握するその姿は、まさに深海のハンター。派手な破壊力はありませんが、暗殺という目的においては、これほど合理的で恐ろしい能力は他に類を見ません。
4. 覚醒の瞬間:言葉ではなく心で理解した「スゴ味」
プロシュート兄貴が力尽きようとするその時、ペッシの瞳から光が消え、代わりに鋭い「殺気」が宿ります。
「兄貴の覚悟が!『言葉』でなく『心』で理解できた!」
この瞬間、ペッシは依存していた自分を捨て、一人の自立した暗殺者へと変貌しました。10年も修羅場を潜り抜けてきたような冷静沈着さと、目的遂行のためなら手段を選ばない冷酷さ。
この精神的飛躍こそが、第5部のテーマの一つである「運命に立ち向かう意志」の負の側面としての結実でした。ブチャラティですら、ペッシの変わりようを見て「こいつはヤバイ」と直感するほどの変貌ぶりです。
5. ブチャラティとの決戦と「ゲス野郎」の烙印
ペッシの成長は目覚ましいものでしたが、最終的にブチャラティとの勝負に敗れます。その理由は、二人が抱く「覚悟」の質の決定的な違いにありました。
窮地に陥ったペッシは、ブチャラティを確実に仕留めるために、車内に残されたトリッシュや亀の中の仲間を道連れにしようと画策します。この「弱者を巻き込む判断」が、ブチャラティの逆鱗に触れました。
ブチャラティは、自らの命を投げ出す覚悟を持ちつつも、決して誇りを捨てない気高い戦士です。一方で、ペッシの覚悟は「目的のためなら何でもやる」という、独りよがりの残酷さへと転んでしまいました。
「おまえは……『成長』したんじゃあないッ!『ゲス』になったんだッ!」
この一喝は、ペッシという男の悲劇的な結末を象徴しています。兄貴の意志を継ぎながらも、その根底にある「高潔な魂」までは受け継ぐことができなかった。それが、彼が「真の勝者」になれなかった最大の要因だったのかもしれません。
6. ペッシとプロシュート兄貴が遺したファンへの衝撃
暗殺チームのメンバーは、全員が悲惨な末路を辿ります。しかし、ペッシとプロシュート兄貴の最期は、敵役でありながら「美学」すら感じさせるものでした。
読者がこの二人に惹かれるのは、彼らが単なる記号的な悪役ではなく、泥臭いまでの信頼関係と、己の信念に殉じる姿を見せたからです。たとえその信念が社会的には悪であっても、自らの命を賭して仲間を信じ、成長を促す姿には、ある種の人間の真理が宿っています。
また、ペッシの散り際に放たれたアリーヴェ・デルチ(さよならだ)の快感も、ペッシという強敵がいたからこそ、より一層引き立ったと言えるでしょう。
まとめ:ジョジョ5部ペッシの成長と覚悟を徹底考察!プロシュート兄貴との絆や名言も解説
ペッシというキャラクターを振り返ると、彼は『ジョジョ』という作品が描く「精神の成長」を、最も極端な形で体現した存在だったことがわかります。
最初は誰よりも弱かった男が、最愛の兄貴の死を乗り越え、最強の刺客へと登り詰める。しかし、その成長の方向が「誇り」ではなく「ゲスな執念」に向かってしまったところに、彼の哀しき魅力があります。
プロシュート兄貴の教えを胸に、釣り竿一本でブチャラティを極限まで追い詰めたその戦いぶりは、今後もファンの間で語り継がれていくことでしょう。
もし、あなたがこの死闘をもう一度見返したい、あるいは当時の興奮を読み返したいと思ったなら、ジョジョの奇妙な冒険 第5部 モノクロ版を手に取ってみてください。ペッシの「目」が変わるあの瞬間の戦慄を、ぜひ自身の目で確かめてみてください。
「覚悟」とは何か。その答えの一つが、間違いなくこの二人の絆の中に刻まれています。
次は、ペッシ以外の暗殺チームのメンバーについても、その信念と能力を掘り下げて解説してみたいと思います。お楽しみに!

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