アニメ化で爆発的な人気を博した『薬屋のひとりごと』ですが、原作小説を読み進めると「えっ、そんなことになってたの!?」という衝撃展開の連続ですよね。特に物語の大きな転換点となるのが、今回ご紹介する小説版の第5巻です。
後宮という狭い世界から飛び出し、外廷へと舞台を移した猫猫。そこで待ち受けていたのは、謎の軍師・羅漢の執拗な接触と、美貌の主・壬氏(じんし)が隠し続けてきた「重すぎる秘密」の片鱗でした。
今回は、ファン悶絶のラストシーンから壬氏の驚くべき出生の謎まで、5巻の見どころを余すことなく語り尽くします!
舞台は外廷へ!下女・猫猫の新しい日常
4巻のラストで一度は後宮を解雇され、実家である花街の「緑竜館」へと戻った猫猫。ようやく静かな生活が戻ってくるかと思いきや、そう簡単に逃してくれないのが我らが壬氏様です。
なんと壬氏は、自らの懐(給料)から大金を叩いて猫猫を「身受け」するという荒業に出ました。これには猫猫も、いつもの冷めた表情の裏で「どんだけ金持ってるんだこの宦官……」と呆れ顔。しかし、戻った場所は以前のような後宮の女園ではありませんでした。
5巻からの猫猫の職場は「外廷(がいてい)」。つまり、官吏たちが働く男社会のど真ん中です。壬氏直属の下女として、書類の整理や毒見(!)に明け暮れる日々が始まります。
ここで注目したいのが、新しい環境でも物怖じしない猫猫の適応能力です。周囲の役人たちからは「壬氏様の愛人か?」と疑いの目で見られつつも、持ち前の好奇心と薬草への執着で、次々と宮廷内の奇妙な事件を解決していきます。
粘着軍師・羅漢の登場と猫猫の「拒絶」
5巻を語る上で絶対に外せないのが、片眼鏡の変人軍師・羅漢(らかん)の存在です。彼は軍部の上層部にありながら、その知略で周囲を翻弄する食えない男。そんな彼がなぜか猫猫に異常な執着を見せ、壬氏に難題をふっかけては猫猫との接触を試みます。
読者の皆さんも、猫猫が羅漢に対して見せる「ガチの嫌悪感」には驚いたのではないでしょうか。普段はドライな彼女が、羅漢の名前を聞くだけで顔を歪め、親の仇のごとく避けるのには深い理由がありました。
実は、羅漢こそが猫猫の実の父親。しかし、猫猫にとっては母・鳳仙を不幸のどん底に突き落とし、自分を捨てたも同然の憎むべき相手なのです。羅漢には「人の顔が碁石に見える」という特異な体質があり、愛した女性とその娘である猫猫の顔だけが唯一人間として見える……という切ない設定もあるのですが、猫猫にしてみれば知ったことではありません。
この親子の因縁が、物語に重厚な人間ドラマを加えています。羅漢というキャラクターは一見悪役のようですが、読み進めるうちに彼なりの歪んだ愛情が見えてくるのが、日向夏先生の筆力の凄まじいところですね。
ついに明かされる壬氏の正体!「皇弟」の仮面の裏側
さて、物語の核心に迫りましょう。ずっと「美形の宦官」として振る舞ってきた壬氏ですが、5巻ではついにその出生の秘密が読者に開示されます。
これまで壬氏は、現皇帝の「弟(皇弟)」という立場で通ってきました。しかし、5巻で描かれた「赤子の取り違え事件」の真相は、読者の予想を遥かに超えるものでした。
かつて、当時の皇后(今の皇太后)と、皇帝の寵妃だった阿多(アードゥオ)妃が同時に出産しました。しかし、皇后の子は死に、阿多妃の子は生き残った。その際、阿多妃は「自分の子を安全な地位で育てるため」あるいは「皇后への配慮」から、二人の赤子を入れ替えたのです。
つまり、壬氏の本当の正体は、現皇帝と阿多妃の間に生まれた「実の息子(第一皇子)」。
本来であれば東宮(皇太子)として育てられるべき存在が、なぜ宦官のふりをして後宮を管理していたのか。このあまりにも重い血縁の謎が、今後の物語の大きな火種となっていきます。壬氏自身も自分の立場に苦悩しており、その葛藤を知ると、彼が猫猫に見せる子供っぽい甘えがまた違った意味を持って見えてきます。
衝撃のエピローグ!「蛙」と猫猫のパニック
5巻のクライマックス、いや、全読者が悲鳴を上げたのがエピローグのシーンです。
猫猫は今まで、壬氏のことを「去勢された宦官」だと100%信じ切っていました。だからこそ、どれだけ甘い言葉をかけられても、抱き寄せられても、「変な性癖のある美形だな」程度にしか思っていなかったわけです。
ところが、壬氏はついに痺れを切らしました。自分のことを男として見ていない猫猫に対し、彼は「自分は欠けていない」という事実を物理的に突きつける行動に出ます。
具体的には、服の上からではありますが、猫猫の手を取って自分の「男としての証」を触らせたのです。ファンの間では通称「蛙事件」と呼ばれているこのシーン。猫猫は、そこに「あるはずのないもの」の存在を感じ、脳内が大パニックに陥ります。
「な、なにか……蛙のようなものが……!」
この時の猫猫の困惑と、壬氏の必死すぎるアピール。二人の関係性が「主人の下女」から「男と女」へと強制的にシフトさせられた瞬間でした。今まで鉄壁の理性を保っていた猫猫が、初めて壬氏を異性として強烈に意識せざるを得なくなった。このニヤニヤが止まらない展開こそ、5巻最大の報酬と言えるでしょう。
周辺アイテムで楽しむ『薬屋』の世界
物語が深まるにつれ、猫猫が扱う薬草や当時の文化にも興味が湧いてきますよね。原作小説を読み返すときは、手元に公式ガイドブックなどがあるとより楽しめます。
また、5巻の緊迫したシーンや壬氏の美貌をより鮮明にイメージしたい方には、コミカライズ版もおすすめです。ねこクラゲ先生版と倉田三ノ路先生版、それぞれに良さがあるので、読み比べるのも贅沢な楽しみ方ですよ。
物語の中で猫猫がよく食べているお菓子や、事件の鍵となるアイテムを想像しながら読むのも乙なものです。例えば、猫猫が好む「ナツメ」や「高麗人参」といった食材について調べると、彼女の薬学知識の深さがよりリアルに感じられるはずです。
薬屋のひとりごと 小説 薬屋のひとりごと コミックまとめ:小説『薬屋のひとりごと』5巻のネタバレ解説!壬氏の正体と猫猫との関係に新展開?
ここまで、小説版第5巻の内容をたっぷりと振り返ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
5巻は、単なるミステリーの枠を超え、壬氏の出生という国家レベルの秘密と、猫猫自身の家族の物語が交差する非常に密度の濃い一冊です。そして何より、ラストの「蛙」エピソードによって、二人のラブコメ(?)要素が一段上のステージへと駆け上がりました。
猫猫は今後、壬氏の正体をどう受け止めていくのか。そして、執拗に迫る羅漢との関係はどう決着するのか。5巻を読み終えた後は、もう次の一ページをめくる手が止まらなくなること間違いなしです。
もし、まだアニメやマンガだけで止まっているという方がいたら、ぜひこの機会に小説版を手に取ってみてください。文章でしか味わえない猫猫の細かな心理描写や、壬氏の切実な想いが、より深く心に刺さるはずです。
これからも猫猫と壬氏の、じれったくて少し毒のある関係から目が離せませんね!

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