「ジョジョの奇妙な冒険」という壮大なサーガの中でも、ひときわ異彩を放ち、読者の間で熱い議論を巻き起こし続けているのが第8部『ジョジョリオン』です。
2011年から約10年にわたる連載を経て、物語は堂々の完結を迎えました。しかし、月刊連載という長いスパンゆえに「途中で展開が追えなくなった」「結局、定助の正体は何だったの?」と疑問を抱えたままの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、完結した今だからこそ見えてくる『ジョジョリオン』の全貌を徹底解説します。あらすじから複雑な謎の真相、そして読者の間で分かれる評価の理由まで、ネタバレを含みつつその魅力に迫ります。
舞台は震災後の杜王町!「呪い」を解く物語の始まり
物語の舞台は、第4部と同じ名前を持つ「M県S市杜王町」。ですが、ここは第7部『スティール・ボール・ラン』から続く「一巡後の世界」の物語です。
2011年、東日本大震災によって突如として現れた謎の隆起物「壁の目」。その近くで、記憶を失い全裸で土の中に埋まっていた青年が発見されるところから物語は動き出します。
帽子を被り、すきっ歯が特徴的なその青年は、広瀬康穂という少女に助けられ、地元の大富豪である東方家に引き取られることになります。名前もわからない彼は、東方家の家長・憲助によって「定助(じょうすけ)」と名付けられました。
定助が抱える最大の謎は「自分は何者なのか」というアイデンティティの追求です。そして、東方家に代々伝わる「体が岩のように固まって死ぬ」という不治の病、すなわち「呪い」の存在。定助はこの呪いを解く鍵を握る奇跡の果実「ロカカカ」を巡り、町に潜む異形なる存在「岩人間」たちとの壮絶な争奪戦に身を投じていくことになります。
ジョジョリオンを読み返すと、序盤から散りばめられた不気味な違和感が、すべてこの「呪い」と「血筋」に集約されていく構成に圧倒されるはずです。
東方定助の正体とは?吉良吉影と空条仗世文の「等価交換」
『ジョジョリオン』最大のミステリーといえるのが、主人公・東方定助の正体です。物語の中盤で明かされるその真相は、ジョジョ史上最も衝撃的で、かつ切ないものでした。
結論から言えば、定助は「二人の人間が合体して生まれた新しい人間」です。
かつて、この町には吉良吉影(4部の殺人鬼とは別人の、正義感ある海軍医)と、彼を慕う青年・空条仗世文(くうじょう じょせふみ)がいました。二人は吉良の母・ホリィを病から救うため、等価交換の力を持つ「ロカカカの実」を岩人間から盗み出そうとします。
しかし、追っ手の攻撃により二人は瀕死の重傷を負います。仗世文は吉良を救うため、ロカカカの実を自分たちに使い、さらに「壁の目」付近の特殊な土壌の力によって、自らの肉体を吉良と「等価交換」しました。
その結果、二人の肉体は混ざり合い、全く新しい一人の人間として再構築されました。それが東方定助です。
- 眼球の虹彩が半分ずつ異なる
- 舌の形が左右で違う
- そして、身体的特徴も二人の要素を併せ持っている
彼は吉良でも仗世文でもない、「この世にどこにも存在しなかった誰か」として誕生したのです。この設定は、これまでのジョジョが描いてきた「受け継がれる黄金の精神」を、肉体レベルで体現した究極の形とも言えるでしょう。
宿敵「岩人間」と新概念スタンドの衝撃
第8部の敵は、吸血鬼でも柱の男でも、組織のボスでもありません。社会の隙間に潜んで生きる特殊な生態系「岩人間」です。
彼らは炭素ベースではなくケイ素ベースの生物であり、数ヶ月の冬眠期間を経て岩のように硬質化する性質を持っています。人間的な感情が希薄で、徹底的に合理的かつ冷酷。彼らが狙うのは、ロカカカの実の独占による「経済的な支配」と「不老不死」に近い治療の力でした。
また、本作のスタンドバトルはこれまでの部以上に「概念的」で「理不尽」なものへと進化しています。
特に読者を驚愕させたのが、物語のラスボスである透龍(とおる)のスタンド「ワンダー・オブ・U(ワンダー・オブ・ユー)」です。その能力はズバリ「厄災」。
敵を攻撃しようと「追う」という意志を持っただけで、対象にはありとあらゆる不幸な事故(厄災)が降りかかります。雨粒が弾丸のように体を貫き、タバコの灰が肺を切り裂く。直接対決すらさせてもらえない、究極の「触れてはいけない」能力。
これに対し、定助が最後に到達した「ソフト&ウェット ゴー・ビヨンド」は、この世に存在しないほど細く回転する糸、すなわち「無」を飛ばす能力でした。存在しないものは「厄災」という理(ことわり)にも縛られない。この物理学や哲学を彷彿とさせる決着の付け方は、荒木飛呂彦先生の表現力の極致と言えます。
なぜ評価が分かれる?「つまらない」という声の正体
『ジョジョリオン』は、ファンの間で非常に評価が分かれる作品としても知られています。その理由は、いくつか挙げられます。
まず、物語の構造が「サスペンス」に振り切っている点です。
従来のジョジョは「敵を倒して目的地へ向かう」というロードムービー的な明快さがありましたが、8部は「家の中」や「街の一部」という閉鎖的な空間で、誰が敵か味方かわからない疑心暗鬼の状態が長く続きます。この停滞感や不気味さが、爽快感を求める読者には「テンポが悪い」と感じられたのかもしれません。
次に、伏線の回収が非常に難解である点です。
「壁の目」で見つかった謎の赤ん坊や、一瞬だけ描かれた記憶の断片など、読者が「これは後で重要になるはずだ」と予想したポイントが、ストレートに説明されないまま終わったケースもありました。これは読者に解釈を委ねる高度な演出とも取れますが、モヤモヤを感じる要因にもなっています。
しかし、完結した今、全27巻を一気に読み返すと評価はガラリと変わります。
これは「血の呪い」と戦い、自分という形のない存在を肯定していく、極めてパーソナルで深い「愛」の物語だからです。特に東方家の複雑な家族愛や、常敏(じょうびん)の「家族を守るための悪」といった描写は、大人の読者にこそ響く重厚な人間ドラマになっています。
9部『The JOJOLands』へのバトン
『ジョジョリオン』のラストシーンは、定助が東方家の一員として、ケーキを選ぶという日常の風景で幕を閉じます。記憶は戻らず、失われたものは多いけれど、彼は「新しい自分」として生きることを決めた。この静かな感動は、これまでのどの部とも違う余韻を残してくれました。
そして物語は、現在連載中の第9部『The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ)』へと繋がっていきます。
8部の終盤で明かされたジョースター家の家計図。そこには、4部の吉良吉影の系譜だけでなく、ジョニィ・ジョースターから繋がる新たな血の分岐が示されていました。9部の主人公ジョディオ・ジョースターは、まさにその延長線上に存在します。
ロカカカの実がもたらした「等価交換」の概念や、岩人間たちが追い求めた「仕組み(メカニズム)」という考え方は、9部の物語にも色濃く反映されています。ジョジョの奇妙な冒険 第9部を楽しむためにも、8部の完結を見届けることは必須と言えるでしょう。
まとめ:ジョジョ8部ジョジョリオンは完結済み!あらすじ・謎・評価を徹底解説
ここまで、第8部『ジョジョリオン』の核心部分を振り返ってきました。
物語の始まりから終わりまで、常に「正体不明の不気味さ」が付きまとった本作。ですが、その根底にあったのは、震災という大きな喪失を経験した世界で、いかにして「自分自身」と「家族の絆」を取り戻すかという、切実な希望の物語でした。
- 定助の正体: 二人の人間が混ざり合った「新しい命」
- 物語の軸: 東方家の呪いを解くための「ロカカカ」争奪戦
- 最大の敵: 「厄災」を操る岩人間・透龍
- 完結の意義: 9部へと続くジョースターの血脈の再定義
まだ未読の方はもちろん、途中で止まってしまっていた方も、完結した今こそ、この奇妙で美しい杜王町の物語を最後まで見届けてみてください。一度迷い込んだら抜け出せない、その深遠な魅力にきっと気づくはずです。
もし、さらに詳しいスタンド能力の解説や、各巻の見どころを知りたい場合は、ぜひコメントやSNSで教えてくださいね。次は、現在進行形で盛り上がっている第9部についても詳しくお話しできればと思います。
ジョジョ8部ジョジョリオンは完結済み!あらすじ・謎・評価を徹底解説をお届けしました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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