「ジョジョの奇妙な冒険」独特の、あの圧倒的な熱量と芸術性。ファンなら一度は「自分もあんな風に描いてみたい!」と思ったことがあるはずです。しかし、いざ筆を執ってみると、あの複雑な筋肉の陰影や独特のポージングを再現するのは至難の業ですよね。
そこで多くの人が通る道が「トレス(トレース)」です。既存の絵をなぞることで、プロの線の引き方やキャラの構造を身体に覚え込ませる練習法ですね。
この記事では、ジョジョ風のイラストをトレスで練習する際の具体的なステップや、似せるためのテクニック、そして絶対に知っておくべき著作権のルールについて徹底的に解説します。憧れの「ジョジョ立ち」を自分の手で再現するためのガイドとして活用してください。
なぜ「ジョジョ トレス」は上達への近道なのか
絵の上達において、模写やトレスは非常に有効な手段です。特にジョジョのような、唯一無二のスタイルを持つ作品の場合、ただ眺めているだけでは気づけない「線の秘密」が隠されています。
荒木飛呂彦先生の「線の強弱」を体感する
ジョジョの絵柄の最大の特徴は、その力強い線にあります。トレスをしてみるとわかりますが、一本の線の中でも太い部分と細い部分が極端に使い分けられています。これをなぞることで、どの部分に力を込め、どこで力を抜くべきかという「リズム」が掴めるようになります。
独特の人体構造を理解する
ジョジョのキャラクターは、現実の人間よりも強調された筋肉や、彫刻のような骨格を持っています。トレスを繰り返すと、肩の筋肉(三角筋)の盛り上がり方や、首の筋の入り方など、ジョジョ特有の「肉体美のルール」が自然と頭に入ってきます。
構図と「ひねり」の感覚を養う
有名な「ジョジョ立ち」は、解剖学的にはありえないような角度で体がひねられていることもあります。しかし、それが絵としての美しさや迫力を生んでいます。トレスを通じて、画面内での重心の置き方や、キャラクターをダイナミックに見せるキャンバスの使い方が学べます。
著作権とマナー!SNSに投稿する前に確認すべきこと
「ジョジョ トレス」を楽しむ上で、最も慎重にならなければならないのが著作権の問題です。楽しく描いたイラストが、意図せず誰かを傷つけたり、法に触れたりすることは避けたいものです。
「トレス」と「トレパク」の決定的な違い
トレス自体は練習法として確立されていますが、問題になるのはその「公開方法」です。
- 練習として楽しむ: 自分の端末の中だけで完結させたり、ノートに描いて個人で楽しむ分には、著作権法上の「私的使用のための複製」として認められます。
- SNSで公開する: 公式の絵をそのままなぞったものを、さも「自分がゼロから描いたオリジナル作品」として投稿するのは、著作権(複製権や翻案権)の侵害に当たります。これを俗に「トレパク」と呼び、炎上の原因となります。
公開したい場合の推奨ルール
もしトレスした作品をSNSにアップしたいのであれば、以下の配慮が欠かせません。
- 必ず「トレスであること」を明記する。
- 元ネタとなった公式の巻数やキャラクター名を記載する。
- 商用利用(お金を稼ぐこと)は絶対にしない。
最も安全なのは「自撮り」からのトレス
他人の絵をなぞるのではなく、自分でポーズをとって撮影した写真をiphoneなどで撮影し、それを下敷きにして「ジョジョ風のタッチ」を乗せていく方法です。これならば構図の著作権は自分にあるため、非常にクリーンにジョジョ風イラストを楽しむことができます。
ジョジョ風に似せるための具体的な描画テクニック
トレスした線画の上に、いかに「ジョジョらしさ」を肉付けしていくか。ここでは、初心者でも実践できる具体的なポイントを挙げます。
1. 鼻の描き方と「逆三角形」の影
ジョジョ顔を再現する最大のポイントは「鼻」です。一般的なアニメ絵では鼻を点や短い線で省略しますが、ジョジョ風では鼻筋をしっかりと描きます。
- 鼻の側面に、細かな斜線(ハッチング)で影を入れます。
- 小鼻の横に逆三角形に近い形のベタ(塗りつぶし)を入れると、一気に彫りの深い顔立ちになります。
2. 唇のボリュームとシワ
唇の描き込みも欠かせません。
- 上唇は薄く、下唇は少し厚めに設定します。
- 唇全体に、縦方向の細かい線を入れることで、ツヤではなく「質感」を表現します。
- 口角を少し強調して描くと、ジョジョキャラ特有の不敵な笑みが表現しやすくなります。
3. まつげと目の隈取り
目はキャラクターの魂です。
- 上まつげだけでなく、下まつげも一本一本、束感を持たせて描きます。
- 目の下に「くま」のような影や、三本程度の斜線を入れることで、シリアスで重厚な雰囲気が出ます。
4. 圧倒的な「斜線ハッチング」
ジョジョの影は、ただのグレー塗りではありません。
- 影になる部分に、一定の方向に向けた細い並行線(ハッチング)を引きます。
- 影が濃い部分は、斜線を交差させて密度を上げます。このアナログ感のある描き込みが、荒木流の芸術性を支えています。
5. 筋肉の「溝」を意識する
トレスをする際、筋肉の境目に注目してください。
- 腹筋や胸筋の境目には、太い線だけでなく、そこから派生する細い影の線を足します。
- 骨の出っ張り(鎖骨や手首の骨)を強調することで、キャラクターに硬質な印象を与えられます。
制作をサポートするおすすめのデジタルツール
現代のイラスト制作にはipad proなどのタブレットとデジタルソフトが欠かせません。トレス作業を効率化し、よりジョジョ風に近づけるためのツールを紹介します。
レイヤー機能をフル活用する
デジタルソフト(クリップスタジオやアイビスペイントなど)を使う場合、一番下のレイヤーに元画像を置き、不透明度を20%程度に下げます。その上に新しいレイヤーを作って線を引くのが基本です。
「Gペン」設定のブラシを選ぶ
荒木先生はアナログ時代からGペンを愛用されています。デジタルでも、筆圧によって線の太さが劇的に変わる「Gペン」系の設定を選んでください。入りと抜きが鋭い線を描くことが、ジョジョらしさへの第一歩です。
3Dデッサン人形を活用する
「自撮りするのは恥ずかしい」という方は、ソフト内の3Dデッサン人形にポーズをとらせ、それをapple pencilでなぞるのがおすすめです。無理な姿勢も画面上で自由自在に調整できるため、複雑なジョジョ立ちの練習に最適です。
部ごとのスタイルの違いを理解してトレスする
ジョジョの絵柄は、1部から9部にかけて劇的に進化しています。自分がどの時代のジョジョを描きたいかによって、トレスのポイントが変わります。
1部〜3部:筋骨隆々の劇画スタイル
この時代のスタイルをトレスするなら、とにかく「筋肉の塊」を意識してください。首は太く、肩幅は広く、顔の輪郭は角ばっています。影のベタ(黒塗り)も多めで、コントラストを強くつけるのがコツです。
4部〜6部:洗練されたファッショナブルなスタイル
中盤から、キャラクターは少しずつスリムになり、ファッション性が高まります。線の本数は減りますが、その分一本一線の「美しさ」が重要になります。ポージングもより芸術的な「ひねり」が加わってきます。
7部〜9部:写実的で繊細な芸術スタイル
近年のスタイルは、非常に写実的で線の密度が極めて高いのが特徴です。トレスする場合も、まつげの一本、肌の質感の一本まで細かく追う必要があります。イタリアの彫刻のような、静かな迫力を意識しましょう。
ジョジョ トレスの練習を自分のオリジナルに昇華させる方法
トレスの練習を積み重ねたら、次は「自分だけのジョジョ風イラスト」に挑戦してみましょう。
自分の写真を「ジョジョ化」する
まずは自分の顔写真をトレスし、そこに前述した「鼻の影」や「唇のシワ」を足していく練習がおすすめです。自分の顔の構造を知っている分、どこを強調すればジョジョっぽくなるのかが理解しやすくなります。
異質なものをジョジョ風に描く
例えば、nintendo switchのような無機物や、かわいい動物をあえてジョジョ風のタッチで描いてみるのも面白い試みです。本来ジョジョの世界にいないものをあのタッチで描くことで、自分がどれだけジョジョの「エッセンス」を理解できているかを確認できます。
配色に「正解はない」と知る
荒木先生は「空がピンクでも、木が青くてもいい」という自由な色彩感覚を持っています。トレスした線画に色を塗る際は、現実の色に縛られず、自分が「かっこいい」と思う大胆な配色に挑戦してみてください。
まとめ:ジョジョ トレスを通じて唯一無二の表現力を手に入れよう
「ジョジョの奇妙な冒険」の絵柄を学ぶことは、単なる真似事ではありません。それは、人体の構造、線のリズム、光と影のコントラストといった、絵画の基本を極めて高いレベルで学ぶことと同義です。
今回紹介したテクニックや注意点をまとめます。
- トレスは最高の練習法: 線の強弱や筋肉のつき方を身体で覚える。
- 著作権を守る: 公式絵のトレス公開は避け、自撮りや3D人形を活用する。
- パーツの描き込み: 鼻、唇、まつげにジョジョ特有のルールを適用する。
- デジタルを味方に: surface proなどのツールを使い、レイヤーやブラシ設定を工夫する。
何よりも大切なのは、荒木飛呂彦先生が作品に込めている「人間讃歌」の精神を感じながら描くことです。キャラクターの力強さ、生命の輝きを線に込める意識を持つことで、あなたのイラストはただの模写を超えた、魂の宿るものへと変わっていくはずです。
「ジョジョ トレス」を入り口として、あなた自身のクリエイティビティを爆発させてください。黄金の精神を持って、描き続けていきましょう!

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