『ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース』を語る上で、絶対に外せないのが「スタンド」という画期的な能力概念ですよね。当時、少年ジャンプを読んでいた読者に衝撃を与えたのが、その名付けのルールでした。
「タロットカード」になぞらえて名付けられたスタンドたちは、単なるかっこいい名前というだけでなく、そのカードが持つ運命や意味を色濃く反映しています。今回は、ファンなら一度は整理しておきたいジョジョ タロット 一覧をベースに、各スタンドのルーツや物語との繋がりを徹底的に深掘りしていきます。
承太郎たちの旅の軌跡を、神秘的なカードの暗示とともに追いかけてみましょう!
なぜ第3部のスタンドはタロットカードだったのか?
物語の始まりにおいて、スタンドはまだ「正体不明の幽霊」のような扱いでした。自分の背後に現れる謎のヴィジョンに戸惑う承太郎に対し、父・ジョセフの友人であるアヴドゥルが、その運命を読み解く鍵として提示したのがタロットカードです。
タロットカード(大アルカナ)は、人間の成長のプロセスや運命のサイクルを22枚の絵札で表したものです。アヴドゥルやエンヤ婆といった「運命の導き手」たちが、スタンド使いの精神性や能力の質を見極め、カードを引くことで名前を授ける。この「運命によって定められた名前」という設定が、3部の宿命的な旅に重厚なリアリティを与えていました。
旅の始まりを彩るジョースター一行のカード
まずは物語の主役たち、ジョースター一行が冠するカードから見ていきましょう。彼らの能力は、カードのポジティブな側面を見事に象徴しています。
0:愚者(ザ・フール) / イギー
「0」という数字は、無限の可能性と何物にも縛られない自由を意味します。砂を操り、変幻自在に姿を変えるスタンド「ザ・フール」は、まさに型にはまらないイギーの性格そのもの。旅の終盤で仲間を助ける際に見せた爆発力は、このカードが持つ「未知の力」を体現していました。
1:魔術師(マジシャンズ・レッド) / モハメド・アヴドゥル
物事の始まり、創造、そしてエネルギーを象徴するカードです。炎という原始的かつ強力なエネルギーを自在に操るアヴドゥルは、一行の導き手としてふさわしい「1」の番号を背負っています。
5:法王(ハイエロファント・グリーン) / 花京院典明
慈愛や秩序、そして精神的な繋がりを意味します。紐状に解ける体や、緻密な結界を張る能力は、周囲との「繋がり」を重視しつつ、冷静に状況を俯瞰する花京院の理知的なキャラクターとリンクしています。
7:戦車(シルバーチャリオッツ) / ジャン=ピエール・ポルナレフ
勝利に向かって突き進むエネルギーと勇気を象徴します。騎士の鎧を纏い、剣一本で正々堂々と戦うポルナレフの姿は、まさに戦車が持つ「前進」の意志そのものと言えるでしょう。
9:隠者(ハーミットパープル) / ジョセフ・ジョースター
真実を探求し、内省する賢者のカードです。念写によって遠くの情報を引き出す能力は、経験豊富な年長者であるジョセフが、真実を見極めるための「杖」のような役割を果たしていました。
17:星(スタープラチナ) / 空条承太郎
希望、輝き、そして目標を象徴する「星」。絶望的な状況でも常に道を切り開く承太郎の圧倒的なパワーと精密さは、暗闇を照らす一筋の光として、物語の象徴(スター)となりました。
刺客たちの能力に隠されたタロットの「裏」の意味
敵として登場するスタンド使いもまた、タロットの暗示を受けています。しかし彼らの場合、カードの持つ意味が「歪んだ形」や「逆位置的(ネガティブな意味)」で表現されているのが非常に面白いポイントです。
2:女教皇(ハイプリエステス) / ミドラー
知性や潜在意識を司るカードですが、劇中ではあらゆる鉱物に変身して潜伏する「得体の知れない脅威」として描かれました。
3:女帝(エンプレス) / ネーナ
母性や繁栄を意味するはずが、相手の肉体に寄生して勝手に「成長」し、内部から食い破るという恐ろしい形で表現されています。
4:皇帝(エンペラー) / ホル・ホース
支配や権威を象徴します。弾丸を意のままに操る銃型のスタンドは、射程距離内を支配する「王」のような強さを持っていましたが、本体のホル・ホースが「一番より二番」という性格だったのが皮肉な対比になっています。
6:恋人(ラバーズ) / 鋼入りのダン
結合や選択を意味するカード。脳内に侵入して感覚を共有させるという、最悪の形での「結びつき」を強いる能力として描かれました。
8:正義(ジャスティス) / エンヤ婆
公平な裁きを意味しますが、死体を操り、街全体を幻覚で支配するという「歪んだ審判」として登場。霧のように実体のない恐怖を演出しました。
10:運命の輪(ホイール・オブ・フォーチュン) / ズィー・ズィー
転換点やサイクルを意味します。車と一体化したスタンドは、一度追いかけられたら逃げられない運命の残酷さを体現していました。
11:力(ストレングス) / フォーエバー
精神的な強さを説くカードですが、ここでは巨大な貨物船という圧倒的な「物理的パワー」として描かれ、知能の高いオランウータンが人間を圧倒する恐怖を描きました。
12:吊るされた男(ハングドマン) / J・ガイル
試練や忍耐、あるいは視点の変化を意味します。鏡の世界にのみ存在し、そこから攻撃するという「逆転した視点」を持つこのスタンドは、ポルナレフを最も苦しめた宿敵の一人です。
物語を加速させる不吉な暗示と究極の完成
中盤から終盤にかけて、タロットの持つ「死」や「崩壊」のイメージがより色濃く反映されるようになります。
13:死神(デス・サーティーン) / マニッシュ・ボーイ
誰もが逃れられない「死」と「終焉」。眠りという無防備な状態で襲いかかる夢のスタンドは、まさに逃げ場のない死神そのものでした。
14:節制(イエローテンパランス) / ラバーソール
調和や自制を意味しますが、劇中ではあらゆる攻撃を肉体に取り込み、同化してしまう「無敵の肉の壁」として立ち塞がりました。
15:悪魔(エボニーデビル) / 呪いのデーボ
束縛や怨念の象徴。相手から受けたダメージを恨みのエネルギーに変え、人形を操って執拗に追い詰める様は、負の感情に囚われた悪魔そのものです。
16:塔(タワー・オブ・グレー) / グレーフライ
崩壊、災難、予期せぬ変化。飛行機という密室の中で、平穏を突如として地獄に変えるこのスタンドは、カードが持つ「突然の破滅」を象徴しています。
18:月(ダークブルー・ムーン) / 偽キャプテン・テニール
不安や欺瞞を意味します。正体を偽り、底の見えない暗い海へと引きずり込む戦いは、月の持つ「見えない裏側」の恐怖を感じさせました。
19:太陽(ザ・サン) / アラビア・ファッツ
通常は成功や活力を意味する最もポジティブなカードですが、ジョジョでは「殺人的な熱を放つ暴力」として描かれました。太陽の光さえも凶器に変えるという、荒木先生の独創的な解釈が光るエピソードです。
20:審判(ジャッジメント) / カメオ
復活や報いを意味します。死んだはずのアヴドゥルやシェリーを土から「復活」させる(実際は偽物ですが)という能力は、まさにカードの図柄にある死者の復活をモチーフにしています。
21:世界(ザ・ワールド) / DIO
タロットの最後に位置する「21」は、完全、完成、そして永劫を意味します。時を止めるという、この世の理(ことわり)を支配する能力は、まさに世界の頂点に立つDIOにふさわしい究極のカードです。
タロットからエジプト神話、そして現代へ
ジョジョ3部におけるスタンドの命名規則は、物語後半のエジプト上陸を機に「エジプト9栄神」へとシフトしていきます。タロットという西洋的な運命から、より古く、より禍々しい古代の神々へと敵が変化していく様子は、物語のテンションを一段階引き上げる見事な演出でした。
しかし、やはりファンの心に強く刻まれているのは、このタロットカードに基づく22枚のスタンドたちではないでしょうか。自分の性格や運命をタロットで占ったとき、「もし自分にスタンドが発現したら、どのカードの名前になるだろう?」と想像したことがある人も多いはず。
現代においても、タロットのデザインをあしらったグッズや関連アイテムは非常に人気が高いです。もしあなたがジョジョの世界観をより深く手元で感じたいなら、タロットをモチーフにしたデザインを日常に取り入れてみるのも面白いかもしれませんね。
ジョジョの奇妙な冒険 タロットカード ジョジョの奇妙な冒険 画集ジョジョ タロット 一覧が教えてくれる運命の戦い
こうして振り返ってみると、ジョジョ タロット 一覧にある全てのカードが、登場キャラクターの生き様やバトルの結末を予言していたかのように感じられます。
承太郎の「星」が最後にDIOの「世界」を打ち破ったのは、単なるパワーの差だけではなく、暗闇の中で決して消えない希望が、閉ざされた完璧な世界に風穴を開けたという「運命の必然」だったのかもしれません。
タロットカードという神秘的なツールを、これほどまでに熱く、ドラマチックにエンターテインメントへと昇華させたジョジョ3部。改めて読み返してみると、各ページの端々に描かれたカードのデザイン一つひとつに、荒木先生が込めたメッセージが見えてくるはずです。
あなたの好きなスタンドは、どのカードの暗示を持っていましたか?カードの意味を知ることで、ジョジョの物語はもっと深く、もっと奇妙に、私たちの心を掴んで離さないものになるでしょう。

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