『ジョジョの奇妙な冒険』という作品を語る上で、切っても切り離せないのが独特すぎる「擬音」の世界ですよね。「ゴゴゴゴゴ」や「ドドドドド」といった緊張感を煽るものから、「ズキュウゥン」という衝撃的なキス音まで、荒木飛呂彦先生の語彙力には脱帽するばかりです。
その中でも、ファンの間で伝説として語り継がれ、今なおネットスラングとして愛され続けている言葉があります。それが「メメタァ」です。
「名前は聞いたことあるけど、結局どういう意味なの?」「なぜカエルが出てくるの?」そんな疑問を抱いている方のために、今回はジョジョ第1部の名シーンを振り返りながら、この不思議な響きを持つ言葉の正体を徹底的に解剖していきます。
「メメタァ」の衝撃的な元ネタと初出シーン
まずは「メメタァ」がいつ、どこで生まれたのかという原点を確認しておきましょう。この擬音が登場するのは、シリーズの原点である第1部『ファントムブラッド』です。
主人公のジョナサン・ジョースターが、謎の男ウィル・A・ツェペリから「波紋(はもん)」の修行を受けるシーンでそれは起こります。ツェペリ男爵は、波紋のエネルギーがいかに物質を透過し、狙った対象だけに衝撃を伝えるかを証明しようとします。
彼は岩の上に座っていた一匹の「カエル」に狙いを定め、拳を思い切り振り下ろしました。普通に考えれば、カエルは無残に潰れてしまうはずの状況です。しかし、ツェペリの拳がカエルの背中にめり込んだ瞬間、鳴り響いた音がまさに「メメタァ」だったのです。
結果として、カエルはピンピンしたまま無傷で飛び跳ね、その下の岩だけが真っ二つに砕け散りました。生命を慈しみながらも、破壊のエネルギーを自在に操る「波紋」の凄まじさを、荒木先生はこの「メメタァ」という5文字に見事に凝縮させたのです。
なぜ「ベチャ」ではなく「メメタァ」なのか?
私たちが日常でカエルを触ったり、何かがめり込んだりする音を想像するとき、一般的には「ベチャ」「グニュ」「ムギュ」といった擬音を思い浮かべますよね。しかし、ジョジョの世界ではそれでは足りないのです。
「メメタァ」という響きを分解してみると、荒木先生の圧倒的なセンスが見えてきます。
最初の「メ」は、肉体に拳が触れた際の湿り気や、皮膚が沈み込む感覚を表現しています。そして続く「メタァ」という部分は、単なる接触ではなく、エネルギーが体内をじわじわと浸透し、裏側にある岩にまで到達するような「粘り気のある伝播」を感じさせます。
この音があるからこそ、読者は「あ、今カエルの体を波紋が通り抜けたんだな」と直感的に理解できるわけです。単なる擬音を超えた、いわば「音の視覚化」に成功している例と言えるでしょう。
ちなみに、このシーンの影響力は凄まじく、後年には公式からジョジョの奇妙な冒険 メメタァ カエル ぬいぐるみといったグッズまで発売される事態となりました。拳で押すと「メメタァ」と鳴くギミック付きという、ファンにはたまらない(?)アイテムです。
波紋エネルギーと「生命への讃歌」
ジョジョの物語の根底には「人間讃歌」というテーマがあります。この「メメタァ」のシーンも、実はそのテーマを色濃く反映している重要な場面です。
ツェペリ男爵はカエルを殺すために殴ったのではありません。波紋とは、呼吸法によって生み出される生命エネルギーそのものです。生命あるものを傷つけず、その力を借りて悪(吸血鬼や屍生人)を討つ。
カエルの背中で鳴った「メメタァ」という音は、生命の弾力性と、それを守りながら戦う正義の力の融合を象徴しています。もしここで普通の「バキッ」という音が鳴っていたら、それはただの暴力になってしまいます。この独特な擬音こそが、ジョジョという作品が持つ「奇妙な」美学を支えているのです。
日常生活やSNSでの「メメタァ」の使い道
さて、この「メメタァ」という言葉ですが、実は現代のネットコミュニティやファンの間では、原作の文脈を超えて様々な場面で使われています。もしあなたがジョジョ好きの友人と交流するなら、以下のパターンを覚えておくと便利かもしれません。
一つ目は「強烈なツッコミや衝撃を受けたとき」です。
誰かの鋭い一言が自分の心にグサリと刺さったとき、あるいは予想外の展開に衝撃を受けたときに「今の発言はメメタァときた」「心にメメタァされた」といった具合に使われます。物理的な衝撃というよりは、何かが深く食い込んでくるような感覚を表現するのに適しています。
二つ目は「カエルを見たとき」の反応です。
SNSなどでカエルの画像や動画が流れてきた際、ジョジョファンは挨拶代わりに「メメタァ」とコメントすることがあります。これはもはやファン同士の暗黙の了解であり、一種の「ジョジョ立ち」ならぬ「ジョジョ語」としてのコミュニケーションツールになっています。
三つ目は「物事が深く浸透していく様子」を指すときです。
例えば、じっくり時間をかけて煮込んだ料理の味が染み込んでいる様子や、マッサージで指が深く入っていく感覚を「メメタァ感がある」と表現する猛者もいます。
ただし、ジョジョを知らない人の前でいきなり使うと「えっ、何かの呪文?」と困惑される可能性が高いので、相手がスタンド使い(ジョジョファン)かどうかをしっかり見極めるのが「紳士」としてのマナーです。
荒木飛呂彦先生の擬音革命
「メメタァ」以外にも、ジョジョには数多くの伝説的擬音が存在します。
- 「ズキュウゥン」: エリナの唇を奪ったディオの非道さを象徴する音。
- 「レロレロ」: 花京院典明(偽物)がチェリーを転がす異様な音。
- 「パウッ!」: ツェペリ男爵が肺の中の空気を一気に吐き出す音。
これらの擬音に共通しているのは、既存の辞書には載っていないけれど、その場の空気感やキャラクターの感情を100%表現しているという点です。荒木先生はかつて、ヘヴィメタルやロック音楽、ホラー映画の不気味な効果音からインスピレーションを受けていると語っていました。
「メメタァ」も、耳で聞こえる音というよりは、その場の「空気の震え」を文字に書き起こしたものなのでしょう。私たちがジョジョの奇妙な冒険 第1部を読み返すたびに、その新鮮な衝撃が色褪せないのは、文字そのものがエネルギーを持っているからかもしれません。
ジョジョの奇妙な擬音「メメタァ」の意味とは?元ネタのカエルや日常での使い道を解説・まとめ
いかがでしたでしょうか。たった5文字の擬音に、これほどまでの物語と情熱が詰まっているのが『ジョジョの奇妙な冒険』の深いところです。
「メメタァ」とは、単にカエルを殴った音ではなく、波紋という生命エネルギーが物質を透過する神秘を表現した、荒木先生の天才的な発明でした。元ネタを知ることで、原作を読み返したときの深みはさらに増すはずです。
もしあなたが今後、日常で「何かが深く食い込む感覚」を味わったなら、ぜひ心の中で「メメタァ」と呟いてみてください。そうすれば、あなたも立派なジョースター一行の一員、あるいは波紋の使い手になれるかもしれません。
ジョジョの世界には、他にも解明されていない「奇妙な表現」が山ほどあります。今回ご紹介した「メメタァ」を入り口に、さらに深く濃密なジョジョの世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

コメント