ジョジョの擬音「ドドド」の意味と由来は?荒木飛呂彦氏が込めた独自の音響演出を解説

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『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいるとき、ふとページから地響きのような重低音が聞こえてくる感覚に陥ったことはありませんか?その中心にあるのが、あまりにも有名な擬音「ドドド」です。

漫画という静止画の世界に、圧倒的なライブ感と緊張感を持ち込んだこのフレーズ。単なる足音や振動の表現に留まらない、荒木飛呂彦先生独自のこだわりがそこには凝縮されています。今回は、ジョジョを象徴する「ドドド」の正体について、その由来や演出意図を深く掘り下げていきましょう。

そもそも「ドドド」とは何を指している音なのか

一般的に漫画で「ドドド」という擬音が出てくれば、それは馬が駆ける音だったり、大軍が押し寄せる足音だったりすることが多いですよね。しかし、ジョジョの世界ではその意味合いが少し異なります。

ジョジョにおける「ドドド」は、物理的な音というよりも「空気の震え」や「存在の重圧」を視覚化したものだと解釈するのが正解に近いでしょう。例えば、強敵がゆっくりとこちらへ歩いてくるシーン。実際には足音などほとんどしていないはずなのに、紙面には巨大な「ドドド」の文字が躍ります。

これは、対峙しているキャラクターが感じている心理的なプレッシャーが、周囲の空気を振動させている様子を描いているのです。読者はその文字を目にすることで、耳ではなく「肌」でその場の緊迫感を受け取ることになります。まさに、五感に訴えかける描き文字の魔術と言えるでしょう。

「ゴゴゴ」との使い分けに見る、静と動のコントラスト

ジョジョの擬音を語る上で避けて通れないのが、「ゴゴゴ」との違いです。よくセットで語られるこの二つですが、実は明確な演出意図の差があります。

「ゴゴゴ」は、何かが起こる前の予兆や、不気味な静寂の中に潜む殺気を表現する際に多用されます。いわば「静かなる威圧」です。地面の底から湧き上がってくるような、逃げ場のない不安感を煽る役割を担っています。

対して「ドドド」は、より動的で前進するエネルギーに満ちています。運命が動き出した瞬間、あるいはキャラクターが覚悟を決めて踏み出した一歩。その力強さが「ドドド」という重厚なリズムになって現れるのです。「ゴゴゴ」で高まった緊張が、一気に「ドドド」で爆発する。この緩急のつけ方こそが、ジョジョ特有のバトルのリズムを生み出しています。

荒木飛呂彦氏が影響を受けた音楽的ルーツ

なぜ、これほどまでに独特な擬音表現が生まれたのでしょうか。そのヒントは、作者である荒木飛呂彦先生が愛してやまない「洋楽」にあります。

荒木先生は、1970年代から80年代にかけてのヘヴィメタルやプログレッシブ・ロックに深い造詣を持っています。それらの楽曲に共通するのは、腹に響くような重低音のリズム隊と、空気を切り裂くようなギターリフです。

「ドドド」という響きは、まさにベースやバスドラムが刻む「重いビート」そのもの。漫画のコマを音楽のスコア(譜面)に見立て、そこに重厚なサウンドトラックを流すような感覚で、あの描き文字は配置されています。文字のデザインそのものが歪んでいたり、パースがついていたりするのも、音が空間を伝わっていく様子を表現したいという、音楽的なこだわりから来ているのです。

もし、ジョジョの世界観をより深く味わいたいのであれば、当時のロックシーンを象徴するレッド・ツェッペリンピンク・フロイドといったアーティストの楽曲をバックグラウンドに流しながらページをめくってみてください。紙面の「ドドド」が、よりリアルな音像を伴って迫ってくるはずです。

映画的演出としての「描き文字」の力

音楽だけでなく、映画からの影響も無視できません。特にサスペンスやホラー映画において、観客の心拍数を操る手法がジョジョの紙面には取り入れられています。

不自然な角度で配置された「ドドド」の文字は、観る者に違和感と緊張を与えます。これは映画のカメラアングルや、不安を煽るBGMの使い方に通じるものがあります。荒木先生は、キャラクターのセリフだけでなく、この擬音という視覚情報を「演出装置」としてフル活用しているのです。

特に第3部以降、スタンド能力という目に見えない力が主体となるバトルにおいて、「ドドド」は能力の「余波」を説明する重要な役割を果たしました。読者はその文字の大きさや密度から、放たれたエネルギーの規模を瞬時に理解することができるのです。

時代と共に進化する擬音のデザイン

ジョジョの連載は30年以上にわたりますが、実は「ドドド」のデザインも少しずつ変化しています。

初期の頃は、まだ比較的オーソドックスな太文字で書かれることが多かったのですが、物語が進むにつれて、より有機的で、まるで生き物のような形へと進化していきました。文字の輪郭が震えていたり、背景の模様と一体化していたり。最近のシリーズでは、もはや文字という概念を超えて、ひとつの「文様」のような美しささえ感じさせます。

最新の第9部『ジョジョランズ』でも、その進化は止まりません。デジタル技術を駆使した描き込みと、アナログ時代の魂が融合した「ドドド」は、今やジョジョという作品のアイデンティティそのものと言っても過言ではないでしょう。

クリエイターを刺激する「ジョジョ的表現」の魅力

この独特な表現は、多くの漫画家やクリエイターに多大な影響を与えてきました。今では「ジョジョ風の演出」と言えば、誰にでも伝わる共通言語になっています。

しかし、単に「ドドド」と書けばジョジョっぽくなるわけではありません。大切なのは、そこに「目に見えない力の流れ」を感じさせるかどうかです。荒木先生が積み上げてきた、解剖学的な正しさに基づいたポージングと、その場の空気を支配する擬音。この二つが合わさることで、初めてあの唯一無二の世界観が完成します。

自分の作品にこうした迫力を取り入れたいと考えるなら、まずは一流の表現をじっくり観察することが近道です。例えばジョジョの奇妙な冒険 第1部 モノクロ版から順に、擬音がどのように変化していったのかを追いかけるだけでも、最高の演出教本になるでしょう。

私たちの日常に潜む「ドドド」の感覚

面白いことに、ジョジョファンは日常生活の中で「あ、今自分の中でドドドって鳴ってるな」と感じる瞬間があると言います。

大事なプレゼンの前、あるいは大好きな人に声をかける直前。心臓の鼓動が早くなり、周囲の音が遠のいて、自分の存在感だけが浮き彫りになるような感覚。まさにあの「ドドド」は、私たちが人生の勝負どころで感じる、あのヒリヒリとした高揚感の正体なのかもしれません。

荒木先生は、誰もが経験したことのある「言葉にできない感覚」に、あの文字を与えてくれたのです。だからこそ、私たちはあの擬音を見ただけで、キャラクターの心情とリンクし、熱狂することができるのでしょう。

ジョジョの擬音「ドドド」の意味と由来は?荒木飛呂彦氏が込めた独自の音響演出を解説

ここまで見てきたように、ジョジョにおける「ドドド」は、単なる背景の一部ではありません。それは音楽であり、映画の演出であり、そしてキャラクターの魂の叫びそのものです。

荒木飛呂彦先生が、自身のルーツであるロックやホラーの感性を漫画へと落とし込み、何十年もかけて磨き上げてきたこの擬音。そこに込められた「空気を震わせるエネルギー」を理解すると、次からジョジョを読むのがもっと楽しくなるはずです。

もし、まだ手元に単行本がない方は、ぜひジョジョの奇妙な冒険を手に取って、そのページから溢れ出す重低音を体感してみてください。文字から音が聞こえるという不思議な体験が、あなたを待っています。

次に『ジョジョ』を読み返すときは、ぜひ一文字一文字の「形」にも注目してみてください。そこには、物語を彩る最高のサウンドトラックが、確かに描き込まれているのです。

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