荒木飛呂彦先生による不朽の名作『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』。数あるスタンドの中でも、その異質さと不気味さで読者の心に強烈なトラウマと興奮を刻み込んだのが、暗殺チームのメローネが操る「ベイビィ・フェイス」です。
パソコン型のスタンドから「子供」が産まれるという、シリーズを通しても類を見ない特殊な発現形態。そして、主人公ジョルノ・ジョバァーナをあと一歩のところまで追い詰めた圧倒的な分解能力。
今回は、このベイビィ・フェイスの能力の仕組みから、本体メローネの変態的なこだわり、そして戦いを通じてジョルノが遂げた進化まで、多角的な視点で徹底的に解説していきます。ディ・モールト(非常に)深く、その魅力に迫っていきましょう。
異質の極み!ベイビィ・フェイスを生み出す「親」と「子」の仕組み
ベイビィ・フェイスを語る上で欠かせないのが、スタンドが「親」と「子」という二段階のプロセスを経て機能するという点です。通常のスタンドは本体の精神エネルギーが直接形を成しますが、ベイビィ・フェイスは「受精」と「教育」という過程を必要とします。
パソコン型の「親」による相性診断
本体のメローネが携行しているノートパソコンのような物体。これがベイビィ・フェイスの「親」です。この親は直接戦闘を行うのではなく、あくまで「子」を産み出すための端末として機能します。
メローネはまず、標的の血液を採取します。その血液からDNA情報を読み取り、さらに標的と「相性の悪い性格」を持つ女性を母体として選定します。ここで言う相性とは、標的に対して強い殺意や拒絶反応を示しやすい組み合わせのことです。
メローネは、女性の血液型、星座、さらには過去の経験や健康状態までを執拗に分析します。この「変態的とも言える緻密なデータ収集」こそが、最強の刺客を産むための絶対条件なのです。
母体を介して誕生する「子」
条件に合致する女性を見つけると、メローネは「親」を介してその女性の体内にスタンドのエネルギーを注入します。数分という異常な速さで「子」は母体の中で成長し、産み落とされます。
この「子」は自律型の遠隔操作スタンドであり、本体であるメローネから遠く離れて行動することが可能です。しかも、実体化しているため一般人の目にも映るという、非常に特殊な性質を持っています。
物質をパズルに変える!「子」が持つ戦慄の分解・再構築能力
産み落とされた「子」が持つ能力は、一言で言えば「物質の分解と再構築」です。しかし、その中身は想像を絶するほどエグいものでした。
人体を立方体へと切り刻む
ベイビィ・フェイスの「子」が対象に触れると、その部分を小さなサイコロ状(立方体)のパーツに分解してしまいます。例えば、喉を切り取れば声が出せなくなり、目を切り取れば視界を奪えます。
恐ろしいのは、これが「切断」ではなく「パーツ化」である点です。出血させることなく、まるでパズルのピースを抜き取るように人体を欠損させることができます。ジョルノはこの能力によって、足や喉、さらには顔の一部までも奪われ、かつてない窮地に立たされました。
あらゆる物体への擬態と潜伏
この能力は攻撃だけでなく、防御や隠密行動にも極めて有効です。自分自身の体を細かく分解し、周囲にある物体、例えばソファや靴、あるいは床そのものへと「組み替えて」同化することができます。
ターゲットが気づかないうちに密室へ侵入し、至近距離から急襲する。この隠密性と、一撃で部位を奪う殺傷能力の組み合わせは、暗殺において最強クラスの適性を持っていると言えるでしょう。
教育で性格が変わる?自律型スタンドならではの危うさ
ベイビィ・フェイスの「子」は、産まれた直後は何も知らない赤ん坊のような状態です。ここでメローネによる「教育」が必要になります。
メローネによるタイピング教育
メローネは「親」のキーボードを叩き、言葉や殺しのテクニック、さらには標的への憎しみを「子」にインプットしていきます。この教育のスピードが驚異的で、数分前まで赤ん坊のようだった「子」が、すぐに老獪な殺人鬼のような口調で話し始めるのです。
しかし、知性を与えすぎることは諸刃の剣でもあります。知識を身につけた「子」は、やがて自分の意志で物事を判断し始め、本体であるメローネの命令に疑問を抱いたり、反抗したりするようになるのです。
自律性の暴走が招いた結末
ジョルノとの最終局面において、追い詰められた「子」はメローネの指示を無視し、自身のプライドや恐怖心から独断で行動しました。スタンドが本体の制御を離れるという事態は、自動操縦型スタンドが持つ最大の弱点とも言えます。
もしメローネがもっと謙虚に「子」を導いていれば、あるいは「子」が純粋な命令遂行マシンであれば、勝敗の行方は分からなかったかもしれません。
ジョルノの進化を促した「生命の天敵」としての役割
物語の構成上、ベイビィ・フェイス戦はジョルノ・ジョバァーナというキャラクターにとって最大の転換点となりました。
生命を創る者 vs 生命を刻む者
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスは「無機物に生命を与える」能力です。対してベイビィ・フェイスは「有機物を無機的なパーツに分解する」能力。この対照的な二つの能力がぶつかり合ったことで、ジョルノは新しいスキルのヒントを得ました。
「パーツが足りないなら、自分で創ればいい」
ジョルノは、ベイビィ・フェイスに奪われた自分の体の一部を、周囲の物質から創り出した「生体パーツ」で補うという荒業を思いつきます。これによって、ジョルノはチームの「ヒーラー(治療役)」としての地位を確立することになったのです。
メローネの最期とジョルノの非情な知略
「子」を倒されたメローネは、再起を図ろうとしますが、ジョルノの執念がそれを許しませんでした。ジョルノは「子」の死骸の一部をヘビに変え、遠隔地にいたメローネのもとへ送り込みます。
メローネが勝利を確信して「ディ・モールト!」と叫ぼうとしたその瞬間、口の中でヘビが実体化し、彼は舌を噛まれて絶命しました。本体が直接手を下さずに相手を仕留める、ジョルノの冷徹なまでの知略が光った幕切れでした。
まとめ:ジョジョ5部ベイビィ・フェイスの能力を徹底解説!メローネのスタンドは最強か?
ベイビィ・フェイスは、単なる戦闘用スタンドではなく、情報戦、心理戦、そして「教育」という概念まで取り込んだ、第5部屈指のテクニカルな能力でした。
その強さは、単なる破壊力(パワー)ではなく、以下の3点に集約されます。
- 予測不能な誕生プロセス: ターゲットに合わせたカスタマイズが可能。
- 物理無効の分解能力: 触れれば勝ちという絶望的な殺傷力。
- ジョルノを成長させた鏡のような存在: 「生命」を扱う者同士の極限の対決。
結果的に敗北したものの、メローネの分析力とベイビィ・フェイスの応用力は、暗殺チームの中でもトップクラスの実力だったことは間違いありません。もし別の母体から、別の性格の「子」が産まれていたら……そんな想像を掻き立てられるのも、このスタンドの魅力ですね。
ジョジョの世界には、他にも魅力的なガジェットや関連アイテムが多数存在します。作中の不気味な雰囲気をより深く楽しみたい方は、ジョジョの奇妙な冒険 第5部をチェックして、メローネの「ディ・モールト」な活躍を読み返してみてはいかがでしょうか。
ベイビィ・フェイスの持つ「部品化」の恐怖を知ることで、ジョルノたちが命懸けで繋いだ「黄金の意志」がより一層輝いて見えるはずです。

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