「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を語るうえで、切っても切り離せないのが「生き物」への異常なまでのこだわりです。犬や猫、鳥、果てはネズミまでがスタンド使いとして登場しますが、中でも読者の記憶に強く刻まれているのが「クワガタ」ではないでしょうか。
初期の第3部から、最新に近い第8部『ジョジョリオン』にいたるまで、クワガタは単なる背景の虫としてではなく、物語の勝敗を決する重要なファクターとして描かれてきました。
なぜ荒木飛呂彦先生はこれほどまでにクワガタに魅了され、血湧き肉躍るバトルを描き続けるのか。今回は、シリーズ全編に散りばめられた「ジョジョとクワガタ」の深い関係性を、元ネタや設定の裏側まで含めて徹底的に掘り下げていきます。
第3部に現れた戦慄の暗殺者「タワー・オブ・グレー」
ジョジョにおけるクワガタの原点といえば、やはり第3部『スターダストクルセイダース』に登場したスタンド「タワー・オブ・グレー(灰色の塔)」でしょう。
物語序盤、承太郎一行がエジプトへ向かう飛行機の中で襲いかかってきたこのスタンドは、巨大なクワガタの姿をしていました。本体はグレーフライという老人ですが、その見た目からは想像もつかないほど凶悪なスピードを誇ります。
このスタンドの恐ろしさは、なんといってもその機動力です。花京院典明の「ハイエロファントグリーン」が放つ、半径20mエメラルドスプラッシュという回避不能に近い弾幕を、クワガタの小さな体躯を活かしてすべてすり抜けてしまいました。
さらに攻撃方法もえげつない。クワガタの口の中から「塔針(タワーニードル)」と呼ばれる鋭い針を突き出し、相手の舌を引き抜くという猟奇的な戦法を得意としています。
このシーンは、多くの読者に「クワガタ=かっこいい昆虫」というイメージを超えた、「得体の知れない恐怖の象徴」を植え付けました。荒木先生は、自然界に存在する造形美を、見事にホラー演出へと昇華させていたのです。
もし自宅でじっくりとこのシーンを読み返したいなら、電子書籍やコミックスが手元にあると便利です。大画面のタブレット端末、例えば iPad などで読むと、クワガタの細かな描写や迫力がより鮮明に伝わります。
第8部『ジョジョリオン』で描かれた伝説の「クワガタバトル」
第3部から長い年月を経て、クワガタは第8部『ジョジョリオン』で再びメインステージに返り咲きます。しかも今度はスタンドのモチーフとしてだけでなく、本物の「生きたクワガタ」同士のデスマッチとして描かれました。
東方家の長男である東方常敏と、主人公の東方定助。この二人が「クワガタのつがい」を賭けて戦うシーンは、ジョジョ史上でも屈指の異色バトルとして有名です。
このバトルで登場したクワガタたちは、実在する種類がモデルになっています。
まずは、常敏が溺愛し、絶対的な自信を持って送り出した「パラワンオオクワガタ」。フィリピンのパラワン島に生息する世界最大級のクワガタで、その気性の荒さと圧倒的なパワーは昆虫ファンの間でも憧れの存在です。
対する定助が選んだのは、常敏のコレクションの中でも異彩を放つ「ローゼンベルグオウゴンオニクワガタ」。その名の通り、全身が黄金色に輝く美しいクワガタです。
このバトルの面白いところは、単に虫を戦わせるだけでなく、そこに「スタンド能力」と「イカサマ」が絡んでくるところにあります。
常敏は自身のスタンド「スピード・キング」の熱を操る能力を使い、密かにクワガタの神経を刺激したり、ワックスを塗って滑りやすくしたりと、生物学的な知識を悪用した卑怯な戦術を繰り出します。一方の定助も、五感と知恵をフル回転させてこれに応戦します。
「たかが虫の喧嘩」と侮ることなかれ。そこには、命のやり取りに匹敵する緊張感と、荒木先生の少年時代の「虫取り遊び」への情熱が凝縮されているのです。
こうした昆虫の生態を詳しく知りたい方は、図鑑や専門書をチェックしてみるのも面白いかもしれません。最近では Kindle などの読書デバイスがあれば、いつでもどこでも精密な昆虫写真を眺めることができます。
荒木飛呂彦先生がクワガタを描く理由とこだわり
なぜジョジョにはこれほどまでに甲虫、特にクワガタやカブトムシが登場するのでしょうか。そのヒントは、作中に漂う「進化」と「本能」というテーマにあります。
第6部『ストーンオーシャン』のプッチ神父が唱える「天国へ行くための14の言葉」の中には、「カブトムシ」という単語が4回も繰り返されます。これは、完全変態を行う甲虫が、幼虫から蛹、そして成虫へと劇的に姿を変える性質が、「魂の進化」のメタファーとして機能しているからだと考えられます。
クワガタも同様です。土の中で長い時間を過ごし、やがて鋭い顎を持つ勇猛な姿で地上に現れる。そのプロセスは、スタンド能力という秘められた才能が開花する過程と重なる部分があります。
また、荒木先生はデザインの面でも甲虫を高く評価しています。クワガタの顎の湾曲、光沢のある外骨格、機能美を極めたフォルム。それらはまさに「自然が生み出した芸術」であり、独特のポージングやファッションを追求するジョジョの世界観と非常に相性が良いのです。
特に常敏のキャラクター造形において、クワガタは彼の「こだわりが強く、一見すると子供っぽいが、その実冷酷で合理的」という二面性を象徴するアイテムとして完璧に機能していました。
ジョジョのクワガタをより深く楽しむためのポイント
もしあなたが「ジョジョのクワガタ描写をもっと深く理解したい」と思うなら、以下の視点で作品を読み返してみることをおすすめします。
- キャラクターの性格と選ぶ虫の相性:常敏がなぜ「パラワン」を選んだのか、その支配欲の強さを考察する。
- 音の描写:クワガタが動く時の「カサカサ」という擬音や、顎が噛み合う時の独特の表現に注目する。
- 色の変化:ジョジョリオンのカラー版などで、オウゴンオニクワガタの色の移り変わりを確認する。
これらを意識するだけで、単なるサブエピソードだと思っていたシーンが、物語の根幹に触れる重要な伏線に見えてくるはずです。
アニメ版での描写も圧巻です。最新の映像技術で描かれるクワガタの質感は、もはや実写以上のリアリティを持っています。もし高画質で視聴したいなら、 Fire TV Stick などを使ってテレビの大画面で鑑賞するのも、没入感を高める良い方法ですね。
ジョジョのクワガタ徹底解説!3部から8部まで登場シーンや元ネタを紹介
ここまで、ジョジョの奇妙な冒険に登場するクワガタたちの魅力と、その背後にある設定について解説してきました。
第3部の恐怖の暗殺者から、第8部の手に汗握る知略バトルまで、クワガタは常に「予測不能な面白さ」を物語に提供してくれました。それは荒木飛呂彦先生が持つ、自然界への深い敬意と、少年のような好奇心が形になったものと言えるでしょう。
ジョジョの世界において、クワガタはただの昆虫ではありません。それは登場人物たちの意志を代弁し、時には運命を左右する「小さき戦士」なのです。
これからジョジョを読み始める方も、すでに何度も読み返しているベテランファンの方も、ぜひ今一度「クワガタ」という視点から作品を見つめ直してみてください。きっと、今まで気づかなかった新しい「奇妙な冒険」が見えてくるはずです。
今回の「ジョジョのクワガタ徹底解説!3部から8部まで登場シーンや元ネタを紹介」が、あなたのジョジョライフをより豊かにする一助となれば幸いです。

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