「ジョジョの奇妙な冒険」という偉大な物語を読み終えた時、多くのファンが抱く感情があります。それは「もっとこの世界に浸っていたい」「あのキャラのその後が知りたい」という、強烈なロス状態ではないでしょうか。
実は、ジョジョには漫画本編では語られなかった物語を補完する「小説(ノベライズ)」がいくつも存在します。しかし、執筆しているのは荒木飛呂彦先生ではなく、名だたる超一流の小説家たち。
「絵がないジョジョって面白いの?」「どの部を読んでいれば楽しめる?」そんな疑問を持つ方のために、今回はジョジョの奇妙な冒険の小説版を徹底的に深掘りします。公式スピンオフそれぞれの個性の違いや、ファンが納得する読む順番まで、その魅力を余すことなくお伝えします。
ジョジョの小説は「VS JOJO」で進化した
ジョジョの小説を語る上で外せないのが、連載25周年を記念して始動した「VS JOJO」というプロジェクトです。これは、ジョジョを愛してやまない人気作家たちが、自身の作家性とジョジョの世界観をぶつけ合うという、まさに「真剣勝負」のような企画でした。
このプロジェクトから生まれた作品たちは、単なる「漫画のノベライズ」という枠を大きく超えています。作家ごとに解釈が異なり、ある作品はミステリ、ある作品は哲学書、そしてある作品は狂気的なアクション活劇となっています。
もちろん、全ての小説には荒木飛呂彦先生による描き下ろしの表紙や挿絵がついているため、ファンにとってはそれだけで手元に置いておく価値がある宝物と言えるでしょう。
5部完結後の喪失感を埋める最高傑作『恥知らずのパープルヘイズ』
まず最初におすすめしたいのが、上遠野浩平先生による恥知らずのパープルヘイズです。第5部「黄金の風」の半年後を描いたこの物語は、ジョジョ小説の中でも「最高傑作」との呼び声が最も高い一冊です。
物語の主役は、組織を裏切るジョルノたちに同行せず、ベネチアの運河に取り残されたパンナコッタ・フーゴ。原作ではその後が描かれなかった彼が、新しくなった組織から「かつての仲間(裏切り者)を始末しろ」という非情な指令を受けるところから始まります。
上遠野先生の文体は非常に哲学的で、スタンド能力を「精神の形」として深く考察しています。なぜフーゴのスタンド「パープル・ヘイズ」はあれほどまでに狂暴なのか。その理由が、彼の生い立ちと心の欠落に結びついた時、読者は震えるような感動を覚えるはずです。
アニメ版の設定とは一部異なりますが、ゲーム作品などでもこの小説の設定が採用されることが多く、実質的な「正史」に近い扱いを受けているファン必読の書です。
杜王町の日常に潜む切ないミステリ『The Book』
第4部が好きな方に絶対読んでほしいのが、乙一先生によるThe Book jojo's bizarre adventure 4th another dayです。
この作品の舞台は、お馴染みの杜王町。東方仗助や広瀬康一、岸辺露伴といったメンバーも登場しますが、彼らはあくまで物語の狂言回しに過ぎません。主役は、ある悲劇的な過去を持つ「記憶」のスタンド使いです。
乙一先生らしい、繊細でどこか切ない筆致が特徴で、読後の余韻はジョジョシリーズの中でも群を抜いています。スタンドバトルというよりも、上質な心理ミステリを読んでいるような感覚に陥るでしょう。
「杜王町にはまだ、僕たちの知らない物語が眠っているのかもしれない」。そう思わせてくれる、非常に完成度の高い一足です。
DIOの内心を暴く禁断の手記『OVER HEAVEN』
第3部と第6部を読み終えた方に衝撃を与えるのが、西尾維新先生によるJOJO'S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVENです。
この小説の体裁は、承太郎がエジプトでDIOを倒した後に回収し、中身が危険すぎて焼却したとされる「天国へ行くための方法」が記されたノートの復元です。つまり、全編を通して「DIOの一人称」で物語が進みます。
あの傲岸不遜なDIOが、自らの母への想いやジョナサン・ジョースターへの複雑すぎる愛憎、そしてプッチ神父との出会いを独白していく様は、読んでいるこちらが背徳感を覚えるほど。
西尾維新先生特有のトリッキーな言葉遊びは控えめで、徹底的に「DIOという男の精神」を解剖したような内容になっています。6部の結末を知っていると、さらに深い絶望と納得感を味わえる構成になっています。
規格外の衝撃作!賛否両論の『JORGE JOESTAR』
ジョジョ小説界において、最も「劇薬」とされているのが舞城王太郎先生のJORGE JOESTARです。
この本は、とにかく分厚い。800ページを超える大ボリュームの中に詰め込まれているのは、原作のスケールを遥かに凌駕する超展開の連続です。舞台は1920年のイギリスと、西暦2012年の日本。ジョナサンの息子であるジョージ・ジョースター2世を軸に物語が動きます。
しかし、ただの過去編ではありません。島全体が移動したり、火星に大量のカーズが現れたりと、もはや「何でもあり」の状況に。原作の設定を大胆に再構築(リミックス)した内容は、ファンの中でも激しく好みが分かれます。
「これはジョジョなのか?」と戸惑うかもしれませんが、読み進めるうちに舞城先生の圧倒的な熱量に飲み込まれていくはずです。普通のジョジョに飽きた、あるいはミステリとしてのジョジョを楽しみたいという上級者向けの一冊です。
絶版となった初期のノベライズたち
実は、2000年代以前にもジョジョの小説は出版されていました。現在は手に入りにくいものもありますが、古本屋で見かけたらチェックすべき作品をご紹介します。
まず、ジョジョの奇妙な冒険 (1993年版)。これは第3部の中盤、エジプト到着後のオリジナルエピソードを描いたものです。関島眞頼氏と山口宏氏による共著で、砂漠を舞台にしたスタンド使いとの死闘が描かれます。初期のアニメ化に近い、ストレートな冒険活劇として楽しめます。
次に、ジョジョの奇妙な冒険 II ゴールデンハート/ゴールデンリング。こちらは第5部の中盤、ベネチアでの別動隊を描いた物語です。フーゴがまだチームにいた頃の物語であり、イタリアの美しい情景描写とともに、組織の闇がより強調された作品となっています。
失敗しない!ジョジョ小説を読む順番と選び方
これだけ種類があると、どれから手をつければいいか迷ってしまいますよね。失敗しないための選び方をまとめました。
- まずは「王道」から: 第5部が好きなら恥知らずのパープルヘイズ一択です。原作との親和性が最も高く、キャラクターの解釈も非常に丁寧です。
- 「切なさ」を求めるなら: 第4部の雰囲気が好きで、泣ける物語が読みたいならThe Bookがおすすめです。
- 「考察」を楽しみたいなら: DIOという悪役の深淵を覗きたいならOVER HEAVENを選びましょう。
- 「刺激」が欲しいなら: 普通の物語では満足できない、脳をかき回されたいという方はJORGE JOESTARに挑戦してみてください。
読む順番については、基本的には「原作の該当する部を読み終えてから」であれば、どの小説から読んでも問題ありません。ただし、『OVER HEAVEN』だけは第6部までのネタバレが含まれるため、注意が必要です。
まとめ:小説でさらに広がるジョジョの世界
ジョジョの小説作品は、単なる外伝ではありません。それは、優れた作家たちが荒木飛呂彦先生から受け取った「黄金の精神」を、自分たちの言葉で再解釈し、昇華させた結晶です。
漫画では描かれなかったキャラクターの苦悩、スタンド能力の新たな解釈、そして受け継がれる血統の物語。文字だけで表現されるスタンドバトルは、あなたの想像力を刺激し、脳内でアニメーション以上の迫力を持って再生されることでしょう。
本編を読み終えて「ジョジョロス」になっているあなた。ぜひ、この素晴らしいスピンオフの世界に足を踏み入れてみてください。そこには、まだあなたの知らない奇妙な冒険が待っています。
今回ご紹介したジョジョの奇妙な冒険の小説おすすめ8選!公式スピンオフの違いや読む順番を徹底解説を参考に、あなたにとって運命の一冊を見つけていただければ幸いです。

コメント