「あの衝撃のラストから、もう何年待てばいいんだろう……」
鏡貴也先生のファン、そしてライトノベル好きなら一度はそう胸を痛めたことがあるはずです。その作品の名は『黙示録アリス』。
2013年に富士見ファンタジア文庫から華々しくデビューし、圧倒的なスピード感とダークな世界観で一気に読者の心を掴みました。しかし、物語が最高潮に達した第3巻を最後に、続報が途絶えてから10年以上の月日が流れています。
ネット上でささやかれる「打ち切り」という不穏な言葉。果たして、真実のところはどうなのでしょうか?
今回は、多くの読者が気になっている『黙示録アリス』の現状や、なぜ執筆が止まってしまったのかという裏事情、そして微かな希望である「続きが出る可能性」について、2026年現在の視点から深掘りしていきます。
黙示録アリスは本当に「打ち切り」なのか?
まず、最も気になる「打ち切り説」の真相からお話しします。
結論から言うと、出版社である富士見ファンタジア文庫からも、作者の鏡貴也先生からも、「打ち切り」という公式発表は一切されていません。しかし、現実問題として10年以上新刊が出ていない状況は、出版業界の用語で言うところの「未完(エタる)」状態にあると言わざるを得ません。
なぜ、これほどまでに打ち切り説が根強く信じられているのでしょうか。
漫画版の終わり方が「打ち切り」感を強めた
最大の要因の一つは、月刊コミックジーンで連載されていた漫画版(作画:名束くだん先生)の終わり方にあります。
漫画版は単行本全4巻で完結していますが、その内容は物語の核心に迫る手前で幕を閉じています。ラストシーンが「俺たちの戦いはこれからだ!」という、いわゆる典型的な打ち切り漫画の構成に近い形で終わり、「続きは原作小説で!」という誘導がなされていました。
ところが、その肝心の原作小説が3巻で止まってしまったため、漫画から入った読者も、小説から追いかけていた読者も、行き場のない喪失感に突き落とされる形となったのです。
第3巻があまりにも「続きが気になる」終わり方だった
小説第3巻のラストは、まさに地獄のような絶望と、物語が大きく動き出す予感に満ちていました。
主人公・真之介が命を懸けて救おうとしていた妹・亜莉子が、予想だにしない形で物語の「敵」として立ちはだかる……。そんな衝撃的な展開の直後に「次巻へ続く」と記されたまま時が止まってしまったのです。
これほど強烈なクリフハンガーを見せられて、10年以上放置されれば、読者が「大人の事情で打ち切りになったのでは?」と疑うのも無理はありません。
なぜ執筆が止まった?考えられる3つの大きな理由
鏡貴也先生は、決して筆が遅い作家ではありません。むしろ、複数の連載を抱え、アニメ化作品も多数持つ、業界屈指のヒットメーカーです。
そんな先生が、なぜ『黙示録アリス』だけを止めてしまったのか。そこには、皮肉にも先生自身の「成功」が深く関わっていると考えられます。
1. 『終わりのセラフ』の大ヒットと多忙化
最も大きな理由は、間違いなく終わりのセラフの爆発的なヒットでしょう。
『黙示録アリス』とほぼ同時期にプロジェクトが動いていた終わりのセラフは、ジャンプSQ.での漫画連載、さらにはアニメ化、舞台化、ゲーム化と、巨大なメディアミックスへと発展しました。
鏡先生は漫画の原作だけでなく、スピンオフ小説の執筆、アニメの脚本監修など、膨大な業務を抱えることになります。クリエイターのリソースには限りがあります。社会現象を巻き起こすほどのビッグタイトルの影で、優先順位を下げざるを得なかったのが『黙示録アリス』だったのではないか、と推測されます。
2. メディアミックスのタイミングの逸失
ライトノベルの新刊が出るタイミングというのは、多くの場合、アニメ化や漫画連載といった「メディアの波」に合わせられます。
『黙示録アリス』の場合、前述の通り漫画版が先に完結してしまいました。広告塔となるメディア展開が途切れてしまうと、出版社側としても新刊を大々的に売り出すタイミングを掴みにくくなります。一度冷えてしまったブームを再燃させるのは、業界全体を見ても非常に難易度が高いことなのです。
3. 世界観の複雑さとハードルの上昇
鏡先生の作品は、キャラクターの葛藤と世界の謎が複雑に絡み合うのが魅力です。
『黙示録アリス』第3巻では、世界を救うために「アリス」を殺し続けなければならないというシステムの歪みや、主人公の家族にまつわる業が限界まで高められました。
この風呂敷をどう畳むか。ファンが納得する最高のエンディングを描くためには、膨大なエネルギーと集中力が必要です。多忙な日々の中で、中途半端なものは出したくないという作家としてのプライドが、逆に再開を遅らせている要因なのかもしれません。
物語に隠された最大の謎と未回収の伏線
もし今後、物語が再開されるとしたら、私たちはどのような謎の答えを知ることになるのでしょうか。今一度、物語に残された重要なポイントを整理してみましょう。
- 妹・亜莉子の真意: 兄である真之介を愛していたはずの彼女が、なぜあのような形で現れたのか。
- 「アリス」と「迷宮」の正体: 少女たちがなぜ迷宮病にかかり、アリス化するのか。そのシステムを作ったのは誰なのか。
- 聖剣スイッチの秘密: 真之介が手にした異能の真の力とは。
- 白や群青といった仲間の過去: それぞれが抱える深い傷と、真之介に協力する本当の理由。
これらの伏線は、ライトノベル界でも屈指の「惹き」を持っていました。だからこそ、今でもSNSでは「続きが読みたい」「この設定を捨ててしまうのは惜しすぎる」という声が絶えないのです。
2026年、続きが出る可能性はあるのか?
さて、最も重要な「これから」の話をしましょう。2026年現在、続刊の可能性はゼロではありません。
鏡貴也先生は過去、長期間休止していた作品を完結まで導いた実績があります。また、近年のライトノベル業界では、過去の人気作を「電子書籍」や「Web連載」という形で再始動させる動きが活発化しています。
紙の書籍として出版するのが難しい状況でも、Kindleなどのプラットフォームを活用して、ファンに物語を届ける手段は増えています。
鏡先生自身のSNSでも、時折過去作への愛着を感じさせるコメントが見られることがあります。終わりのセラフの物語に一区切りがついたタイミング、あるいは先生の中でインスピレーションが再燃した瞬間、突如として再始動のニュースが舞い込んでくるかもしれません。
ファンにできることは、公式のアナウンスを待ちつつ、既存の3巻を読み返して熱量を保ち続けること。そして、アンケートやSNSで「続きを待っています」という声を上げ続けることです。
まとめ:黙示録アリスは打ち切り?未完の理由と続きが出る可能性
ここまで、『黙示録アリス』を巡る現状について詳しく見てきました。
残念ながら、2026年現在も公式な続刊の目処は立っておらず、事実上の未完状態であることは否定できません。しかし、それは「作品がつまらなかったから」でも「人気がなかったから」でもありません。
鏡貴也先生という希代のストーリーテラーが、あまりにも多忙であったこと。そして、物語があまりにも壮大になりすぎたことが原因と言えるでしょう。
- 現状: 公式な打ち切り発表はなし。ただし10年以上新刊は途絶えている。
- 理由: 『終わりのセラフ』等の多忙、メディア展開の終了、設定の複雑化。
- 可能性: ゼロではない。Web連載や電子書籍での復活に一縷の望み。
かつて私たちが震えた、あの「少女を殺して世界を救う」という過酷で美しい物語。その結末をいつか読める日が来ることを願ってやみません。
もしあなたがまだこの伝説的な未完作を読んでいないなら、たとえ続きがなくても、あの3巻までの疾走感は一度体験しておくべきです。それほどまでに、『黙示録アリス』は輝きを放っていたのですから。
「黙示録アリスは打ち切り?」という疑問を抱えながらも、心のどこかで再会を信じているファンの想いが、いつか鏡先生に届くことを信じて。

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