「覚悟はいいか? オレはできてる」
このセリフを耳にした瞬間、鳥肌が立ったジョジョファンは多いはずです。TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』で、ブローノ・ブチャラティという男に魂をきざみ込んだ声優・中村悠一さん。
原作読者からも「ブチャラティの声は中村さん以外考えられない」と言わしめるほど、その演技は「神」と称えられています。なぜこれほどまでにファンの心を揺さぶったのか?
今回は、中村悠一さんが演じたブチャラティの凄み、名シーンの裏側、そして彼自身がこの役に懸けた熱い想いまで、その魅力を徹底的に掘り下げていきます。
中村悠一が演じる「理想のリーダー」ブチャラティの衝撃
ジョジョ第5部において、主人公ジョルノ・ジョバァーナを導き、物語を牽引するもう一人の主人公とも言えるのがブローノ・ブチャラティです。
彼を演じるにあたり、中村悠一さんが見せた表現力は、まさに「静」と「動」の完璧なバランスでした。ギャング組織のリーダーとしての冷徹な凄みと、街の人々や仲間に向ける慈愛に満ちた優しさ。この正反対の要素を、中村さんは声のトーン一つで描き分けています。
アニメ放送前、一部のファンからは「中村さんの声は少し低すぎないか?」という声もありました。しかし、第1話でジョルノの嘘を暴く「汗をなめるシーン」から、その不安は一気に払拭されました。ネット上では「このねっとりとした不気味さと、その後の理性的な声のギャップが最高」と大絶賛。
中村さんの声には、ブチャラティという男が背負ってきた「苦労」と、そこから生まれた「覚悟」が滲み出ていました。単なる格好良いヒーローではなく、酸いも甘いも噛み分けた裏社会の人間としてのリアリティ。それこそが、視聴者が中村さんの演技に引き込まれた最大の理由でしょう。
魂を削る「アリアリ」ラッシュ!収録現場の過酷な裏話
ジョジョを象徴する演出といえば、スタンドによる連続攻撃時の掛け声「ラッシュ」です。ブチャラティの場合は「アリアリアリアリ……アリーヴェ・デルチ!(さよならだ)」。
このラッシュの収録、実は声優さんにとって死闘とも言える過酷な作業なんです。
- 映像の口の動き(パク)に完璧に合わせる技術
- 一息で出し切る肺活量と滑舌
- 最後まで勢いを落とさない熱量
中村悠一さんは後のインタビューで、このラッシュの収録について「とにかく全力でやるしかない」と語っています。特に、敵を仕留める際のアリーヴェ・デルチのキレ。ただ叫ぶのではなく、その一撃に「決着」という重みを乗せる中村さんの技術は、まさに職人技です。
収録現場では、ブチャラティチームのキャスト陣が互いの演技に刺激を受け合い、熱気が充満していたそうです。中村さんは座長に近い立ち位置として、現場の空気を作りつつ、自身の喉を酷使するラッシュシーンに挑み続けました。その結果として生まれたのが、あの視聴者の耳に一生残る「アリアリ」なのです。
生と死の境界線を演じ分けた「後半のブチャラティ」
物語中盤、ブチャラティは組織のボスに反旗を翻し、致命的な傷を負います。そこから先、彼は「魂だけで動く肉体」という非常に難しい状態になります。
ここからの、中村悠一さんの演技の細かさには驚かされます。
生きている時のような力強い呼吸音を抑え、どこか浮世離れした、しかし意思だけは誰よりも強いという絶妙なライン。視力を失い、感覚が麻痺していく中で、ジョルノたちを目的地へ導こうとする献身的な姿。
最終決戦に向けて、ブチャラティの声は少しずつ「透明感」を増していきます。これは中村さんが意図的に、キャラクターの終焉を意識して演じていた部分だと思われます。力強さが消えていくのに、言葉の重みが増していく。この矛盾を見事に成立させた中村さんの表現力こそ、ファンが「神」と呼ぶ所以です。
歴代キャストとの違いと中村版ブチャラティの独自性
ジョジョは歴史の長い作品であり、アニメ化される以前のゲーム作品などでは、別の声優さんがブチャラティを演じていたこともあります。
例えば、PS2ソフトジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風では櫻井孝宏さんが、その後のゲームジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル Rなどでは杉山紀彰さんが演じていました。
歴代のキャストの方々も素晴らしいブチャラティを構築されてきましたが、アニメ版の中村悠一さんは、より「泥臭い人間味」を強調したように感じられます。
櫻井さんが「知的でクールなブチャラティ」、杉山さんが「若々しく高潔なブチャラティ」だとすれば、中村さんは「すべてを包み込む包容力と、狂気的な覚悟を秘めたブチャラティ」。
どれが正解というわけではなく、アニメという長い尺の中でキャラクターの成長と没落を描くにあたって、中村さんの持つ「厚みのある低音」が、第5部という重厚な群像劇に完璧にマッチしたのです。
中村悠一とジョジョの深い縁、実は別キャラも演じていた?
意外に知られていないのが、中村悠一さんとジョジョシリーズの長い付き合いです。
実は、アニメでブチャラティ役に決まる以前、ゲーム『オールスターバトル』において、中村さんは第6部の人気キャラクター、ナルシソ・アナスイの声を担当していました。
アナスイはブチャラティとは正反対の、狂気と愛に生きるトリッキーなキャラクター。当時、アナスイを演じていた中村さんを知るファンは、ブチャラティ役が発表された際に「あのアナスイをやった中村さんが、今度は聖人ブチャラティをやるのか!」と大きな衝撃を受けました。
役の幅が広い中村さんだからこそ、全く異なるタイプのジョジョキャラを演じ分けることができたのでしょう。ちなみに、中村さん自身もかなりのジョジョ好きとして知られており、作品へのリスペクトが非常に強い方です。その愛があったからこそ、あのような魂の籠もった演技が生まれたのは間違いありません。
チームの絆!アフレコ現場での「黄金体験」エピソード
『黄金の風』の収録は、キャスト陣の仲が非常に良かったことでも有名です。
ジョルノ役の小野賢章さんを中心に、中村さん、諏訪部順一さん、鳥海浩輔さん、山下大輝さん、榎木淳弥さんといった豪華メンバー。彼らは収録後によく食事に行っていたそうで、その様子はファンの間で「リアル・ブチャラティチーム」と呼ばれていました。
中村さんはチームの兄貴分的な存在として、現場を盛り上げていたそうです。特に有名なのは「黄金の風邪」エピソード。ある時期、現場で風邪が流行した際、中村さんが「これが本当の黄金の風(邪)か……」と冗談を飛ばし、現場を和ませたという話があります。
また、ブチャラティが最期を迎えるシーンの収録後、キャスト陣の間には何とも言えない喪失感と達成感が漂っていたと言います。物語と現実のリンク。中村さんが作り上げた「リーダー像」が、声優陣の結束力にも大きな影響を与えていたことが伺えます。
視聴者が選ぶ!中村悠一版ブチャラティの心震える名言3選
ここで、中村悠一さんの声で再生されるからこそ響く、ブチャラティの名言を振り返ってみましょう。
- 「覚悟はいいか? オレはできてる」言わずと知れた名セリフ。中村さんの声は、威嚇ではなく「自分自身への問いかけ」のような静かなトーンで始まります。それが後半にかけて、相手を圧倒する圧力へと変わる。この「覚悟」の重みは、中村さんの低音ボイスだからこそ表現できた境地です。
- 「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ! なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!! 自分の利益だけのために利用する事だ…!!」ボスの非道に対して怒りを爆発させるシーン。普段冷静なブチャラティが、心の底から軽蔑し、激昂する。この時の「震えるような怒り」の演技は、観ている側の感情も激しく揺さぶりました。
- 「気にするな……ジョルノ……。これでいいんだ……。運命とは……『眠れる奴隷』だ……。オレたちはそれを解き放つことができた……。それが勝利なんだ……」最期の別れの言葉。先ほどまでの激闘が嘘のような、穏やかで優しい声。中村さんの演技は、まるで光の中に消えていくような、救いに満ちた響きを持っていました。このシーンで涙を流さなかったファンはいないでしょう。
制作スタッフも驚愕!中村悠一の役作りへのこだわり
アニメ制作陣のインタビューなどでも、中村さんの役作りは高く評価されています。
ジョジョの台詞回しは非常に独特で、漫画的な誇張表現が多いのが特徴です。これをそのまま口に出すと、どこか不自然になったり、浮いてしまったりすることがあります。
しかし、中村さんはその「ジョジョ語」を、あたかも日常的に使っている言葉であるかのように自然に、かつ力強く響かせる技術を持っていました。
例えば、ジョジョの奇妙な冒険 第5部 モノクロ版 1を読み返すとわかりますが、ブチャラティの台詞は一歩間違えればキザになりすぎてしまいます。中村さんはそこに「生活感」と「組織に生きる男の哀愁」を混ぜ込むことで、キャラクターを立体的に見せました。
作画監督や演出家も、中村さんから上がってくる声の芝居を聞いて、映像の修正や演出の強化を行うこともあったと言います。まさに、声優とスタッフが一体となって作り上げたキャラクター。それが中村悠一版ブチャラティなのです。
ジョジョ中村悠一のブチャラティが神すぎる!名言や演技の評価、裏話まとめ
ここまで、中村悠一さんが演じたブローノ・ブチャラティの魅力について語ってきました。
中村さんの演技は、単に「キャラクターに声を当てる」という次元を超え、ブチャラティという一人の男の人生そのものを描き出していました。あの圧倒的なリーダーシップ、仲間に向ける慈愛、そして死をも恐れない覚悟。そのすべてが、中村さんの声を通じて私たちの心に届きました。
改めてアニメを見返してみると、物語の序盤から終盤にかけて、ブチャラティの声が少しずつ変化していく繊細なグラデーションに気づくはずです。
もし、まだ全編を観ていないという方がいれば、ぜひ中村悠一さんの「声」に注目して視聴してみてください。きっと、あなたも「アリーヴェ・デルチ」の瞬間に、言葉にできない感動を覚えるはずです。
ジョジョ第5部という黄金の物語において、中村悠一さんの演技は永遠に色褪せることのない輝きを放ち続けるでしょう。
次は、ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 Blu-ray BOXを手にとって、あの感動をもう一度体験してみませんか?

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