「えっ、うちの会社、企業年金をやめるの……?」
ある日突然、会社からそんな説明を受けたら、誰だって血の気が引くような思いをしますよね。老後の柱として当てにしていたお金が、自分の定年を待たずに「打ち切り」になる。そんなことが本当に許されるのか、これから自分のお金はどうなってしまうのか。不安で夜も眠れないという方もいらっしゃるかもしれません。
実は今、日本の多くの企業で、従来の企業年金制度を見直したり、事実上の打ち切り(廃止)を選択したりする動きが加速しています。これは決して珍しいことではありませんが、働く側にとっては死活問題です。
この記事では、企業年金が打ち切りになる本当の理由から、制度が廃止された後に私たちの手元に残るお金の行方、そして損をしないために今すぐ取るべき対策までを、どこよりも分かりやすく解説します。
なぜ今、多くの会社で企業年金が打ち切りになっているのか
「会社が危ないんじゃないか?」と真っ先に疑ってしまいますが、実は企業年金の打ち切りには、会社の倒産以外にもいくつかの大きな理由があります。
最も多いのが、企業側が抱える「財務リスク」の回避です。
これまで主流だった「確定給付企業年金(DB)」という制度は、会社が将来の受給額をあらかじめ約束する仕組みでした。しかし、低金利が続く今の世の中、約束した金額を支払うために必要な運用益を出すのは至難の業です。
運用がうまくいかなければ、会社が身銭を切って不足分を補填しなければなりません。この負担が経営を圧迫するため、「もうこれ以上、将来の額を保証し続けるのは限界だ」と判断し、制度を打ち切る、あるいは別の制度へ移行する企業が増えているのです。
また、働き方の多様化も影響しています。一つの会社に定年まで勤め上げる人が減った現代では、特定の会社に縛られる年金制度よりも、転職先へ持ち運びができる制度の方が合理的だという考え方も広まっています。
制度廃止で「今まで積み立てたお金」は消えてしまうのか?
一番の心配事は、やはり「これまで積み立ててきた分はどうなるの?」という点ですよね。結論から言うと、会社が制度を廃止したからといって、あなたが積み立ててきた権利がすべてゼロになることはありません。
日本の法律では、受給権(年金をもらう権利)は強く保護されています。制度が打ち切りになった時点までの積立金は、以下のいずれかの形で精算されるのが一般的です。
- 「脱退一時金」として現金で受け取る
- 「確定拠出年金(DC)」などの別の制度に資産を移換する
- 「企業年金連合会」に資産を引き継ぎ、将来年金として受け取る
ただし、注意が必要なのは「会社の倒産」が理由で、かつ積立金が大幅に不足しているケースです。この場合、本来もらえるはずだった金額から一定の減額が行われる可能性があります。それでも全額没収されるようなことはまずありませんが、満額回答とはいかないリスクがあることは知っておくべきでしょう。
企業年金打ち切りによる具体的なデメリットと注意点
制度がなくなったり変わったりすることで、私たちにはどのようなデメリットが生じるのでしょうか。大きく分けて3つのポイントがあります。
まず一つ目は、「運用のリスクが自分に移る」ことです。
多くの企業では、DBを打ち切る代わりに「企業型確定拠出年金(DC)」を導入します。これは、会社が掛け金を出してくれるものの、それをどう運用して増やすかは自分次第という制度です。運用に失敗すれば、将来受け取れる額は想定よりも少なくなってしまいます。
二つ目は、「給与前払い方式」への変更による税金の問題です。
企業年金を廃止し、その分の掛け金を毎月の給料に上乗せして支払う形にする企業もあります。一見、手取りが増えて嬉しいように感じますが、実はこれ、所得税や住民税、さらに社会保険料の算出基礎となる金額が上がることを意味します。結果として、トータルの税負担が増え、将来の年金原資として残る実質的な金額が目減りしてしまうケースがあるのです。
三つ目は、単純な「給付水準の引き下げ」です。
制度移行のタイミングで、新しい制度の設計が以前よりも手薄になっていることがあります。会社側の説明会では「新しい時代に合わせた柔軟な制度」といったポジティブな言葉が並びますが、計算してみると将来の受給見込み額が下がっている、ということも少なくありません。
損をしないために!打ち切りを告げられたら確認すべきこと
会社から「制度が変わります」「打ち切ります」というアナウンスがあった際、ただ頷いて書類にサインするのは危険です。以下のチェックリストを参考に、自分の権利を確認しましょう。
- 現在の積立額(既得権)はいくらあるのか?
- 一時金で受け取る場合の税金はどれくらいかかるか?
- 他の年金制度(iDeCoなど)への持ち運び(ポータビリティ)は可能か?
- 新制度に移行する場合、会社からの掛け金はこれまでと同等か?
特に重要なのが「移換(ポータビリティ)」の手続きです。一時金として現金でもらってしまうと、その場で税金が引かれ、老後資金としての複利効果も途切れてしまいます。もし転職先にDC制度があるならそちらへ、ない場合でも個人型確定拠出年金のiDeCoなどを活用して、非課税枠を維持したまま資産を運用し続けるのが賢い選択です。
また、最新の資産管理術を学ぶことも大切です。企業年金が頼りにならなくなる以上、私たちは自力で「増やす」努力をしなければなりません。例えば、話題の新NISAや高配当株投資などを通じて、会社の制度に依存しない資産の柱を作っておくことが、最大の防御になります。
最近では、スマートフォンのアプリで手軽に資産状況を把握したり、投資の勉強ができたりする時代です。iphoneなどの最新デバイスを使いこなし、常に自分の資産推移をチェックできる環境を整えておきましょう。
企業年金が打ち切りになっても慌てない!老後資金を守るための新戦略
会社に頼りきりの時代は終わりました。厳しいようですが、これが現実です。しかし、裏を返せば「自分の判断次第で、会社が用意してくれた以上の資産を築けるチャンス」とも言えます。
もし企業年金が打ち切りになったら、それを「お金の勉強を始めるきっかけ」と捉えてみてはいかがでしょうか。
まず検討したいのが、自分で作る年金「iDeCo」です。掛け金が全額所得控除になるため、ただ貯金するよりも圧倒的に効率よく老後資金を貯められます。また、新NISAを併用することで、いつでも引き出し可能な柔軟な資産も作れます。
会社から支払われる一時金を、そのまま銀行の普通預金に眠らせておくのはもったいないことです。インフレが進む今の時代、現金の価値は相対的に下がっていきます。資産を守るためには、適切な場所に資産を「移す」知識が不可欠です。
家計の見直しも同時に行いましょう。固定費を削減し、浮いた資金を積立投資に回す。このシンプルな繰り返しが、数十年後に企業年金の欠落分を補って余りある大きな差となって返ってきます。
まとめ:企業年金が打ち切りになる理由は?廃止後のデメリットやもらえるお金への対策を解説
いかがでしたでしょうか。
「企業年金が打ち切りになる」というニュースは、確かにショッキングな出来事です。しかし、その正体は「会社が守ってくれる時代の終焉」であり、私たちが自立してお金を管理するステージへ移るための合図でもあります。
今回の内容をまとめると、以下の通りです。
- 企業年金の打ち切りは、会社の財務リスク回避や制度移行が主な原因。
- これまで積み立てた分は法律で保護されているため、消えてなくなるわけではない。
- ただし、運用リスクが個人に移ったり、税負担が増えたりするデメリットがある。
- 損をしないためには、一時金での受け取りよりも、iDeCoなどへの移換を優先的に考える。
- 会社の制度に依存せず、新NISAなどを活用して自力で資産形成を行う。
将来の不安を解消する唯一の方法は、正しい情報を得て、具体的な行動に移すことです。会社から配布された資料をもう一度読み込み、今の自分に何ができるかを考えてみてください。
もし、DCの運用商品選びに迷ったり、今の自分に最適な移換先が分からなかったりする場合は、本を読んで勉強するのも一つの手です。最新のマネー本はkindleなどの電子書籍でいつでも手軽に読めます。
あなたの老後は、会社が作るものではなく、あなた自身が今日からの行動で作っていくものです。今回の制度変更をピンチではなく、一生モノのお金の知識を身につけるチャンスに変えていきましょう。
「企業年金が打ち切りになる理由は?廃止後のデメリットやもらえるお金への対策を解説」というテーマでお届けしましたが、この記事があなたの将来を守る一助となれば幸いです。

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