「ひぐらしのなく頃に」という名前を聞くだけで、あの夏の蝉の声と、どこか不穏な雛見沢の風景が脳裏に浮かぶファンは多いはずです。そんな伝説的シリーズの正統なる続編としてスタートした『ひぐらしのなく頃に令』。
しかし、ネット上の一部では「ひぐらしのなく頃に令は打ち切りになったのでは?」という不穏な噂が流れることがあります。結論からお伝えすると、これは大きな誤解です。
なぜ打ち切りという噂が流れてしまったのか、そして最新の物語はどう着地したのか。令和の雛見沢で起きている「惨劇」の真実に迫ります。
なぜ「打ち切り」という噂が一人歩きしてしまったのか
そもそも、なぜこれほどまでに「打ち切り」という言葉が検索されているのでしょうか。そこには、本作ならではの特殊な連載形式が深く関係しています。
かつての「ひぐらし」シリーズが「出題編」と「解答編」に分かれていたように、『ひぐらしのなく頃に令』も複数の編に分かれて展開されました。具体的には「鬼熾し編(おにおこしへん)」と「星渡し編(ほしわたしへん)」という二つの物語が同時並行で進み、それぞれが全2巻という非常にコンパクトなボリュームで完結したのです。
一般的な週刊少年誌の連載に慣れている読者からすると、1〜2巻で「完結」と銘打たれるのは、人気がなくて連載が終了した、いわゆる打ち切りに見えてしまったのかもしれません。
しかし、これは計算し尽くされた構成でした。二つの対照的な物語を見せた上で、最終章となる「色尊し編(いろとうとしへん)」へと繋げる。このリレー形式の構成こそが、令和版ひぐらしの醍醐味だったのです。
また、掲載媒体が「ガンガンONLINE」などのWEB媒体が中心だったことも影響しています。雑誌の表紙を飾り続けるような露出の仕方ではなかったため、物語を追いかけていない層から見れば「いつの間にか終わっていた=打ち切り?」という連想を生んでしまったのでしょう。
令和の雛見沢を彩る「子ども世代」の物語
本作の最大の特徴は、前作の主人公である前原圭一や竜宮レナたちの子ども世代が主人公を務めている点です。
物語の舞台は、昭和58年の惨劇から約30年が経過した令和の雛見沢。平和を取り戻したはずの村に、再び不穏な影が落ちます。親となったかつての部活メンバーたちは、それぞれが抱える事情から、かつてのような「団結」を維持できなくなっていました。
かつての英雄たちが、大人になり、社会の荒波に揉まれ、時には離婚や失踪といった生々しい現実を突きつけられている。このリアリティが、古参のファンには衝撃的でした。
そんな中、子どもたちは親たちの過去を知らずに育ちます。しかし、雛見沢という土地が持つ独特の因習と、現代社会特有の「情報の分断」が混ざり合い、新たな惨劇の幕が上がってしまうのです。
この「親世代の苦悩」と「子世代の純粋さ」の対比が、物語に深みを与えています。もし興味を持たれたなら、まずは電子書籍などで第一巻を手に取ってみるのがおすすめです。Kindle Paperwhiteのようなデバイスがあれば、ホラー特有の細かな描き込みまで鮮明に楽しめますよ。
現代特有の恐怖を描く「色尊し編」の重要性
打ち切り説を完全に否定する最大の根拠が、最終章である「色尊し編」の存在です。ここでは、なぜ再び雛見沢で惨劇が起きる必要があったのか、そのすべての謎が解き明かされます。
昭和のひぐらしが「閉鎖的な村社会」や「疑心暗鬼」をテーマにしていたのに対し、令和のひぐらしは「ネットによる分断」や「過激な思想の流入」をテーマに据えています。
SNSを通じて広がる偏った情報、一度信じ込んだら修正できない正義感。これらは現代の私たちが日常的に直面している恐怖です。竜騎士07先生が描きたかったのは、30年経っても変わらない「人間の心の脆さ」と、それでも希望を見出そうとする「意志」の力だったのではないでしょうか。
この物語を最後まで読み届ければ、打ち切りどころか、むしろ「今、この時代に描かれるべき必要不可欠なエピソード」であったことが理解できるはずです。
漫画版ならではの魅力と圧倒的な画力
『ひぐらしのなく頃に令』の魅力を語る上で欠かせないのが、作画を担当された夏海ケイ先生の圧倒的な表現力です。
夏海先生は過去に『うみねこのなく頃に』のコミカライズも担当されており、竜騎士07ワールドの「静と動」の描き分けにおいて右に出る者はいません。日常のほのぼのとしたシーンから、一瞬で奈落に突き落とされるようなホラー描写への転換。その「顔芸」とも称される狂気の表情描写は、紙媒体だからこそ味わえる恐怖です。
アニメ版の『ひぐらしのなく頃に 業/卒』とはまた違った解釈や、漫画ならではの丁寧な心理描写が追加されているため、アニメで結末を知っているという方でも、全く新しい発見があるはずです。
全巻を揃えて一気に読む体験は、まさにミステリー小説を紐解くような快感があります。ひぐらしのなく頃に令のセットを手元に置いて、一晩かけてじっくりと「解答」に辿り着く。そんな贅沢な過ごし方も、完結した今だからこそできる楽しみ方です。
まとめ:ひぐらしのなく頃に令は打ち切りではなく「最高の終焉」へ
改めて結論をまとめます。
『ひぐらしのなく頃に令』は打ち切りではありません。2025年2月に発売される最終巻をもって、予定通り、そして堂々と物語の幕を閉じました。
「打ち切り」という言葉に惑わされて、この傑作をスルーしてしまうのは非常にもったいないことです。前作へのリスペクトを込めつつ、現代社会の闇を鋭く切り取った本作は、間違いなく「ひぐらし」シリーズの正当な系譜に連なる作品です。
かつて雛見沢の惨劇に涙し、運命に立ち向かう少年少女を応援したことがあるあなたなら、きっと彼らの子どもたちが選ぶ「未来」にも心が震えるはず。
かつての部活メンバーが大人になり、どのような答えを出したのか。そして新しい世代がどのようにして「令和の惨劇」を乗り越えるのか。その目でぜひ確かめてみてください。
ひぐらしのなく頃に令は打ち切り?という疑問を持っていた方も、この記事をきっかけに安心して最新の雛見沢へと足を踏み入れていただければ幸いです。

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