『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいると、ふと「この名前、どこかで聞いたことがあるな?」と思う瞬間がありませんか?
主人公のジョナサンから始まり、宿敵ディオ、そして数々のスタンドたち。実は、ジョジョに登場するキャラクターや能力の名前のほとんどには、作者である荒木飛呂彦先生が愛してやまない「洋楽」のルーツが隠されています。
今回は、ジョジョの世界をより深く楽しむために、物語の根幹を支えるジョジョ バンド 名の由来や、その音楽的な背景を徹底的に紐解いていきます。イヤホンを準備して、伝説のロックスターたちの旋律を感じながら読み進めてみてください。
始まりのメロディ:第1部・第2部に刻まれた伝説のバンド名
ジョジョの物語が幕を開けたとき、そこにはすでに瑞々しい音楽へのオマージュが溢れていました。スタンド能力が登場する前の波紋時代、キャラクターたちの名前そのものがロックの歴史を形作るビッグネームだったのです。
ジョナサンとディオ、そして運命のビートルズ
物語の主人公、ジョナサン・ジョースターの愛称「ジョジョ(JOJO)」は、ザ・ビートルズの名曲「Get Back」の歌詞に登場する「Jojo was a man who thought he was a loner」というフレーズが由来の一つと言われています。
そして、彼と対をなす宿敵ディオ・ブランドー。彼の名は、ヘヴィメタル界の聖杯とも称されるボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオが率いたバンド「DIO」から取られています。この時点で、正義と悪のぶつかり合いは、ポップスの王道と重厚なメタルの対比としても描かれているのが非常に興味深いポイントです。
脇を固める伝説の「スピードワゴン」と「ツェペリ」
ジョナサンの最高の相棒として知られるロバート・E・O・スピードワゴンの元ネタは、アメリカのロックバンドREO Speedwagonです。彼らの爽やかで力強いロックサウンドは、まさに解説役として物語を支え続けたスピードワゴンのキャラクター性に重なります。
また、波紋の師匠であるウィル・A・ツェペリは、言わずとしれたイギリスの伝説的バンド「レッド・ツェッペリン」が由来。彼が散り際に残した「勇気」の物語は、ツェッペリンの重厚かつ幻想的な楽曲群のように、読者の心に深く刻まれています。
柱の男たちが象徴する80年代の熱狂
第2部でジョセフ・ジョースターの前に立ちはだかる「柱の男たち」も、その名の由来は豪華絢爛です。
- サンタナ:ギタリストのカルロス・サンタナ率いるラテン・ロックバンド。
- ワムウ:ポップ・デュオの「ワム!(Wham!)」。
- エシディシ:オーストラリアのハードロックバンド「AC/DC」。
- カーズ:ニューウェイヴの旗手「ザ・カーズ」。
このキャスティングは、当時の音楽シーンを席巻していたスターたちのパワーを、古代の超生物という圧倒的な存在感に転換した見事なネーミングセンスと言えるでしょう。
黄金の精神を彩るスタンド名:4部から5部への音楽的進化
第3部で「タロットカード」や「エジプトの神々」に由来していたスタンド名は、第4部以降、再び荒木先生の音楽愛が爆発する形で「楽曲名・アルバム名」へとシフトしていきます。
ダイヤモンドは砕けない:ピンク・フロイドへの敬意
第4部の主人公、東方仗助のスタンド「クレイジー・ダイヤモンド」の元ネタは、ピンク・フロイドの「Shine On You Crazy Diamond」です。この曲は、かつてのメンバーへの追悼と敬意を込めた壮大な組曲。仗助の「直す」という優しくも力強い能力は、バラバラになったものを再び繋ぎ合わせるこの楽曲の精神性と深くリンクしています。
また、広瀬康一の「エコーズ」もピンク・フロイドの楽曲名。音が形になる能力は、実験的なサウンドを追求した彼らの音楽性と見事に合致しています。
クイーンの美学が詰まった「キラークイーン」
ジョジョ史上最も人気の高い悪役の一人、吉良吉影のスタンド「キラークイーン」は、言わずもがなクイーンの代表曲です。
さらに、彼の能力名にはクイーンの要素がこれでもかと詰め込まれています。
- 第一の爆弾:キラークイーン(楽曲名)
- 第二の爆弾:シアーハートアタック(アルバム名)
- 第三の爆弾:バイツァ・ダスト(楽曲「Another One Bites the Dust / 地獄へ道づれ」)
静かに暮らしたいと願う殺人鬼が、世界的なロックスターの華やかな楽曲名を冠しているというギャップが、吉良吉影というキャラクターの異質さを際立たせています。
黄金の風:プリンスが導く魂の叫び
第5部では、荒木先生が最も影響を受けたアーティストの一人であるプリンスの影が強く反映されています。ジョルノ・ジョバァーナの「ゴールド・エクスペリエンス」は、プリンスのアルバム『The Gold Experience』が由来。生命を産み出すその能力は、多才でエネルギッシュだったプリンスの音楽イメージそのものです。
さらに、ブチャラティの「スティッキー・フィンガーズ」は、ザ・ローリング・ストーンズのアルバム名。実際のアルバムジャケットに「本物のジッパー」が付いていたという逸話が、スタンドの「ジッパーを付ける」能力にそのまま転用されているのは、ファンなら誰もがニヤリとする演出です。
自由への渇望と現代への繋がり:6部以降の多様な音楽シーン
物語が現代に近づくにつれ、選曲の幅はさらに広がり、オルタナティブ・ロックや現代ポップスのエッセンスが加わっていきます。
ストーン・オーシャン:ジミ・ヘンドリックスから始まる反逆
空条徐倫の「ストーン・フリー」は、ギターの神様ジミ・ヘンドリックスの楽曲。抑圧された刑務所の中から「自由になる」という強い意志が、この名曲のタイトルに託されています。
また、エルメェスの「キッス」や、エンポリオの「バーニング・ダウン・ザ・ハウス」(トーキング・ヘッズ)など、80年代のポストパンクやニューウェイヴの影響も色濃く、作品全体にスタイリッシュな雰囲気を添えています。
スティール・ボール・ランからジョジョリオンへ
舞台が19世紀のアメリカに移った第7部でも、そのネーミングセンスは健在です。ジャイロ・ツェッペリンの愛馬「ヴァルキリー」や、大統領のスタンド「D4C(いともたやすく行われるえげつない行為)」の元ネタであるAC/DCの「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」など、クラシック・ロックへの回帰が見られます。
そして第8部『ジョジョリオン』では、レディー・ガガの「ボーン・ディス・ウェイ」が登場するなど、時代を問わないサンプリングの妙が光ります。これは、ジョジョという作品が常に「今」を生きる音楽を吸収し続けている証拠でもあります。
音楽背景を知ることで深まる「ジョジョ」の読書体験
なぜ、荒木飛呂彦先生はここまで頑なに洋楽から名前を引用し続けるのでしょうか。それは、音楽が持つ「イメージの力」をキャラクターに付与するためだと考えられます。
例えば、「エアロスミス」という名前を聞いたとき、ロックファンならあの高音のシャウトやスピード感を連想します。それをナランチャの飛行機型スタンドに冠することで、読者は説明されずともそのスタンドの「激しさ」や「勢い」を直感的に理解できるのです。
ジョジョを読むことは、広大な洋楽のライブラリを探索することと同義です。もし気になる名前を見つけたら、ぜひMusic Playerでその曲を検索してみてください。きっと、漫画のコマから音が溢れ出してくるような新しい感覚を味わえるはずです。
まとめ:ジョジョの元ネタとなった洋楽バンド名一覧!名前の由来や隠れた音楽背景を徹底解説
ここまで、作品を彩るジョジョ バンド 名の数々と、その背景にある音楽の歴史を振り返ってきました。
ジョジョの物語は、洋楽という偉大な先人たちの文化をリスペクトし、それを漫画という新しい表現形式で再構築したアート作品です。キャラクターたちが持つ「黄金の精神」は、かつて世界を熱狂させたロックスターたちがステージで見せた「自由」や「不屈の魂」と共鳴しています。
名前の由来を知ることで、キャラクターの意外な一面が見えてきたり、新しいお気に入りの音楽に出会えたりすることもあります。次にページをめくる時は、その名前の後ろに流れるメロディに耳を澄ませてみてください。
あなたの好きなあのスタンドも、実は誰かの人生を変えた一曲の名を冠しているかもしれません。この記事をきっかけに、ジョジョと洋楽の深い繋がりに触れ、より一層作品の世界を楽しんでいただければ幸いです。

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