『ジョジョの奇妙な冒険』という長く壮大な物語の原点である第1部「ファントムブラッド」。吸血鬼となったディオと、黄金の精神を持つジョナサンの死闘は今なお色褪せない名作です。
そんな第1部の中盤から終盤にかけて、一際異彩を放つ不気味なキャラクターが登場したのを覚えているでしょうか?その名も、蛇使いのドゥービー。
今回は、ディオの忠実な僕でありながら、そのあまりに猟奇的なビジュアルと能力で読者にトラウマを植え付けたジョジョの怪人、ドゥービーについて徹底的に深掘りしていきます。
蛇使いのドゥービーとは?その正体と異様なビジュアル
ドゥービーは、物語の舞台が切り裂きジャックの街「ウィンドナイツ・ロト」に移ってから登場する屍生人(ゾンビ)です。ディオによって吸血鬼の精油を注入され、怪物へと変貌した存在の一人ですね。
まず目を引くのが、その異様すぎる外見です。筋骨隆々の巨体に、ハンティングキャップのような帽子。ここまではまだ「強そうな大男」で済みますが、問題はその顔面です。
彼は頭部にすっぽりと袋のようなマスクを被っており、片目だけが不気味に覗いています。そして何より衝撃的なのが、そのマスクの下。彼の頭蓋骨にはいくつもの穴が開いており、なんとその中には「生きた毒蛇」がウジャウジャと飼われているのです。
この「自分の頭を蛇の巣にする」という発想こそ、初期ジョジョが持つホラー漫画としての真骨頂と言えるでしょう。
ゾンビとしての圧倒的な生命力
ドゥービーは単なる蛇使いではありません。ディオの配下であるゾンビとして、常人離れした身体能力と生命力を持っています。
劇中では、ジョナサン・ジョースターによって重いアンビル(金敷)で頭部を激しく殴打されるシーンがありますが、彼は死ぬどころか「痛みが心地よい」といった反応を見せます。痛みそのものを快楽として受け取るその精神性は、人間性を完全に捨て去ったゾンビならではの恐怖を感じさせます。
毒蛇を操る特殊能力!「蛇使い」の戦術とは
ドゥービーの最大の特徴は、その名の通り「蛇」を自在に操る戦闘スタイルにあります。
体内から飛び出す暗殺者の牙
彼の主な攻撃手段は、頭部の穴から蛇を勢いよく飛び出させ、相手を奇襲することです。コブラやマムシといった猛毒を持つ蛇たちが、彼の意志一つでターゲットへと襲いかかります。
通常の格闘戦を想定している相手にとって、予期せぬ場所(しかも敵の頭の中)から蛇が飛んでくるというのは回避が極めて困難な攻撃です。このトリッキーな戦法によって、彼はディオの「掃除屋」としての役割を果たしてきました。
執念深い追跡能力
ドゥービーはただ力押しで攻めるだけでなく、獲物をじわじわと追い詰める狡猾さも持ち合わせています。
垂直な壁を這い上がったり、天井裏から気配を消して近づいたりと、その動きはまるで本物の蛇のよう。暗闇の中、マスクの隙間からこちらを覗くドゥービーの姿は、当時の読者にとってまさに悪夢のような存在でした。
ジョジョの奇妙な冒険 第1部で当時の描写を読み返してみると、その描き込みの細かさに改めて驚かされます。
ポコの姉との関係と襲撃の全貌
ドゥービーを語る上で欠かせないのが、勇気ある少年ポコの姉を襲ったエピソードです。このシーンは、ドゥービーの卑劣さと、それに立ち向かう人間の気高さを象徴しています。
ディオからの「ご褒美」としての刺客
物語の中で、ディオはポコの姉を自らの仲間に引き入れようと誘惑します。しかし、彼女は「誇り」を重んじ、ディオの顔面に強烈な平手打ちを見舞って拒絶しました。
これに激怒したディオが、彼女への「ご褒美(という名の処刑)」として解き放ったのがドゥービーだったのです。
絶体絶命の危機と彼女の勇気
ドゥービーは、逃げるポコの姉を執拗に追い詰め、暗い部屋の中で彼女に恐怖を与えました。スカートを剥ぎ取ろうとするなどの下劣な振る舞いは、彼の邪悪さをより一層際立たせています。
しかし、彼女は決して希望を捨てませんでした。この極限状態で見せた彼女の凛とした態度は、のちに到着するジョナサンたちの魂に火をつけることになります。
ジョナサン対ドゥービー!衝撃の決着と最期
ポコの姉がまさに毒蛇の牙にかけられようとした瞬間、窓を破って現れたのが我らが主人公、ジョナサン・ジョースターでした。
波紋の師・ツェペリから受け継いだ力
この時のジョナサンは、師匠であるウィル・A・ツェペリからすべての波紋エネルギーを受け継いだ「究極の状態」にありました。ドゥービーとの戦いは、その圧倒的なパワーを読者に見せつけるための試金石でもあったのです。
ドゥービーは得意の毒蛇をジョナサンに向けて放ちます。しかし、ジョナサンは動じません。
蛇を逆利用する驚愕の波紋技
ジョナサンは、首筋に噛み付こうとした蛇に対し、波紋の力を使って自分の血管から毒を即座に排出。さらに、波紋によって蛇の神経をコントロールし、逆にドゥービー自身の顔面を噛ませるという荒技を披露しました。
飼い犬に手を噛まれるどころか、飼い蛇に顔を食われるという皮肉な展開に、ドゥービーはパニックに陥ります。
怒りの波紋失踪(オーバードライブ)
最後は、ジョナサンの怒りが込められた波紋の連打を浴び、ドゥービーの肉体は内部から崩壊。ゾンビ特有の再生能力も、ツェペリから託された強力な波紋の前では無力でした。
「おまえはもう、自分が死んでいることにすら気づいていない」
そんな台詞が聞こえてきそうなほど圧倒的な実力差を見せつけられ、ドゥービーは光の中に消滅していったのです。
ドゥービーの名前の由来とメタ的な豆知識
ジョジョに登場するキャラクターの多くには、実在のミュージシャンやバンド名の由来があります。ドゥービーも例外ではありません。
元ネタは「ザ・ドゥービー・ブラザーズ」
彼の名前の由来は、1970年代から活躍するアメリカのロックバンド「ザ・ドゥービー・ブラザーズ(The Doobie Brothers)」であると言われています。
爽やかな西海岸ロックのイメージが強いバンド名から、これほどまでにおぞましいキャラクターが生み出されるというギャップも、荒木飛呂彦先生らしい遊び心と言えるかもしれません。
The Doobie Brothers ベスト盤を聴きながら原作を読むと、また違った味わいがあるかもしれませんね。
第8部『ジョジョリオン』への影響?
余談ですが、第8部『ジョジョリオン』には「ドゥービー・ワゥ!」というスタンドが登場します。
第1部のドゥービーとは直接的な血縁や物語の繋がりはありませんが、名前の一部が引き継がれていることに、長年のファンはニヤリとしたはずです。初期のマイナーキャラの名前が、数十年を経て別の形で再登場する。これこそがジョジョという作品が持つ歴史の重みです。
脇役ながら語り継がれるドゥービーの魅力
ドゥービーの出番は決して長くはありません。しかし、彼の存在は第1部において非常に重要な役割を果たしていました。
それは、「ディオという悪のカリスマが、どれほどまでに醜悪な部下を従えているか」を可視化することです。
高潔なブラフォードやタルカスとは対照的に、ドゥービーは徹底して「怪物」として描かれました。だからこそ、彼を打ち倒すジョナサンの姿がより一層輝いて見えたのです。
ジョジョ第1部の怪人ドゥービーを徹底解説!蛇を操る能力やポコの姉との関係、最期は?のまとめ
いかがだったでしょうか。
ジョジョ第1部の隠れた名悪役、ドゥービー。彼の異様な姿、蛇を操る驚異の能力、そしてポコの姉を追い詰めた非道な振る舞い。そのすべてが、ジョナサンの「黄金の精神」を際立たせるためのスパイスとなっていました。
物語の最期、自らの武器であった蛇に裏切られ、波紋の光に消えていった彼の末路は、悪に魂を売った者の悲しい結末でもあります。
もし今度、ジョジョの奇妙な冒険を読み返す機会があれば、ぜひこの不気味な蛇使いのディテールに注目してみてください。荒木先生が描く、美しくも恐ろしい「ゾンビの美学」がそこには詰まっています。
他にも気になるマイナーキャラがいれば、ぜひ当時のジャンプコミックスを引っ張り出して、その勇姿(あるいは醜態)を確認してみてくださいね!

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