国民的漫画として世界中で愛され続けている『ドラゴンボール』。強敵との熱いバトルや胸を熱くするストーリーはもちろんですが、実は「キャラクターの名前」に隠されたユーモアあふれる法則性も、作品の大きな魅力の一つであることをご存知でしょうか?
作者である鳥山明先生は、キャラクターを命名する際、ある特定の「グループ」ごとに統一感のある元ネタを設定しています。サイヤ人は「野菜」、ブルマ一家は「下着」など、一度聞いたら忘れられないユニークな由来が満載です。
この記事では、主要キャラクターから意外な脇役まで、知っていると作品が100倍楽しくなる『ドラゴンボール』の名前の由来を徹底的に解説していきます。
宇宙最強の戦闘民族「サイヤ人」はすべて野菜が由来
物語の核となる「サイヤ人」という種族。この名前自体、実は「野菜(ヤサイ)」の音を入れ替えたアナグラム(並び替え)になっています。つまり、サイヤ人は「野菜人」という意味が込められているんですね。そのため、彼らの個人名もすべて野菜に関連する英単語から取られています。
まず、主人公の孫悟空の本名である「カカロット」は、人参を意味する「キャロット」が由来です。下級戦士として地球に送られた彼に、身近な根菜の名前がついているのは非常に象徴的ですね。
一方、サイヤ人の王子である「ベジータ」は、野菜そのものを指す「ベジタブル」から。王子らしく、野菜全般を代表する名前を冠しています。彼の弟である「ターブル」と合わせると「ベジタブル」が完成するという遊び心も、後年の作品で明かされました。
そのほかの主要なサイヤ人も見ていきましょう。悟空の兄である「ラディッツ」は二十日大根の「ラディッシュ」。ベジータと共に地球へ襲来した巨漢の「ナッパ」は、その名の通り「菜っ葉(葉物野菜)」です。悟空の父である「バーダック」は、ごぼうを意味する英語の「バードック」から来ています。
劇場版や『ドラゴンボール超』で圧倒的な存在感を放つ「ブロリー」は「ブロッコリー」、その父「パラガス」は「アスパラガス」が元ネタです。第6宇宙から参戦した「キャベ」は「キャベツ」、「カリフラ」は「カリフラワー」、「ケール」はそのまま「ケール」といった具合に、新旧問わずこの「野菜ルール」は徹底されています。
カプセルコーポレーション「ブルマ一家」は衣類と下着
悟空の最初の仲間であり、物語のヒロインであるブルマ。彼女の一家は、サイヤ人の野菜シリーズとは対照的に「衣類」、特に「下着」という非常にユニークなカテゴリーで統一されています。
まず「ブルマ」という名前自体が、かつて学校の運動着として一般的だった女性用下着に近いウェアから取られています。そして、彼女の父親である天才科学者「ブリーフ博士」は、男性用下着の「ブリーフ」。アニメなどで登場した母親の「パンチー」は「パンティ」が由来です。
この法則は次世代にも引き継がれています。ベジータとブルマの息子である「トランクス」は、男性用下着の「トランクス」。そして娘の「ブラ」は、女性用下着の「ブラジャー」です。また、外伝作品などで登場するブルマの姉「タイツ」も、衣類の「タイツ」から名付けられています。
サイヤ人の王子であるベジータが、下着由来の名前を持つ一家に婿入りしているという構図は、鳥山先生らしいシュールなユーモアと言えるでしょう。
宇宙の帝王フリーザとその配下は「冷蔵庫の中身」
宇宙の帝王「フリーザ」の一族、そしてその配下にある軍団にも明確な命名法則が存在します。このグループのテーマは「冷蔵庫(保冷庫)と、その中に入れるもの」です。
トップに君臨する「フリーザ」は、冷凍庫を意味する「フリーザー」。その父親である「コルド大王」は寒いという意味の「コールド」、兄の「クウラ」は「クーラー(冷房器具)」、そして先祖の「チルド」は冷蔵室の「チルド」から来ています。一族全員が「冷やすもの」に関連しているわけです。
そして、その配下たちは「冷蔵庫に入れておくもの」という扱いで名前がつけられています。
特に有名な「ギニュー特戦隊」は「乳製品」がテーマです。隊長の「ギニュー」はそのまま「牛乳」。「リクーム」はクリーム、「バータ」はバター、「ジース」はチーズ、「グルド」はヨーグルト。実力派の精鋭部隊に、あえて親しみやすい乳製品の名前をつけるセンスは脱帽ものです。
また、側近の「ザーボン」は果物の「ザボン(文旦)」、「ドドリア」は「ドリアン」が由来。一般兵である「キュイ」は「キウイフルーツ」、「アプール」は「アップル(リンゴ)」となっており、フリーザ軍全体が巨大な「冷蔵庫セット」のような構成になっています。
ナメック星人は「軟体動物」と「楽器」のハイブリッド
地球の神様やピッコロの故郷である「ナメック星」。彼らの名前の由来は、主に「軟体動物(特にナメクジやカタツムリ)」に関連しています。
種族名の「ナメック」自体が「ナメクジ」から来ています。最長老の側近である「ネイル」は、カタツムリを意味する「スネイル」の後半部分。悟空たちを助けた「デンデ」は「でんでん虫」。「カルゴ」は食用カタツムリの「エスカルゴ」が元ネタです。
しかし、ここで面白いのが「ピッコロ」の存在です。
ピッコロ大魔王として登場した際、彼の部下たちは「タンバリン」「シンバル」「ドラム」「ピアノ」といった具合に、すべて「楽器」の名前がつけられていました。世界を恐怖に陥れる魔族に、あえて優雅な楽器の名前をつけることで、その異様さを際立たせる狙いがあったとされています。
「ピッコロ」自身も楽器のピッコロが由来ですが、後に彼がナメック星人であることが判明した際、ナメック語で「違う世界」という意味があるという後付けの設定が加わりました。
魔導士と魔人は「魔法の呪文」がテーマ
『ドラゴンボールZ』の終盤、魔人ブウ編に登場する一味には、誰もが一度は聞いたことがある有名なフレーズが隠されています。
魔導士の「ビビディ」、その息子「バビディ」、そして彼らが呼び出した「魔人ブウ」。これらをつなげて読むと、ディズニー映画『シンデレラ』に登場する魔法の呪文「ビビディ・バビディ・ブー」になります。
恐ろしい破壊の象徴である魔人ブウの名前が、実は夢のある魔法の呪文から取られているというのは、非常に興味深いエピソードです。ちなみに、バビディの部下である「プイプイ」や「ヤコン」などは、それぞれ鳥山先生がその場の勢いや特定のイメージで名付けたものが多いようです。
破壊神と天使は「お酒(アルコール)」で統一
『ドラゴンボール超』から登場した新しい神々の階級、破壊神とその付き人である天使たち。彼らの名前の由来はすべて「お酒」に関連しています。
第7宇宙の破壊神「ビルス」は、もともと「ウイルス」から取る予定だったそうですが、鳥山先生が「ビール」だと勘違いしたことから、以降のキャラクターがお酒シリーズに統一されることになりました。
- ビルス: ビール
- ウイス: ウイスキー
- シャンパ: シャンパン
- ヴァドス: カルヴァドス(リンゴの蒸留酒)
- ラムーシ: ラム酒
- ベルモッド: ベルモット(フレーバードワイン)
- ヘレス: シェリー酒(ヘレス)
このように、各宇宙の神々には世界中の多様なお酒の名前が割り振られています。高貴で強力な存在に「お酒」という、大人の嗜好品をテーマにするあたりが非常に粋ですね。
地球の戦士たちとその他のキャラクター
初期の『ドラゴンボール』に登場する地球人や、その周りのキャラクターたちは、中華料理やお茶、身の回りの品々が由来になっています。
まず、主人公サイドの仲間たち。
- クリリン: 栗のような頭の形+格闘家らしい「リン」という響き。
- ヤムチャ: 中華料理の「飲茶(ヤムチャ)」。
- プーアル: 中国茶の「プーアル茶」。
- ウーロン: 「烏龍茶」。
- 天津飯(テンシンハン): 料理の「天津飯」。
- 餃子(チャオズ): 「ギョーザ」。
さらに、地球最強(?)の格闘家「ミスター・サタン」についても面白い由来があります。
芸名であるサタンは「悪魔」を意味しますが、彼の本名は「マーク」といいます。これは「悪魔(アクマ)」の文字を並び替えたものです。
そしてその娘である「ビーデル」は、英語で悪魔を意味する「デビル(Devil)」のアナグラムになっています。親子揃って悪魔に関連する名前がついているのですね。
悟空の孫である「パン」は、食べ物の「パン」から。ピッコロ(楽器)とご飯(孫悟飯)の間に生まれた子供が「パン(主食)」になるという、なんとも収まりの良いネーミングになっています。
ネーミングから見える鳥山明先生のこだわり
ここまで見てきたように、『ドラゴンボール』のキャラクター名は、ただ適当につけられたものではありません。
鳥山先生はインタビューなどで、「グループごとに名前を統一しておくと、新しいキャラクターを出すときに考えやすくなるし、読者も覚えやすい」といった旨のコメントをされています。
また、敵対するキャラクターであっても、その由来を知るとどこか愛嬌を感じてしまうのは、私たちが日常的に口にしている「食べ物」や「飲み物」がベースになっているからかもしれません。かっこいいデザインと、ちょっと抜けたような名前のギャップこそが、ドラゴンボールという作品が持つ独特の「軽やかさ」を生んでいるのでしょう。
ドラゴンボールの名前の由来一覧!野菜や下着など意外な元ネタまとめ
いかがでしたでしょうか?『ドラゴンボール』に登場するキャラクターたちの名前には、一貫したルールと遊び心がぎっしり詰まっていました。
- サイヤ人:野菜(カカロット=人参、ベジータ=ベジタブルなど)
- ブルマ一家:下着・衣類(トランクス、タイツなど)
- フリーザ軍:冷蔵庫の中身(乳製品、果物など)
- ナメック星人:軟体動物(デンデ=でんでん虫など)
- 魔人・魔術師:魔法の呪文(ビビディ・バビディ・ブー)
- 破壊神・天使:お酒(ビール、ウイスキーなど)
次に漫画を読み返したり、アニメを観たりするときには、ぜひこの「名前の由来」を意識してみてください。強敵たちのやり取りが、少しだけ違った角度で見えてくるはずです。
もし、お気に入りのキャラクターの名前の由来をもっと詳しく知りたくなったら、設定資料集や公式ガイドブックをチェックしてみるのも楽しいですよ。鳥山ワールドの奥深さに、さらにどっぷりと浸かれること間違いなしです。
ドラゴンボール超 画集などを片手に、壮大な物語の裏側に隠された「言葉遊び」をぜひ堪能してください!

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