「おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」
このセリフ、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。あるいは、SNSで誰かが理不尽な要求に対して「だが断る」と返しているのを見たことがあるかもしれません。これらはすべて、荒木飛呂彦先生による超人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれたジョジョのネットミームです。
ジョジョという作品は、1987年の連載開始から現在に至るまで、その独特すぎるセリフ回しやポージング、擬音によって、ネットカルチャーの歴史を形作ってきました。もはや単なる「漫画の引用」を超え、共通言語としての地位を確立しています。
今回は、初心者の方でもこれさえ読めばネットの荒波を渡っていけるよう、定番から最新のトレンドまで、ジョジョのネットミームを徹底的に解説していきます。
なぜジョジョのセリフはこれほどまでにミーム化するのか?
ジョジョがネット上で爆発的に拡散される理由は、その「圧倒的な言語センス」と「計算し尽くされたビジュアル」にあります。
独特すぎる言い回しと「ッ」の魔法
ジョジョのセリフには、普通の漫画では見られない独特の記号使いがあります。語尾に付く「ッ!」や、促音の多用が、読者の脳内に強烈なインパクトを残します。これがネット上での書き込み(テキストコミュニケーション)と非常に相性が良く、感情を乗せやすい「テンプレ」として定着しました。
汎用性が高すぎるシチュエーション
「絶望的な状況」「相手を煽りたいとき」「自分の決意を示したいとき」。日常で起こりうるあらゆる場面に対して、ジョジョには必ずと言っていいほど「ピッタリはまる名言」が存在します。この使い勝手の良さが、ミームとしての寿命を長くしているのです。
【第1部〜第2部】すべての伝説はここから始まった
ネット掲示板の黎明期から愛され続けている、いわば「伝統芸能」とも呼べるミームたちを紹介します。
「そこにシビれる! あこがれるゥ!」
ディオがジョナサンの恋人の唇を奪うという非道な行いをした際、取り巻きの悪友たちが放ったセリフです。現在では、誰かが常人には真似できないようなすごいこと(あるいは突き抜けたバカなこと)を成し遂げた際に、最大限の賛辞として送られます。
「おまえは今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」
あまりに膨大な犠牲を問われたディオが、冷酷に言い放った言葉です。ネット上では「そんな細かいこといちいち覚えてるわけないだろ」という開き直りや、圧倒的な物量を示す際の返しとして多用されます。
「おまえの次のセリフは……『〇〇』という!」
第2部の主人公、ジョセフ・ジョースターの特技です。相手の心理を見抜き、次に言う言葉を先回りして封じ込めます。掲示板やSNSで、次に書き込まれるであろう反論やリアクションを予測して書き込むのがお約束となっています。
【第3部〜第4部】黄金期の到来と日常への浸透
スタンド能力が登場し、ジョジョ人気が不動のものとなった時期です。このあたりのミームは、作品を知らない層にも広く浸透しています。
「ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」
ポルナレフがDIOの能力「ザ・ワールド」による混乱を説明しようとした際のセリフです。「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ! おれは奴の前で階段を登っていたと思ったら いつのまにか降りていた」という一連の流れは、あまりに理不尽な状況や、予想外のトラブルに遭遇した際の報告用テンプレとして不動の人気を誇ります。
「だが断る」
第4部の人気キャラクター、岸辺露伴の代名詞です。窮地に立たされ、相手の提案に乗れば助かるという状況で、あえて「NO」を突きつける。この「勝ち確」と思っている相手の鼻を明かすカタルシスが、ネット上での拒絶の表現として最高に機能しています。
「やれやれだぜ」
空条承太郎の口癖です。何か面倒なことに巻き込まれたときや、相手の幼稚さに呆れたとき、これ一言で「やれやれ」感を演出できる万能フレーズです。現代で言うところの「エモい」ならぬ「やれやれ」な状況でスマートフォンを操作しながらつぶやくのが似合います。
【第5部〜第6部】「覚悟」と「絶望」が織りなす名言
スタイリッシュな第5部や、物語が一度完結を迎える第6部からも、重みのあるミームが数多く誕生しました。
「この味は!……嘘をついてる『味』だぜ……」
ブチャラティがジョルノの汗を舐めて放った衝撃的なセリフです。相手の言動が怪しいとき、嘘を見破った(あるいは疑っている)ときのジョークとして使われます。実際には舐めなくても、文章だけでその場の空気を「ジョジョ化」させる力があります。
「覚悟はいいか? 俺はできてる」
同じくブチャラティの名言。何か大きな勝負に出るときや、重要な決断をSNSで表明する際、自分自身を鼓舞するために使われることが多いです。
「素数を数えて落ち着くんだ」
第6部の黒幕、プッチ神父がパニックに陥りそうになった際に行うルーチンです。ネット上で議論が白熱しすぎたときや、自分が動揺したときに「2… 3… 5… 7…」と素数を書き込むことで、冷静さを取り戻そうとする(あるいは周囲を落ち着かせる)メタ的な表現として定着しました。
海外から逆輸入された「動画ミーム」の衝撃
2010年代以降、アニメ化によってジョジョは世界的なコンテンツとなりました。その結果、海外のネットユーザーによる独特なミームが日本に逆輸入されるという現象が起きています。
「To Be Continued」ミーム
第1部・第2部アニメのエンディング曲、Yes Roundaboutの印象的なイントロとともに、画面がセピア色になり「To Be Continued」の矢印が出る演出です。これは、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームで、「この直後、悲惨な結末が訪れる」という瞬間に動画をストップさせる手法として世界中で大流行しました。
「JoJo Pose(ジョジョ立ち)」
奇妙な角度で体をひねるジョジョ立ちは、海外のインフルエンサーやアーティストたちの間でも一種のクールな表現として広まりました。SNSで一眼レフカメラを抱えて撮影に行く際、ジョジョ立ちでポーズを決めるのはもはや世界の共通言語です。
【第7部〜最新第9部】進化し続けるジョジョミーム
ジョジョの物語は現在も続いており、新しいミームが次々と生まれています。
「ピザ・モッツァレラ♪」
第7部『スティール・ボール・ラン』のジャイロ・ツェペリが歌う謎の歌。脈絡のない、しかし中毒性のあるフレーズとして、意味のない楽しさを共有したいときに使われます。
「仕組み(メカニズム)」
現在連載中の第9部『The JOJOLands』で、主人公ジョディオ・ジョースターが重視する概念です。世の中の経済や不条理を「仕組み」という言葉で語るスタイルは、冷笑的かつ現実的な現代のネットユーザーの間で、新たな語り口として注目されています。
ジョジョのミームを正しく使うための心得
ジョジョのミームは強力ですが、使う場所を選ばないと「ただの痛い人」になってしまう危険もあります。以下のポイントを意識して、スマートに使いこなしましょう。
- 相手に伝わるかを見極める:相手が全くジョジョを知らない場合、「パンの枚数」と言っても「食生活の心配」をされるだけです。コミュニティの空気を読みましょう。
- 「ッ」を忘れない:ジョジョらしさを出すには、促音(ッ)が不可欠です。「だが断る」よりも「だが断るッ!」の方が、より露伴らしい「圧」が出ます。
- 敬意を忘れない:ミームはあくまで作品への愛から生まれるものです。荒木先生の画業をリスペクトしつつ、楽しく活用しましょう。
まとめ:ジョジョのネットミーム元ネタ解説!日常で使えるセリフから最新の流行まで徹底網羅
ここまで、世代を超えて愛されるジョジョのネットミームの数々を見てきました。
ジョジョの言葉がこれほどまでに力強く、私たちの日常に溶け込んでいるのは、それらのセリフが「人間の本質」を突いているからに他ありません。勇気、覚悟、恐怖、そして奇妙なユーモア。私たちはジョジョのセリフを借りることで、自分自身の感情をより豊かに表現しているのかもしれません。
日常の何気ない会話に、ジョジョのエッセンスをひとさじ加えてみてください。きっと世界が少しだけ、奇妙でエキサイティングなものに変わるはずです。
もし、もっと深くジョジョの世界に浸りたくなったら、ぜひ原作漫画を1部から読み返してみてください。そこには、まだネットでも見つかっていない「あなただけの新しい名言」が眠っているかもしれません。
「君がッ! 読み始めるまで! 応援をやめないッ!」

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