大ヒット作『アカメが斬る!』の正統な続編として、華々しく連載がスタートした『ヒノワが征く!』。前作のメインキャラクターであるアカメが再登場し、新たな戦乱の地「ワコク」を舞台に繰り広げられるダークファンタジーは、連載当初から多くのファンの注目を集めていました。
しかし、2022年6月に発売された「月刊ビッグガンガン」にて、物語は突如として幕を閉じます。あまりにも多くの謎を残したままの「完結」に、ネット上では「打ち切り理由はなぜ?」「続きはどうなるの?」といった悲鳴に近い声が上がりました。
今回は、なぜ『ヒノワが征く!』が道半ばで終了してしまったのか、その真相と読者のリアルな評価を掘り下げていきます。
期待された「アカメシリーズ」最新作の幕引き
本作は、前作で呪いを受けたアカメが、その解呪の方法を探すために東方の島国「ワコク」へ渡るという、ファン垂涎のプロットから始まりました。前作の魅力であった「命のやり取り」や「過酷な戦場描写」を継承しつつ、新しい主人公ヒノワの成長を描く物語。誰もが壮大な長編になると確信していたはずです。
しかし、単行本第8巻で描かれた結末は、お世辞にも「大団円」と呼べるものではありませんでした。敵の総本山である天狼国との決戦を前にして、ヒノワが王としての決意を固めるという、いわゆる「俺たちの戦いはこれからだ」エンド。
この唐突な幕引きの裏には、複数の要因が複雑に絡み合っていました。
ヒノワが征く打ち切り理由を深掘り:売上と反響の現実
最も大きな要因として挙げられるのが、商業的なパフォーマンス、つまり単行本の売上不振です。
漫画ビジネスにおいて、続編が前作の売上を超えるのは非常に難しいことですが、本作の場合はその減少幅が予想以上に大きかったと言わざるを得ません。『アカメが斬る!』がアニメ化、さらには前日譚である『アカメが斬る!零』も含めて巨大な市場を形成していたのに対し、『ヒノワが征く!』は既存のファンを十分に繋ぎ止められませんでした。
また、読者アンケートやレビューサイトでの評価も、物語が進むにつれて二極化していきました。特に中盤以降、物語のテンポが停滞気味になったことや、新キャラクターたちの掘り下げが前作の「ナイトレイド」メンバーほど深くなかった点など、ファンが求めるハードルに対して、提供される内容が噛み合わなくなっていった側面があります。
過激すぎる表現が招いた読者離れの影響
ダークファンタジーというジャンルにおいて、残酷な描写や性的な暴力描写は一種のリアリティを演出する手段です。しかし、本作においてはその描写の「質」が、読者の拒否反応を招いてしまった可能性があります。
5巻以降、敵対勢力による女性キャラクターへの凌辱や非道な仕打ちが、ストーリーの進行以上に強調される場面が増えました。前作も凄惨な死に様が特徴でしたが、そこには常に「キャラクターの生き様」や「信念の対立」が根底にありました。
今作では、一部の読者から「ただ不快なだけのシーンが増えた」「物語の面白さに繋がっていない」という厳しい意見が目立ち、Amazonレビュー等でも評価を落とす要因となりました。こうした「好みの分かれる描写」がライト層の離脱を加速させ、打ち切りという判断を早めた一因になったことは否定できません。
原作者タカヒロ氏の多忙と作品の優先順位
漫画界の裏事情として、原作者であるタカヒロ氏の驚異的な活動量も関係しているでしょう。タカヒロ氏は当時、本作以外にも魔都精兵のスレイブなどの人気作を抱えていました。
特に魔都精兵のスレイブは、アプリでの連載開始直後から圧倒的な人気を博し、アニメ化まで一気に駆け上がった超ヒット作です。限られた制作時間の中で、商業的に勢いのある作品にリソースが集中するのは、業界の構造上避けられない側面があります。
複数の連載を抱える中で、数字が伸び悩んでいる作品を整理し、ヒット作に注力するという「選択と集中」が行われた可能性は非常に高いです。
未回収の伏線:アカメの呪いとタツミのその後
ファンが最も憤りを感じているのは、物語の結末そのものよりも、前作から続く重要な設定がすべて「投げっぱなし」にされたことです。
- アカメの呪いは解けたのか?前作のラストで村雨の呪いに侵されたアカメが、命を繋ぐためにワコクへ向かったはずが、結局その具体的な解決策は示されませんでした。
- タツミを人間に戻す方法は?帝具の代償で竜の姿になってしまった前作主人公・タツミ。彼を元に戻すというアカメの悲願も、今作では完結しませんでした。
- ナハシュとの決着は?前日譚『零』からの因縁があるナハシュの再登場など、ファンを熱くさせる要素があったにもかかわらず、その結末もぼかされたままです。
これらの要素はアカメが斬る!を愛読していたファンにとっての「最大の宿題」であったため、それらが放棄された状態での完結は、まさに「打ち切り」という言葉が相応しい状況でした。
作画担当strelka先生への評価と今後の期待
一方で、作画を担当したstrelka先生の画力については、最後まで高く評価されていました。
繊細かつ力強いタッチで描かれる戦闘シーンや、キャラクターの表情の機微は、タカヒロ氏の世界観を見事に再現していました。打ち切りの報を聞いたファンの中には「この画力で最後まで読みたかった」という声が多く、strelka先生のファンになった読者も少なくありません。
完結後、strelka先生は別のプロジェクトへと移っていますが、本作で見せた圧倒的な構成力とビジュアルは、間違いなく次作でも活かされるはずです。興味のある方はヒノワが征く!の単行本を改めて読み返し、その卓越した作画を堪能してみてはいかがでしょうか。
まとめ:ヒノワが征く打ち切り理由はなぜ?完結の真相とファンの評価を徹底考察
改めて『ヒノワが征く!』を振り返ると、非常にポテンシャルの高い作品であったことは間違いありません。「ワコク」という新しい舞台での戦略的な戦いや、前作キャラの介入など、ワクワクする要素は随所に散りばめられていました。
しかし、**「売上不振」「過激描写による読者離れ」「他作品へのリソース集中」**という三つの壁が、物語の完結を急がせてしまったのが実情でしょう。
アカメの旅路が中途半端に終わってしまったことは、シリーズファンとして非常に残念ですが、いつか別の形(小説やドラマCD、あるいは別のメディア)で補完される可能性もゼロではありません。
もしあなたがまだ最終巻を読んでいないのであれば、ぜひヒノワが征く! 8巻を手に取って、ヒノワたちが最後にどんな覚悟を決めたのか、その一部始終を見届けてみてください。たとえ打ち切りという形であっても、そこには確かにタカヒロ氏とstrelka先生が描こうとした「戦記」の魂が宿っています。
『ヒノワが征く!』打ち切り理由はなぜ?という問いに対する答えは、一つではありません。しかし、読者がこの作品を愛し、その結末を惜しんだという事実こそが、この物語が確かに存在した価値を証明しているのです。
この作品の続きや、アカメの真の結末を願う声が止まない限り、いつか「ワコク」の地が再び描かれる日が来るかもしれません。その時を信じて、今は二人の作者の次なる挑戦を応援しましょう。

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