『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』において、エジプトのDIOの館を守る「番人」として登場したハヤブサ、ペット・ショップ。彼が放つ圧倒的な絶望感は、連載から数十年が経過した今でもファンの間で語り草となっています。
「承太郎たちでも勝てなかったのではないか?」「イギーが勝てたのは奇跡に近い」と言わしめる、その異常なまでの強さ。今回は、ペット・ショップというキャラクターがいかに規格外だったのか、その能力の正体から格闘ゲームでの「禁じ手」エピソードまで、多角的な視点で徹底的に深掘りしていきます。
恐怖の番人ペット・ショップ!ハヤブサが持つ「野生の殺意」
ジョジョの物語には数多くの刺客が登場しますが、ペット・ショップほど「対話が不可能」で「純粋な殺意」に満ちた敵はいません。彼はDIOに対して絶対的な忠誠を誓う番人であり、館に近づく者はネズミ一匹、浮浪者一人たりとも逃がさない冷酷なハンターです。
まず注目すべきは、彼が「動物である」という点です。人間のスタンド使いであれば、どこかに慢心や油断、あるいは交渉の余地が生まれることもあります。しかし、ペット・ショップにはそれが一切ありません。
- 獲物を仕留めるまで絶対に諦めない執念
- 生物としての圧倒的なスピードと動体視力
- 一切の感情を排した冷徹な攻撃判断
ハヤブサという猛禽類が持つポテンシャルに、強力なスタンド能力が加わった結果、彼はジョジョ史上でも屈指の「初見殺し」かつ「完封型」の強敵となりました。
スタンド「ホルス神」の能力が万能すぎる理由
ペット・ショップが操るスタンド「ホルス神」は、氷を操る能力です。一見するとシンプルですが、その応用範囲と破壊力は他の氷使いの追随を許しません。
無限に生成される「氷のミサイル」
ホルス神の最大の特徴は、氷の弾丸(つらら)を生成して高速で射出する攻撃です。これは単なる物理攻撃ではなく、まるで自動追尾ミサイルのような連射性能を誇ります。
空を飛びながら上空から一方的に狙撃してくるため、地上にいる相手は防戦一方になります。
巨大な氷塊による「物理的な圧殺」
ミサイルのような細かい攻撃だけでなく、自動車を押しつぶすほどの巨大な氷の塊を瞬時に作り出すことも可能です。これを高空から自由落下させるだけで、回避不能の質量攻撃となります。作中でも、イギーを追い詰める際に周囲の環境ごと凍らせ、逃げ道を完全に遮断する知略を見せました。
瞬間的な凍結能力
周囲の水分を凍らせるだけでなく、傷口や地面を瞬時に凍結させることで、相手の機動力を奪います。イギーとの戦いでは、海中に逃げ込んだ相手を水ごと凍らせて窒息死させようとするなど、地形を活かした戦術も非常に高度でした。
承太郎や花京院でも危なかった?最強議論で見える圧倒的な相性
ジョジョファンの間でよく議論されるのが、「もしジョースター一行がペット・ショップと戦っていたら?」というIFのシナリオです。結論から言うと、一行の誰が戦っても「詰み」に近い状況に追い込まれた可能性が高いと言えます。
- 空条承太郎(スタープラチナ):射程距離が2メートルほどしかないスタープラチナにとって、時速300キロで上空を飛び回り、数百メートル先から氷を降らせてくるペット・ショップは最悪の相性です。時を止めたとしても、空中の敵に手が届かなければ決定打を与えられません。
- 花京院典明(ハイエロファントグリーン):遠距離攻撃の「エメラルドスプラッシュ」がありますが、ハヤブサの旋回性能と動体視力を前にしては、命中させるのは至難の業でしょう。
- ジャン=ピエール・ポルナレフ(シルバーチャリオッツ):剣撃のスピードは超一流ですが、氷の連射という「面」の攻撃に対して、点での防御は限界があります。
このように、ペット・ショップの強さは「空を飛べること」と「射程が極めて長いこと」の掛け算によって、近距離パワー型のスタンドを完全に無効化してしまう点にあるのです。
格闘ゲーム『未来への遺産』で刻まれた「使用禁止」の伝説
ペット・ショップの「強すぎ」という評価を決定づけたのは、原作漫画だけではありません。1990年代にカプコンからリリースされた対戦格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険(未来への遺産)』での暴れっぷりは、今もなお格ゲー界の伝説として語り継がれています。
このゲームにおけるペット・ショップは、まさに「開発陣のミス」と疑われるほどのチート性能でした。
- 常に浮いている:通常のキャラであれば当たる「下段攻撃(足払いなど)」が、浮いているペット・ショップには一切当たりません。
- 当たり判定が極端に小さい:ハヤブサの姿そのままなので、こちらの攻撃はスカりやすく、あちらの攻撃は全画面に届くほど広い。
- ガード不能連携:氷のミサイルを設置しながら本体が攻めてくるため、ガードをしても削り殺されるか、ガード不能の状況に追い込まれます。
あまりの強さに、当時のゲームセンターの大会では「ペット・ショップ使用禁止」がルールに盛り込まれるのが通例でした。原作の絶望的な強さを、システム面で(意図せずしてか)完璧に再現してしまった例と言えるでしょう。
イギーとの死闘!唯一の弱点と「奇跡の勝利」の背景
そんな無敵に近いペット・ショップを倒したのは、同じ動物スタンド使いのイギー(ザ・フール)でした。この戦いはジョジョ全編を通じても屈指のベストバウトと評価されています。
イギーが勝てた理由は、決して実力が上回っていたからではありません。
「自分の命を捨ててでも、相手を道連れにする」という野生の覚悟があったからです。
ペット・ショップの唯一の弱点は、その攻撃の鋭さゆえに、懐(ふところ)に飛び込まれた際の一瞬の隙でした。イギーは自身の足を食いちぎり、海中に逃げ込み、最期の瞬間にペット・ショップの「嘴(くちばし)」そのものを噛み潰すことで、氷のミサイルの発射を物理的に封じ、暴発させました。
この勝利は、知能指数の高いペット・ショップが「まさか犬がここまで捨て身の攻撃をしてくるはずがない」と、相手の精神を過小評価した一瞬の綻びが生んだ結果だったのです。
現代の視点で見ても色褪せない「完成された強敵」
ペット・ショップのような「シンプルに強くて、一切の妥協がない敵」は、近年の漫画作品でも珍しくなっています。多くの敵が「悲しい過去」や「複雑な理念」を持つ中で、彼はただ「DIOの館を守る」という役割を完遂するためだけに牙を剥きます。
また、彼のデザインや行動は、後に登場する氷使い(第5部のギアッチョなど)と比較しても、その「殺傷能力の高さ」において際立っています。ギアッチョのホワイト・アルバムは防御に特化していましたが、ホルス神は徹底して「攻め」に特化しており、相手を逃がさないスピード感において右に出る者はいません。
もし、あなたがこの絶望感をもう一度味わいたいなら、漫画やアニメだけでなく、関連グッズや当時のゲーム映像をチェックしてみるのも面白いでしょう。
ジョジョの奇妙な冒険 第3部を読み返すと、ペット・ショップ戦の緊迫感が改めて伝わってくるはずです。
まとめ:ジョジョのペット・ショップが強すぎる理由は「理不尽の塊」だから
ここまで、ペット・ショップの圧倒的な強さについて解説してきました。彼が「強すぎる」と評される理由は、単なる数値上のパワーではなく、以下の3点が完璧に揃っていたからです。
- 「空対地」という絶対的な位置の優位性
- 「広域破壊」と「精密狙撃」を両立するホルス神の性能
- 「慢心」を一切排除した野生のハンターとしての精神性
イギーという好敵手がいなければ、ジョースター一行は館に辿り着く前に全滅していたかもしれません。それほどまでに、ペット・ショップは第3部における「最大の壁」として君臨していました。
ジョジョの奇妙な冒険には魅力的な敵役が数多く登場しますが、ペット・ショップが放った「言葉の通じない恐怖」と「圧倒的な敗北感」は、これからもファンの心に刻まれ続けることでしょう。
ジョジョのペット・ショップはなぜ強すぎると言われるのか? その答えは、彼が「勝つための合理性」を極めた、純粋な殺戮の化身だったからに他なりません。

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