「あれ、俺レベって打ち切りだったの?」
SNSや掲示板を見ていると、時折そんな言葉を目にすることがあります。世界中で爆発的な人気を誇り、アニメ化も果たした超人気作『俺だけレベルアップな件』。実は、本作は打ち切りではなく、物語として堂々の完結を迎えています。
それなのに、なぜ「打ち切り」という噂が後を絶たないのでしょうか。そこには、ファンにとってあまりにも衝撃的だった出来事や、物語のラストに対する読者の複雑な思いが関係していました。
今回は、俺だけレベルアップな件の完結にまつわる真相と、なぜ打ち切り説が流れたのか、その裏側に迫ります。
衝撃の訃報と「俺だけレベルアップな件」打ち切り説の背景
まず、多くのファンが「続きが描かれなくなった=打ち切り」と誤解してしまった最大の要因について触れなければなりません。それは、漫画版(Webtoon)の圧倒的な作画を担当されていたDUBU(ジャン・ソンラク)先生の逝去です。
作画担当・DUBU先生との別れ
2022年7月、DUBU先生が37歳という若さでこの世を去られたというニュースは、世界中の読者に衝撃を与えました。死因は脳出血と発表されています。
実は、漫画版の本編連載自体は2021年12月の第179話をもって、物語の区切りとして完結していました。しかし、そのわずか半年後にこの悲報が届いたことで、情報が錯綜。「先生が亡くなったから、これ以上続きが描けなくなった(打ち切られた)」と解釈する人が続出したのです。
外伝への期待と空白期間
本編完結後、原作小説にはその後のエピソードを描いた「外伝」が存在していました。ファンは当然、DUBU先生の絵で外伝が読めるものと期待していましたが、先生の訃報によりその実現は一時不透明となりました。
この「本編終了から次の展開までの空白」と「訃報」が重なったことが、打ち切りというネガティブなキーワードを増幅させる結果となったのです。
物語の結末が「急ぎ足」に見えた理由
作品の内容そのものが、読者に「打ち切り的な感覚」を与えてしまった側面も否定できません。特に終盤の展開スピードは、それまでの丁寧なビルドアップに比べると非常に速いものでした。
輪廻の杯による世界のリセット
物語のクライマックス、主人公の水篠旬(ソン・ジヌ)は、強大すぎる敵である「君主たち」との戦いに決着をつけるため、禁じ手とも言えるアイテム「輪廻の杯」を使用します。
これによって世界は10年前に巻き戻り、旬は一人ですべての元凶を断ち切る孤独な戦いに身を投じます。読者からすれば、これまで積み上げてきた仲間との絆や、ハンターたちの活躍が「なかったこと」になる展開に対し、「強引に終わらせたのではないか?」という印象を抱かせたのです。
パワーインフレの極致
物語の後半、旬の強さはもはや全人類、全ハンターを置き去りにする次元へと到達しました。
Kindle Paperwhiteなどの電子書籍で一気読みすると分かりますが、敵のスケールが地球規模から宇宙規模、そして神々の領域へと一気に跳ね上がります。
この急激なインフレに対し、物語の収束があまりに鮮やかすぎたため、「もっと長く連載を続けるはずが、大人の事情で短縮されたのでは?」と邪推する声が上がりました。しかし、これはあくまで原作小説に忠実な構成であり、予定通りの完結だったのです。
打ち切りではない証拠:広がり続けるプロジェクト
もし本当に人気低迷による打ち切りであれば、完結後にこれほど大規模なメディア展開が行われることはありません。
異例のヒットを記録したアニメ化
2024年に放送されたアニメ版は、日本国内のみならず海外で凄まじい反響を呼びました。作画クオリティの高さはもちろん、旬がどん底から這い上がっていくカタルシスが、現代の視聴者の心に刺さったのです。
もし打ち切り作品であれば、多額の予算を投じたアニメ化プロジェクトが動くことはまずありません。
続編『ラグナロク』の始動
現在、旬の息子である護(スホ)を主人公とした続編、『俺だけレベルアップな件~ラグナロク~』の連載が始まっています。
この続編の存在こそが、本作が打ち切りではなく、一つの巨大なサーガ(叙事詩)として完結し、次世代へバトンを渡した証拠と言えるでしょう。
ファンの声とQ&Aサイトで見られる誤解
ネット上の質問サイトやSNSを見ると、今でも「なぜあんな終わり方だったの?」という疑問が散見されます。
- 「俺レベって最後、夢オチみたいなもの?」厳密には夢オチではありませんが、世界の時間が巻き戻ったことで「旬以外は誰も覚えていない」という状況になりました。これが読者の喪失感を呼び、不完全燃焼感=打ち切りという解釈を生んだ一因かもしれません。
- 「作画が変わったのはなぜ?」外伝の連載は、DUBU先生が設立した「REDICE STUDIO」のチームが先生の遺志を継ぐ形で制作されました。タッチの違いを感じた読者が、そこから違和感を覚え、連載の経緯について調べる中で「打ち切り」というワードに出会うパターンも多いようです。
まとめ:『俺だけレベルアップな件』が打ち切りと言われる理由は愛ゆえの誤解
改めて結論を述べると、『俺だけレベルアップな件』が打ち切りという事実は一切ありません。
「打ち切り」という噂がこれほどまでに根強く残っているのは、以下の3点が複雑に絡み合っているからです。
- 天才絵師・DUBU先生のあまりにも早すぎる訃報。
- 原作の構成による、スピード感あふれる(人によっては急ぎ足に感じる)結末。
- 「もっとこの世界を見ていたい」というファンの強い名残惜しさ。
読者が「もっと続いてほしかった」と願うほどの熱量があったからこそ、あのような終わり方が「急な終了(打ち切り)」に見えてしまった。いわば、作品への愛が生んだ誤解と言えるでしょう。
現在はアニメの続編制作も決定しており、ゲーム展開や新シリーズなど、その勢いは衰えるどころか加速しています。もし、まだラストを見届けていないという方がいれば、ぜひ俺だけレベルアップな件を最後まで読んでみてください。そこには、一人の男が孤独に世界を背負い、最強を超えた先にある「真の完結」が待っています。
『俺だけレベルアップな件』は、打ち切りという言葉とは無縁の、Webtoon界に金字塔を打ち立てた伝説的な名作なのです。

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