『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』を語る上で、主人公チームと同じくらい熱狂的なファンを持つのが「暗殺チーム(ラ・スクアドラ・ディ・エセクツィオーネ)」です。
彼らは単なる「倒されるべき悪役」ではありません。組織の理不尽な扱いに抗い、自分たちの信じる「誇り」と「覚悟」のために命を懸けた、もうひとつの主人公たちとも言える存在です。
なぜ彼らはこれほどまでに魅力的なのか。各メンバーの強烈な個性やスタンド能力、そして読者の心に突き刺さる名言とともに、その人気の秘密を徹底的に深掘りしていきます。
組織の冷遇が生んだ「裏切り」という名の覚悟
暗殺チームがボスの娘であるトリッシュを狙い、組織「パッショーネ」に反旗を翻したのには、悲痛な背景がありました。
彼らは組織の中でも汚れ仕事を一手に引き受ける、実力派揃いのプロフェッショナル集団です。しかし、ボスであるディアボロは、その高い戦闘力を恐れるあまり、彼らに利権(ナワバリ)を一切与えませんでした。
- 命を懸けてターゲットを仕留めても、得られるのはわずかな成功報酬のみ。
- 麻薬やカジノといった莫大な利益を生むビジネスからは徹底的に排除。
- 仲間のソルベとジェラートが組織の正体を探ろうとした際、見せしめとして惨殺される。
こうした「拭いきれない不遇」と「仲間への想い」が、彼らを命懸けの反逆へと駆り立てたのです。彼らの戦いは、単なる強欲ではなく、自分たちの存在意義を証明するための「生存競争」だったと言えるでしょう。
鉄の結束を誇るリーダーと初期メンバーの執念
暗殺チームのメンバーは、それぞれが主人公を張れるほどの濃いバックボーンを持っています。
孤独なカリスマ:リゾット・ネエロ
リーダーのリゾットは、28歳という若さながら、チームをまとめ上げる圧倒的な冷静さと判断力を備えています。彼のスタンド「メタリカ」は、磁力で相手の血液中の鉄分を操作し、体内からカミソリや針を生成するという、えげつないほどに殺傷能力が高いものです。
リゾットの魅力は、その「孤独なプロ意識」にあります。物語終盤、ボス(ドッピオ)と対峙した際、彼はたった一人でボスの正体に肉薄しました。自らの足を切断してでも勝機を見出すその姿は、執念という言葉では言い表せないほどの凄みを感じさせます。
執拗な追跡者:ホルマジオ
物語で最初に護衛チームと接触したのがホルマジオです。彼の「リトル・フィート」は、対象を徐々に小さくする能力。一見地味ですが、ナランチャとの戦いではその真価を発揮しました。
ホルマジオの凄さは「折れない心」です。どれほど窮地に陥っても「くだらねえ能力だなんて言わせねえ」というプライドを胸に、知略を尽くして戦う姿は、暗殺チームのレベルの高さを読者に知らしめる最高の導入となりました。
鏡の支配者:イルーゾォ
鏡の中の世界という、逃げ場のない空間を作り出す「マン・イン・ザ・ミラー」。イルーゾォは、ジョルノ、アバッキオ、フーゴの3人を同時に相手取り、絶望の淵まで追い詰めました。
彼は非常に慎重で、勝利を確信してもなお相手を観察し続ける冷徹さを持っています。スタンドと本体を切り離すというトリッキーな戦法は、ジョジョにおける能力バトルの奥深さを象徴しています。
兄貴の教えと成長するペッシ:5部屈指の人間ドラマ
暗殺チームの中でも、特にファンからの支持が厚いのが、フィレンツェ行きの超特急で戦ったプロシュートとペッシのコンビです。
理想の指導者:プロシュート兄貴
「『ぶっ殺す』と心の中で思ったならッ!その時既に行動は終わっているんだッ!」
この名言に痺れた読者は数知れません。彼のスタンド「ザ・グレイトフル・デッド」は、周囲の生物を無差別に老化させる恐怖の能力です。プロシュートの魅力は、その揺るぎない精神力にあります。
電車から振り落とされ、車輪に巻き込まれて瀕死の重傷を負いながらも、彼は死ぬ直前までスタンドを解除しませんでした。それはひとえに、弟分であるペッシに「覚悟」を見せるため。悪役でありながら、これほどまでに気高く、教育者としての側面を持つキャラクターは他に類を見ません。
覚醒する才能:ペッシ
物語当初、ペッシは自信がなく、兄貴の背中に隠れるだけの「ママっ子」でした。しかし、ボロボロになりながらも自分を信じてくれたプロシュートの姿を見て、彼は急成長を遂げます。
彼のスタンド「ビーチ・ボーイ」は、壁や物体を透過して獲物の心臓を釣り上げる能力。覚悟を決めた後のペッシは、ブチャラティに「ゲス野郎」と言わしめるほどの冷酷さと鋭さを手に入れました。この「敵側の成長物語」こそが、暗殺チームを単なる記号的な悪役に留めない大きな要因です。
変態的な知性と狂気の熱量:メローネとギアッチョ
チームの後半戦を彩る二人も、強烈なインパクトを残しています。
分析の鬼:メローネ
メローネの「ベイビィ・フェイス」は、ターゲットの血液サンプルからスタンドを「出産」させ、教育して送り出すという異質な能力です。ノートパソコンのようなデバイスを叩き、変態的なまでの執拗さで分析を行う姿は、チームの知略担当としての不気味さを際立たせていました。
ジョルノの能力の裏をかくような「物質の分解と再構築」を繰り出すなど、能力の相性というジョジョの醍醐味を存分に見せてくれたキャラクターです。
爆発する憤怒:ギアッチョ
「ベネツィアと言えッ!ベネツィアとよォーッ!」
言葉の正確さにこだわり、些細なことにブチ切れるギアッチョ。彼の「ホワイト・アルバム」は、超低温で周囲を凍結させ、自らはスケート靴のような装甲を纏って戦う、攻防一体の強力なスタンドです。
ミスタとジョルノを極限まで追い詰めた彼の強さは、まさに圧倒的。キレながらも戦況を冷静に分析するギャップと、氷の能力という王道の格好良さが、多くのファンを魅了しています。
ファンを惹きつける「プロとしての美学」
暗殺チームが愛される最大の理由は、彼らが「プロ」として徹している点にあります。
彼らは戦いにおいて無駄な問答を好まず、常に目的完遂のために最善を尽くします。たとえ仲間が倒れても、その死を無駄にせず、意志を継いで次の一手を打つ。そのシビアな連帯感は、馴れ合いではない、真の「信頼」を感じさせます。
また、彼らのファッションやセリフ回しのハイセンスさも、荒木飛呂彦先生の画風と相まって、カリスマ性を高めています。
もしジョジョのグッズを手に取りたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 フィギュアなどで彼らの造形を確認してみてください。その洗練されたデザインに驚くはずです。
アニメ化の際にも、彼らの戦闘シーンには特別な演出が施され、原作以上の熱量で描かれました。特にプロシュートとペッシの戦いや、リゾットの最期は、アニメ史に残る名シーンとして語り継がれています。
ジョジョ5部暗殺チーム徹底解説!メンバーの魅力・能力・名言と人気の秘密に迫る:まとめ
暗殺チームは、ただの「敵」ではありませんでした。彼らには彼らなりの正義があり、譲れない誇りがあり、そして愛する仲間がいました。
パッショーネという巨大な闇の中で、光の当たらない場所を歩み続けた彼ら。しかし、その生き様は誰よりも眩しく、読者の心に強烈な「黄金の精神」ならぬ「漆黒の意志」を焼き付けました。
- リゾットが示したリーダーとしての矜持。
- プロシュートが教えた言葉よりも重い行動。
- ギアッチョが体現した圧倒的な熱量。
彼らの戦いを知ることで、ジョジョ5部という物語はより一層深みを増します。ジョルノたちの歩んだ道の裏側には、同じように命を燃やした9人の暗殺者がいたことを、私たちは忘れることができません。
これから改めて原作やアニメをチェックする方は、ぜひ彼らの一挙手一投足に注目してみてください。きっと、最初に見た時とは違う「覚悟」の形が見えてくるはずです。

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