薬屋のひとりごとの「堕胎罪」とは?鳳仙と羅漢の悲劇や当時の時代背景を徹底考察!

薬屋のひとりごと
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こんにちは!大人気作品『薬屋のひとりごと』を読んでいると、きらびやかな後宮の世界の裏側に潜む、あまりにも過酷な現実やドロドロとした人間模様に驚かされること、ありますよね。

特に、主人公・猫猫(マアマア)の出生の秘密が明かされるエピソードは、涙なしには読めない屈指の名シーンです。その中心にあるのが、猫猫の実の母である「鳳仙(フォンシェン)」と、父である「羅漢(ラカン)」の間に起きた悲劇的な事件。

ここでは、作中で語られる「堕胎罪」というキーワードを軸に、なぜあのような悲劇が起きたのか、当時の時代背景や倫理観をまじえて深掘りしていこうと思います!


鳳仙と羅漢を襲った悲劇と「堕胎」を選ばなかった理由

物語の中で最も衝撃的なシーンの一つが、緑青館の元看板妓女・鳳仙が、自分の指と赤子の指を切り落として羅漢に送りつけたエピソードです。

そもそも、妓女にとって「妊娠」は絶望を意味します。店にとっては大切な「商品」が損なわれることであり、多額の賠償や信用失墜につながるからです。そんな極限状態の中で、なぜ彼女は「堕胎」という選択肢を取らず、出産、そして自傷という道を選んだのでしょうか。

妓女としての価値を捨てた鳳仙の覚悟

鳳仙は、羅漢が自分を身請けしてくれると信じていました。しかし、羅漢は一族の陰謀によって遠方に送られ、約束の時期に戻ることができませんでした。連絡が途絶え、絶望の淵に立たされた鳳仙。

当時の価値観では、未婚のまま、しかも妓女が子を産むことは社会的な死を意味します。しかし、彼女はあえて子供を産む道を選びました。これは単なる「母性」だけではなく、羅漢に対する強烈な愛憎が入り混じった、いわば「心中」に近い行為だったと言えるでしょう。

自分の指を切り落とすという行為は、妓女としての楽器を弾く指、舞を舞う指、つまり「商品価値」を自ら破壊することを意味します。「あなたを待っていたのに裏切られた、だから私はもう死んだも同然だ」という、血を吐くようなメッセージがそこには込められていたんですね。

猫猫の指に残された「契約」の傷跡

猫猫の小指が少し歪んでいるのは、赤ん坊の頃に母親である鳳仙によって切り落とされた(あるいは傷つけられた)ことによる後遺症です。

現代の感覚からすれば「なんてひどいことを!」と震えてしまいますが、あの狂気には鳳仙なりのロジックがありました。指を送ることで、羅漢に「私たちがここにいること」を強烈に刻み込もうとしたのです。猫猫の体に残った傷は、鳳仙の執念と、羅漢への断ち切れない想いの証明でもあるわけです。

猫猫が自分の指を見て「親の愛情の結果だ」とどこか冷めた、けれど客観的な捉え方をしているのは、彼女が薬師として、そしてこの過酷な街で育った娘としての強さなのかもしれません。


当時の社会における「堕胎罪」と女性たちの苦境

『薬屋のひとりごと』の舞台である「茘(リー)」は、古代中国をモデルにした架空の国です。この時代の倫理観では、現代とは比較にならないほど「血筋」や「孝」の教えが重視されていました。

法律と宗教観がもたらす重圧

モデルとなっている時代の律令(法律)では、中絶や堕胎は「不孝」や「殺生」として厳しく罰せられる対象でした。特に、家系の存続を何よりも重んじる文化圏において、胎内の子を始末することは、先祖に対する裏切りと見なされたのです。

そのため、公に堕胎薬を求めることは難しく、もしバレれば「堕胎罪」として捕まる、あるいは社会的に抹殺されるリスクがありました。

猫猫が薬師として「避妊」や「中絶」にまつわる薬草の知識を隠し持っているのも、それが表沙汰になれば非常に危険な橋を渡ることになるからでしょう。後宮という閉ざされた女の園において、薬は救いであると同時に、法を犯すための毒にもなり得るのです。

妓楼という閉鎖社会の「掟」

法律以上に恐ろしかったのが、緑青館のような妓楼における「独自の掟」です。

人気妓女が妊娠して仕事ができなくなることは、店にとって数千万円、数億円規模の損失に相当します。鳳仙の場合、彼女は店の「宝」でした。その宝が勝手に「傷物」になったとなれば、やり手婆がどれほど激怒し、絶望したかは想像に難くありません。

堕胎をすれば罪に問われ、出産すれば妓女としての命が終わる。鳳仙のような女性たちにとって、どちらを選んでも地獄であることに変わりはなかったのです。


相貌失認の羅漢が見た、たった一つの「顔」

この悲劇をより一層切なくしているのが、羅漢という人物の特殊な体質です。

人の顔が碁石に見える男の孤独

羅漢は、他人の顔が区別できない「相貌失認」のような症状を持っています。彼にとって、他人はすべて「碁石」や「記号」にしか見えません。そんなモノクロームの世界の中で、唯一、鮮やかな色を持って「人間」として認識できたのが鳳仙でした。

羅漢は鳳仙を愛しており、彼女を救い出す準備を整えていました。しかし、彼が抱えていた「軍師としての有能さ」ゆえに、政治的な駆け引きに巻き込まれ、鳳仙のもとへ駆けつけることができなかった。

もし、羅漢がもっと早く戻れていたら。あるいは、鳳仙が羅漢の状況を正確に知ることができていたら。すれ違いが生んだ悲劇は、まさに運命の悪戯としか言いようがありません。

執念の再会と、最後に見せた愛

物語の後半、ついに羅漢はボロボロになった鳳仙を身請けします。かつての美しさは消え、病に侵された彼女ですが、羅漢にとっては、やはり彼女だけが「世界で唯一の女性」でした。

このラストシーンに救われた読者は多いはずです。どれほど過酷な状況になっても、彼らの間には確かに「愛」と呼べるものが存在していた。それは、法や倫理、あるいは「堕胎罪」といった当時のしがらみを超越した、凄まじい執着の形だったのかもしれません。


薬屋のひとりごとから学ぶ、命の重みと毒の役割

作品全体を通して、猫猫は「薬」と「毒」を紙一重のものとして扱っています。それは、彼女の出生そのものが、愛という名の「薬」であり、絶望という名の「毒」から生まれたからではないでしょうか。

知識こそが女性たちの武器だった

猫猫が医術や薬学に没頭したのは、単なる興味だけではありません。知識がなければ、自分も母親のように運命に翻弄され、潰されてしまうという本能的な危機感があったのかもしれません。

彼女が後宮で、様々な女性たちの悩み(時には望まぬ妊娠や、体調の不安)に寄り添い、薬を処方する姿は、かつて救われなかった母・鳳仙への、時を超えた供養のようにも見えます。

もし現代に猫猫がいたら、きっと最新のデバイスを使いこなし、iphoneで薬草のデータベースを検索しながら、より効率的に人々を救っていたかもしれませんね。


薬屋のひとりごとの「堕胎罪」とは?鳳仙と羅漢の悲劇や当時の時代背景を徹底考察!:まとめ

さて、ここまで『薬屋のひとりごと』における「堕胎罪」と、鳳仙・羅漢の切なすぎるエピソードについて深掘りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

物語の背景にある過酷な時代設定を知ることで、猫猫というキャラクターの深みや、羅漢のあの独特な愛情表現の裏にある痛みが、より鮮明に見えてきたかと思います。

  • 鳳仙の指の切断は、羅漢への命がけの愛憎の証だった。
  • 当時の社会において堕胎は法的な罪であり、妓女にとっては社会的死を意味した。
  • 羅漢の相貌失認という設定が、再会のシーンをより感動的なものに昇華させた。

この作品は、単なるミステリーやラブコメの枠を超えて、当時の女性たちが抱えていた「生」への執着をリアルに描き出しています。

次に物語を読み返すときは、ぜひ鳳仙が残した「指の傷跡」や、猫猫が抱える「薬師としての矜持」に注目してみてください。きっと、今までとは違った景色が見えてくるはずですよ!

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