「月9(げつく)」という響きを聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
かつては『ロングバケーション』や『HERO』といった怪物級のヒット作を連発し、月曜の夜には街から女性が消えるとまで言われた伝説のドラマ枠。しかし、最近ではネットニュースを開くたびに「視聴率爆死」「打ち切り危機」といった刺激的な言葉が並んでいます。
テレビ離れが進む令和の時代、果たしてフジテレビの看板である月9は本当に幕を閉じてしまうのでしょうか。今回は、業界の内情や最新の視聴データ、そして視聴者のリアルな声から、月9の未来を徹底的に解剖していきます。
なぜ「月9打ち切り」の噂がこれほどまでに囁かれるのか
そもそも、なぜここまで執拗に「打ち切り」や「枠廃止」という噂が流れるのでしょうか。その最大の理由は、私たちが長年指標としてきた「世帯視聴率」の劇的な変化にあります。
かつての月9は、平均視聴率20%超えが当たり前。30%を超えてようやく「大ヒット」と呼ばれるような異次元の世界でした。しかし、ここ数年の作品を見てみると、5%から7%台を推移することも珍しくありません。この数字だけを切り取れば、確かに「かつての勢いはない=打ち切り」という短絡的な結論に結びつきやすいのです。
また、フジテレビ全体の業績や、制作費の削減といった生々しい台所事情も噂に拍車をかけています。ドラマはバラエティ番組に比べて莫大な制作費がかかります。1話あたりの制作費が数千万円にのぼることも珍しくない中、数字が取れないのであれば、よりコストの低い番組に差し替えるべきだという経営的判断が下されても不思議ではない、という見方が強まっているのです。
視聴率低迷の裏側に隠された「テレビの評価基準」の激変
しかし、ここで一つ冷静に考えなければならないことがあります。それは、テレビ局が今、何を最優先の指標にしているかという点です。
今の時代、リアルタイムでテレビの前に座ってドラマを見る人は確実に減っています。その代わり、スマートフォンやタブレットを使い、好きな時間にiPadやスマートフォンで視聴する「見逃し配信」が主流となりました。
実は、月9の作品はTVerなどの見逃し配信において、依然として国内トップクラスの再生数を叩き出しています。たとえば、目黒蓮さん主演の『海のはじまり』などは、放送直後から記録的な再生回数を記録しました。
スポンサー企業も、単なる「世帯視聴率」ではなく、購買意欲の高い若年層や現役世代がどれだけ見ているかという「コア視聴率」や「配信再生数」を重視するようになっています。つまり、世間が「視聴率が低いから打ち切りだ」と騒いでいる裏で、テレビ局側は「配信でこれだけ回っているなら、広告価値は十分にある」と判断している可能性があるのです。
ターゲット層とのズレ?最近の月9が抱えるジレンマ
とはいえ、作品の内容に対して視聴者が抱いている違和感も無視できません。最近の月9には、大きく分けて二つの「迷い」が見て取れます。
一つは、テーマの重層化です。かつての月9が得意としたのは、明るく華やかな「トレンディドラマ」でした。美男美女が恋に悩み、最後にはハッピーエンドを迎える。そんな月曜の夜に相応しい開放感が魅力でした。
しかし近年の作品は、生と死、家族の断絶、重い病など、非常にシリアスなテーマを扱うことが増えています。もちろん作品としての質は高いのですが、視聴者からは「週の始まりである月曜の夜に、ここまで重いものを見るのは体力がいる」という声も少なくありません。
もう一つは、若年層ターゲットと実視聴層の乖離です。Z世代に人気のキャストを起用し、SNS映えする演出を多用しても、実際にテレビをリアルタイムで見ているのは40代以上の層が中心です。この層が求める「王道の面白さ」と、制作側が狙う「若者への訴求」がうまく噛み合わず、結果としてどちらの層からも「期待していたものと違う」と評価されてしまうケースが見受けられます。
逆襲の鍵を握る?2025年以降の「新・月9戦略」
フジテレビも、手をこまねいているわけではありません。これまでの「恋愛至上主義」のイメージを打破し、新しい月9の形を模索する動きが活発化しています。
その象徴的な動きが、ベテラン俳優や実力派キャストを中心とした「骨太な人間ドラマ」や「ミステリー」へのシフトです。かつてのキラキラした世界観から一転、大人の鑑賞に耐えうるクオリティを追求し始めています。
また、ヒット作のシリーズ化も重要な戦略です。木村拓哉さん主演の『教場』シリーズのように、単発のドラマから連続ドラマへ、そして映画へと展開できる強力なIP(知的財産)を育てることで、枠全体のブランド力を維持しようとしています。
さらに、海外市場への展開も視野に入っています。日本のドラマは今、Netflixなどのプラットフォームを通じて世界中で視聴されています。月9というブランドを国内だけでなく、世界に通用する「日本のドラマの顔」として再構築しようという意図も感じられます。
視聴者の本音。私たちが本当に月9に求めているもの
ネット掲示板やSNSを覗いてみると、月9に対する視聴者の思いは、単なる批判ではなく「愛ある叱咤激励」に近いことがわかります。
「昔のような、ワクワクする月曜夜を返してほしい」
「数字なんて気にせず、とにかく質の高い物語を作ってほしい」
「新しい俳優さんを知るきっかけになるのは、いつも月9だった」
こうした意見からは、月9という枠が単なるテレビ番組以上の、ある種の「文化」として根付いていることが伝わってきます。視聴者は打ち切りを望んでいるのではなく、今の時代に合った「新しい王道の誕生」を待ち望んでいるのです。
Fire TV Stickをテレビに差し込んで、いつでも過去の名作を見返せる今だからこそ、最新作にはそれらに負けない「今の時代を象徴する力」が求められています。
フジテレビ月9ドラマは打ち切り間近?枠廃止の噂や視聴率低迷の理由を徹底調査した結論
ここまで様々な角度から検証してきましたが、結論として「月9の枠がすぐに消滅する」という可能性は極めて低いと言えるでしょう。
確かに世帯視聴率は以前に比べれば低下しました。しかし、配信という新しい戦場での圧倒的な強さ、そして長年築き上げてきたブランド力は、一朝一夕に捨て去れるものではありません。
現在起きているのは「打ち切りへのカウントダウン」ではなく、時代に合わせた「産みの苦しみ」です。2025年、2026年と、月9はこれまで以上に多様なジャンルに挑戦し、時には視聴者を驚かせるようなキャスティングや企画を仕掛けてくるはずです。
「月9は終わった」と決める前に、まずは今期の作品をフラットな目線で楽しんでみる。そこには、新しい時代のテレビの楽しみ方が隠されているかもしれません。
もし、お気に入りの俳優が出演する回を最高画質で残しておきたいなら、ブルーレイレコーダーの準備もお忘れなく。月9の歴史は、これからも形を変えながら続いていくのです。
今後、月9がどのような変貌を遂げ、私たちの月曜日を彩ってくれるのか。打ち切りの噂を吹き飛ばすような、歴史に残る名作の誕生を心から期待しましょう。

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