「コロコロがないと、一ヶ月が始まらない!」
かつてそんな情熱を持って、毎月15日を待ちわびていた元・少年たちは多いはずです。分厚い紙の束、指が黒くなるほどのインクの匂い、そしてワクワクが止まらない最新ホビーの付録。1977年に産声を上げた『月刊コロコロコミック』は、単なる漫画雑誌という枠を超え、日本の小学生文化そのものを作り上げてきました。
今回は、創刊から現在に至るまで、コロコロがどのようにして「子供たちのバイブル」であり続けてきたのか、その熱い歴史と時代を彩った伝説的な人気連載作品を徹底的に振り返っていきます。
創刊のきっかけは「ドラえもんをたっぷり読みたい」という願い
今では信じられないかもしれませんが、コロコロコミックが誕生した1977年当時、小学生たちの圧倒的ヒーローだった『ドラえもん』をまとめて読む手段はほとんどありませんでした。
当時、ドラえもんは小学館の「学年別学習雑誌」に少しずつ連載されていました。しかし、読者からは「もっと一度にたくさん読みたい!」という熱烈なリクエストが殺到。その声に応える形で、学年誌の増刊として産声を上げたのが『コロコロコミック』です。
誌名の由来は、ターゲットである低学年の子供たちが親しみやすく、かつ本自体が「コロコロ」と太っていることから名付けられました。創刊当初は再録作品がメインでしたが、この「分厚い一冊に夢が詰まっている」というスタイルが、当時の子供たちの心を一気に掴んだのです。
80年代:ホビーと漫画が融合した「攻略本」時代の到来
1980年代に入ると、コロコロは独自の進化を遂げます。ただ物語を読むだけでなく、現実世界の流行(ホビー)と漫画を密接にリンクさせる「メディアミックス」の先駆け的な手法を確立しました。
その代表格が『ゲームセンターあらし』です。テレビゲームがまだ目新しかった時代、必殺技を駆使してゲームを攻略するスタイルは、子供たちに「ゲームはスポーツだ!」という衝撃を与えました。
そして、伝説の第1次ミニ四駆ブームを巻き起こしたのが『ダッシュ!四駆郎』です。漫画の中で主人公たちが走らせるマシンを、自分も手にして改造できる。この体験が、コロコロを「漫画雑誌」から「ホビーの聖書(バイブル)」へと押し上げました。
また、この時期には『つるピカハゲ丸』や『おぼっちゃまくん』といった、大人には眉をひそめられるけれど子供は大爆笑する「下ネタ・ナンセンスギャグ」も定着し、学校での話題を独占しました。
90年代:200万部突破!空前の黄金時代とポケモン誕生
1990年代は、コロコロにとって文字通りの黄金時代でした。1997年には発行部数が200万部を突破し、社会現象となりました。
この時代を牽引したのは、第2次ミニ四駆ブームの立役者『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』です。フルカウルミニ四駆という新しいデザインのマシンは爆発的に売れ、全国の模型店で大会が開かれました。
そして、忘れてはならないのがポケットモンスターの登場です。ゲームソフトの発売前から連載を開始し、当初は穴久保幸作先生によるシュールなギャグ漫画としてスタートしました。「ギエピー!」という独特の叫び声は、当時の読者なら誰もが知るフレーズです。
さらに『学級王ヤマザキ』や『うちゅう人 田中太郎』など、個性が強すぎるギャグ漫画が次々とヒット。放課後の話題はすべてコロコロが提供していると言っても過言ではない、熱狂の10年間でした。
2000年代:カードゲームとダークファンタジーの台頭
2000年代に入ると、遊びの主流はアナログなホビーからトレーディングカードゲーム(TCG)へと移り変わります。その中心にいたのが『デュエル・マスターズ』です。
それまでのコロコロは、どちらかといえば「明るく、元気に、おバカに」というトーンが主流でしたが、この頃から『コロッケ!』のような本格的なバトルファンタジーや、少しシリアスな要素を含む作品も人気を集めるようになりました。
もちろん、コロコロの魂であるギャグも進化を止めません。『絶体絶命でんぢゃらすじーさん』は、予測不能な展開とシュールすぎるオチで、新時代の子供たちの笑いのツボを完全に掌握しました。この作品は、今でも形を変えながら連載が続く、コロコロ史上屈指の長寿ギャグ作品となっています。
2010年代から現在:YouTube・ゲーム実況との共存
スマホやYouTubeが普及した現代、子供たちの娯楽は多様化しました。しかし、コロコロは時代に合わせてその姿を変え、今もなおトップを走り続けています。
2010年代の大きなトピックといえば、やはり『妖怪ウォッチ』の爆発的ヒットでしょう。漫画、ゲーム、アニメ、そして玩具(メダル)が完璧に連動した戦略は、まさにコロコロが得意とする「ホビー連動」の集大成でした。
現在は、スプラトゥーンやマインクラフトといった人気ビデオゲームの漫画化に加え、人気YouTuberをキャラクター化した作品など、デジタルネイティブ世代の興味を逃さないラインナップを展開しています。
また、Webメディア「コロコロオンライン」での情報発信や、YouTubeチャンネルでの動画配信など、紙の雑誌を飛び出した活動も活発です。
なぜコロコロは「中学生で卒業」させるのか?
コロコロには、他の漫画雑誌にはない不思議な特徴があります。それは、読者をあえて「中学生になったら卒業させる」という一貫した編集方針です。
多くの雑誌は、読者の成長に合わせて内容を大人っぽくし、読者を繋ぎ止めようとします。しかし、コロコロはそれをしません。常に「いまの小学生男子」が最高に面白いと思うことだけを追求します。
そのため、中学生になってコロコロを卒業した若者は、数年後に「懐かしい!」という感情と共にコロコロを振り返ることになります。この「卒業させる文化」があるからこそ、コロコロは常に新陳代謝を繰り返し、いつの時代も「一番新しくて、一番バカバカしくて、一番熱い」場所であり続けられるのです。
時代を超えて愛される「付録」の魔法
コロコロを語る上で欠かせないのが、毎号の豪華な付録です。
かつてはミニ四駆の限定パーツや、ビックリマンシールのカタログ。その後はデュエマの限定プロモカードや、ベイブレードの限定カラーパーツ。そして現在は、ゲーム内で使えるシリアルコードやデジタルコンテンツまで、その形態は進化し続けています。
特に「銀はがし」と呼ばれるプレゼント企画は、コロコロの象徴です。1円玉や10円玉で銀色の部分を削るあのドキドキ感は、デジタルなガチャとはまた違う、アナログならではの興奮を当時の子供たちに与えてくれました。
こうした「実際に触って遊べる体験」を毎月提供し続けていることが、時代が変わってもコロコロが愛される大きな理由の一つです。
漫画雑誌コロコロ創刊から現在まで!その歴史と人気連載作品を振り返るまとめ
創刊から45年以上の月日が流れましたが、コロコロコミックの根底にある「子供たちを全力で楽しませる」という精神は、1ミリもブレていません。
『ドラえもん』から始まったその歩みは、ミニ四駆、ポケモン、妖怪ウォッチ、そして現在のゲーム・YouTuberコラボへと引き継がれ、常にその時代の小学生たちの中心にありました。
かつて読者だったお父さん世代と、今まさに夢中になっている子供たちが、Nintendo Switchのゲームや最新のホビーを通じて同じ話題で盛り上がれる。そんな「世代を繋ぐ架け橋」としての役割も、今のコロコロは担っています。
もし最近コロコロを手に取っていないのなら、ぜひ一度本屋でその圧倒的な厚みを感じてみてください。そこには、いつの時代も変わらない「少年の情熱」がぎっしりと詰まっています。
漫画雑誌コロコロ創刊から現在まで!その歴史と人気連載作品を振り返ると、そこには常に私たちの最高の遊び場があったことが再確認できるはずです。

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