「高級ブランドのウィンドウに、なぜ空条徐倫が立っているんだ……?」
2013年、世界中のGUCCI直営店を訪れた人々は、その光景に目を疑い、そして熱狂しました。日本の漫画文化を象徴する『ジョジョの奇妙な冒険』と、イタリアが誇るハイファッションの帝王「GUCCI」。この二つの個性がぶつかり合い、融合した奇跡のコラボレーションは、発表から10年以上が経過した今でも、ファッション史と漫画史の両方に深く刻まれています。
今回は、ジョジョファンならずとも知っておきたい、この伝説的なプロジェクトの全貌を紐解いていきます。当時の熱気から、今からアイテムを手に入れるための現実的な方法まで、その魅力を余すことなくお届けします。
始まりは「岸辺露伴」とイタリアへの旅だった
ジョジョとグッチの運命が交わったのは、2011年のことでした。グッチの創設90周年、そして原作者である荒木飛呂彦先生の執筆30周年という、互いの節目を祝う形で最初のプロジェクトが始動しました。
その中心にいたのは、第四部の人気キャラクターであり、荒木先生の分身とも言われる漫画家・岸辺露伴です。
読み切り短編「岸辺露伴 グッチへ行く」の衝撃
集英社のファッション誌『SPUR』に掲載されたこの短編は、これまでの「漫画とのタイアップ」の常識を根底から覆すものでした。ストーリーは、露伴が祖母の形見であるグッチ バッグを修理するために、ブランドの発祥地であるイタリア・フィレンツェの工房を訪れるというもの。
特筆すべきは、作中で露伴が身にまとっている衣装や小物が、すべて実在するグッチの2011-12年秋冬コレクションだったことです。漫画のキャラクターが現実のハイブランドを「着こなす」という試みは、読者に強烈なリアリティと憧れを抱かせました。
伝統と革新のシンクロニシティ
グッチというブランドは、伝統を重んじながらも常にアバンギャルド(前衛的)であり続ける姿勢を持っています。これは、独特のポージング(ジョジョ立ち)や色彩感覚で漫画の枠を超えた芸術性を追求するジョジョの世界観と、驚くほど共鳴しました。
この第1弾の成功が、のちの世界規模での大展開へと繋がっていくことになります。
世界をジャックした「徐倫、GUCCIで飛ぶ」の熱狂
2011年の成功から2年後、コラボレーションはさらにスケールアップして帰ってきました。2013年に展開された「徐倫、GUCCIで飛ぶ」では、第六部の主人公・空条徐倫をメインに据え、ブローノ・ブチャラティやレオーネ・アバッキオといった第五部の人気キャラクターたちも登場しました。
全世界の店舗ウィンドウが「ジョジョ」に染まった日
このプロジェクトの凄さは、雑誌の中だけにとどまらなかった点にあります。ニューヨーク、パリ、ロンドン、そして日本の銀座や新宿……。世界中にある70店舗以上のグッチ直営店のウィンドウディスプレイが、荒木飛呂彦先生の描き下ろしイラストで飾られたのです。
ハイブランドの聖地である路面店に、等身大以上のスケールで描かれた徐倫やブチャラティが堂々と鎮座する姿は、まさに圧巻の一言でした。これは、日本のポップカルチャーが「ラグジュアリー」という最高峰の舞台で認められた瞬間でもありました。
2013年クルーズコレクションとの融合
この時のメインビジュアルで徐倫が着用していたのは、グッチの2013年クルーズコレクションです。鮮やかなフローラ(花柄)プリントのセットアップや、洗練されたシルエットのグッチ ワンピース。
荒木先生の筆致によって描かれたこれらの衣装は、現実の服以上にその魅力を放ち、ファッションに興味のなかったジョジョファンをグッチのブティックへと向かわせ、逆にジョジョを知らなかったファッショニスタたちに「この美しい絵は何だ?」と興味を持たせるきっかけとなりました。
垂涎の的!今なお輝きを放つ歴代コラボアイテム
このコラボレーションで実際に販売されたアイテムは、単なるキャラクターグッズとは一線を画す「本物のラグジュアリー」でした。今でも二次流通市場で高い価値を保っている代表的なアイテムを振り返ってみましょう。
フローラプリントのバッグと財布
グッチのアイコンである「フローラ(花柄)」をベースにしたアイテムは、このコラボの象徴です。一見するとエレガントなグッチの製品ですが、よく見るとジョジョらしい鮮やかな色彩設計がなされています。
- グッチ ボストンバッグ:徐倫がビジュアルで持っていたモデルは、今やコレクターズアイテムの筆頭です。
- グッチ 財布:日常的に使える小物は非常に人気が高く、内側に特別な刻印があるモデルも存在しました。
描き下ろしイラストを纏うスカーフ
荒木先生のイラストが全面にプリントされたシルクスカーフは、もはや「身にまとうアート」です。額装してインテリアとして飾るファンも多く、市場に出回る機会が極めて少ない希少品となっています。
キャラクター着用のリアルウェア
作中でキャラクターが着ていたジャケットやサンダル、グッチ ローファーなども実際に販売されました。特にメンズラインでは、ブチャラティのイメージに近いタイトでスタイリッシュなスーツやシャツが注目を集め、大人のファンがこぞって買い求めたと言われています。
なぜこのコラボは「伝説」と呼ばれるのか
世の中には数多くのブランドコラボが存在しますが、なぜ「ジョジョ×グッチ」だけがこれほどまでに特別視されるのでしょうか。そこには、単なるビジネスを超えた3つの理由があります。
1. 徹底したリスペクトとクリエイティビティ
グッチ側がジョジョを「子供向けの漫画」としてではなく、「世界に通じる芸術」として扱ったことが最大の要因です。当時のクリエイティブ・ディレクター、フリーダ・ジャンニーニは、荒木先生の作品に深い感銘を受けており、先生の自由な発想を最大限に尊重しました。
2. 「本物」同士の共演
ジョジョの登場人物たちは、常に自分自身の信念(黄金の精神)を持って行動します。一方でグッチもまた、100年近い歴史の中で独自の美学を貫いてきました。この「自分を曲げない」というスピリットの共通が、違和感のない融合を生んだのです。
3. 先駆者としての功績
今でこそ、ルイ・ヴィトンがアニメキャラクターをモデルに採用したり、ロエベがジブリとコラボしたりするのは珍しくありません。しかし、その流れの先駆けとなり、ハイファッションと漫画の壁を壊したのが、このジョジョとグッチの試みだったのです。
今から手に入れるには?入手方法と注意点
「当時の熱狂を今から追いかけたい」「あの時買えなかったバッグを今こそ手にしたい」という方も多いでしょう。現在、正規店での販売は終了していますが、入手する方法はいくつか残されています。
ブランド古着店・リセールサイトを活用する
最も現実的な方法は、ブランド古着を取り扱う専門店や、信頼できるリセールプラットフォームを探すことです。
- 実店舗での確認:東京や大阪の主要都市にある、ハイブランド専門の古着店では、稀に当時のアーカイブが入荷することがあります。
- オンラインプラットフォーム:メルカリやヤフオクなどのフリマアプリでも出品されますが、高額な取引になるため、出品者の評価や鑑定サービスの有無を必ず確認しましょう。
偽物を見分けるためのチェックポイント
人気モデルゆえに、偽物(コピー品)も市場に紛れ込んでいる可能性があります。
- 縫製の精度:グッチの正規品は、ステッチの間隔が均一で非常に丁寧です。
- ロゴと刻印:グッチ ロゴの形や、内側のシリアルナンバーの刻印が潰れていないかチェックしてください。
- 付属品の有無:当時の特別な箱や保存袋、コントロールカードが揃っているものは、信頼性が高まります。
所有する喜びと、資産としての価値
ジョジョ×グッチのアイテムは、時間が経過するほどにその希少性が増しています。2011年や2013年に購入し、大切に保管していた人々にとって、これらは単なるファッションアイテムではなく「資産」に近い価値を持っています。
しかし、真の魅力はやはり「使うこと」にあると言えるでしょう。
岸辺露伴が祖母のバッグを大切に修理して使い続けようとしたように、レザークリームなどで手入れをしながら、何十年も愛用する。その過程こそが、ジョジョという物語が持つ「受け継がれる意志」を体現することに他なりません。
まとめ:ジョジョとグッチの伝説的コラボを徹底解説!歴代アイテムから入手方法、魅力まで
ここまで、ジョジョとグッチが歩んできた華麗なる歴史を振り返ってきました。
このプロジェクトは、単に着飾るための服を売るためのものではありませんでした。それは、漫画という表現が持つ無限の可能性と、ハイファッションが持つ普遍的な美しさが握手をした、歴史的な事件だったのです。
もし、あなたが街中のリサイクルショップやオンラインショップで、あの不思議な花柄や、どこかで見覚えのあるポージングが描かれたグッチ スカーフを見かけたら、ぜひ足を止めてみてください。そこには、荒木飛呂彦先生とグッチが作り上げた、色褪せることのない「黄金の精神」が宿っているはずです。
ジョジョとグッチの伝説的コラボを徹底解説!歴代アイテムから入手方法、魅力までお届けしたこの記事が、あなたのコレクションやファッションライフを彩る一助となれば幸いです。
「だが断る」と言わずに、この至高の美の世界に、あなたも一歩足を踏み入れてみませんか?

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