荒木飛呂彦先生の金字塔『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』。癖の強いスタンド使いが次々と登場する中で、ひときわ異彩を放ち、読者の心に深く刻まれているキャラクターがいます。
それが、杜王町の「地図にない場所」に留まり続ける幽霊の少女、**杉本鈴美(すぎもと れいみ)**です。
彼女はスタンド使いではありません。しかし、第4部の物語において、彼女がいなければ殺人鬼・吉良吉影を追い詰めることは不可能だったでしょう。今回は、鈴美と岸辺露伴の切ない過去、衝撃の死因、そして感動のラストシーンまでを徹底的に掘り下げていきます。
杜王町の「守護霊」杉本鈴美とは何者か?
杉本鈴美は、杜王町のコンビニ「オーソン」と「ドラッグのキサラ」の間にある不思議な小道に住む幽霊です。彼女が初めて登場した際、読者はその可憐な容姿と、首に巻かれたリボンに隠された「凄惨な真実」に衝撃を受けました。
彼女は1983年8月13日、まだ16歳の若さで命を落としました。それから15年もの間、彼女はずっとその小道で待ち続けていたのです。自分を殺した犯人が今もこの町で平然と暮らし、新たな犠牲者を出し続けていることを伝えるために。
鈴美の傍らには、いつも愛犬のアーノルドが寄り添っています。アーノルドもまた、鈴美と同じ日に命を落とした幽霊犬です。二人の姿は、杜王町という平和な町に潜む「どす黒い悪意」の象徴であり、同時に町を守ろうとする「黄金の精神」の原点でもあります。
もしあなたがジョジョの世界観をより深く体験したいなら、ジョジョの奇妙な冒険 第4部 カラー版などの電子書籍で、彼女の初登場シーンを読み返してみるのもおすすめです。
岸辺露伴との深い絆:命を懸けて救った小さな弟分
杉本鈴美を語る上で絶対に欠かせないのが、人気漫画家・岸辺露伴との関係です。実は、二人は「幽霊とスタンド使い」として出会うずっと前に、血のつながりを超えた深い縁で結ばれていました。
事件当時、露伴はまだ4歳の幼子でした。彼の両親と鈴美の両親が知り合いだった縁で、露伴はその日、杉本家に預けられていたのです。しかし、そこに現れたのが若き日の吉良吉影でした。
吉良が杉本家を襲撃した際、鈴美は自分の命が危ないことを察しながらも、咄嗟の判断で露伴を窓から逃がしました。彼女が身を挺して時間を稼いだおかげで、露伴は一命を取り留めたのです。
その後、露伴はあまりの恐怖から当時の記憶を心の奥底に封印してしまいます。大人になり、スタンド使いとなって鈴美と再会したことで、彼は自分が生きている理由が「鈴美の自己犠牲」にあったことを思い出します。
普段は傲慢で自己中心的な露伴が、鈴美の前でだけはどこか素直になり、必死に犯人を追う姿には、単なる正義感ではない「恩返し」の気持ちが込められています。この二人の関係性は、第4部の中でも特にエモーショナルなポイントと言えるでしょう。
15年前の惨劇:吉良吉影の「最初の犠牲者」としての死因
鈴美の死因は、極めて残酷なものでした。彼女は吉良吉影が本格的にシリアルキラーとしての活動を始める、ごく初期の被害者です。
吉良は杉本家に侵入し、まず鈴美の両親を殺害しました。そして愛犬のアーノルドを壁に突き刺して殺し、最後に逃げようとした鈴美の背中をナイフで切り裂いたのです。彼女の首に巻かれたリボンやチョーカーは、その時に付けられた致命的な傷跡を隠すためのものです。
彼女が幽霊として現世に留まった理由は、恨みを晴らすためだけではありません。「これ以上、この町で自分のような悲しい犠牲者を出したくない」という強い正義感があったからです。
吉良は女性の「手」に執着し、殺害後に手を持ち去るという異常な性癖を持っていますが、鈴美の場合は初期の犯行だったこともあり、その手口が確立される前の「むき出しの暴力」による殺害でした。その恐怖を15年間も抱えながら、見ず知らずのスタンド使い(仗助や康一)に助けを求める彼女の勇気には、敬意を表さずにはいられません。
吉良吉影との最終決戦:小道での「知略」と「裁き」
物語の終盤、ついに追い詰められた吉良吉影は、皮肉にも鈴美が待ち続けていた「あの世の境目」の小道へと迷い込みます。
ここで鈴美は、自ら直接手を下すのではなく、この場所のルールを利用した「知略」で吉良を追い詰めます。そのルールとは、「振り返ってはいけない」というもの。もし振り返れば、この世のものではない無数の手に引きずり込まれ、魂ごと消滅してしまいます。
吉良は持ち前のずる賢さで窮地を脱しようとしますが、鈴美はアーノルドの霊を使い、吉良を油断させて振り返らせることに成功します。この時の鈴美の凛とした表情は、15年分の無念を晴らす「聖母」のようでもあり、悪を断罪する「執念」のようでもありました。
スタンド能力を持たない彼女が、知恵と勇気だけでラスボスに引導を渡す。この展開こそが、ジョジョという作品が描く「人間讃歌」の真骨頂です。
最後に見せた涙の理由:成仏と露伴の「寂しいよ」
吉良が消滅し、杜王町に本当の平和が訪れた時、鈴美の役目は終わりました。彼女の体が光に包まれ、天国へと昇っていくシーンは、シリーズ屈指の名場面です。
見送る仲間たちの中で、誰よりも感情を露わにしたのが岸辺露伴でした。普段はクールな彼が、消えゆく鈴美に向かって放った「寂しいよ」という言葉。それは、自分を救ってくれた「姉」への、15年越しの心からの謝辞でもありました。
それを受けた鈴美は、優しく微笑み、一筋の涙を流します。その涙は、長く苦しい幽霊としての時間からの解放感、そして自分を慕ってくれる弟分(露伴)や仲間たちが、これからの未来を強く生きていくことへの安心感からくるものだったのではないでしょうか。
彼女は最後に「町のみんなに、よろしくね」と言い残して消えていきました。彼女がいなくなった後も、その精神は仗助や露伴たちの中に生き続け、杜王町を優しく見守っていくことでしょう。
ジョジョ4部の聖母・杉本鈴美を徹底解説!露伴との過去や死因、最後に見せた涙の理由は?
いかがでしたでしょうか。杉本鈴美というキャラクターを知れば知るほど、第4部「ダイヤモンドは砕けない」という物語が持つ深みが増していきます。
彼女は決して特別な力を持っていたわけではありません。しかし、誰よりも町を愛し、勇気を持って悪に立ち向かったその姿は、紛れもなく「ジョジョ」の系譜に連なる英雄の一人です。
もし彼女の勇姿を映像でも楽しみたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 第4部 Blu-rayで、アニメ版ならではの色彩豊かな演出をチェックしてみてください。鈴美のピンク色の髪や、あの美しい夕焼けの成仏シーンは、映像で見るとまた格別の感動があります。
杜王町の歴史に刻まれた、美しくも強い少女の物語。彼女の存在を胸に、もう一度作品に触れてみると、新しい発見があるかもしれません。
今回ご紹介した杉本鈴美のエピソード以外にも、ジョジョには語り尽くせない魅力的なキャラクターがたくさんいます。ぜひあなたのお気に入りのキャラクターについても、深く掘り下げてみてくださいね。

コメント