「ジョジョって絵が独特すぎて、正直どこが面白いのかわからない……」
そんなふうに思って、食わず嫌いをしている方は意外と多いのではないでしょうか。本屋の棚にずらりと並ぶ100巻以上の単行本、ネット上で飛び交う独特な名言、そして奇妙なポーズ。外側から見ているだけでは、その熱狂の正体がつかみにくいのも無理はありません。
しかし、連載開始から35年以上が経過してもなお、世代を超えて愛され続け、ハイブランドのGUCCIとコラボレーションまで果たす漫画は他に類を見ません。なぜ、これほどまでに多くの大人が、そして若者が『ジョジョの奇妙な冒険』に心を奪われるのか。
今回は、ジョジョの何が面白いのか、その核心にある5つの魅力を徹底的に掘り下げていきます。これを読み終える頃には、あなたも「ちょっと1話だけ見てみようかな」という気分になっているはずですよ。
1. 概念を覆した「スタンド能力」による極限の頭脳戦
ジョジョを語る上で絶対に外せないのが、第3部から登場した「スタンド(幽波紋)」という設定です。今では当たり前になった「特殊能力の具現化」という概念ですが、その先駆けとなったのがこの作品です。
それまでの少年漫画といえば、修行して筋力を鍛える、あるいは「気」や「魔力」の大きさで殴り合うというパワーゲームが主流でした。しかし、ジョジョは違います。
スタンド能力には、それぞれ明確な「法則」と「制約」があります。例えば「ジッパーを取り付けて物体を切り離す」や「触れたものを爆弾に変える」といった、一見すると使い道が限定的な能力も登場します。
面白いのは、この「一見弱そうな能力」が、使い手の知恵と工夫次第で最強の敵を追い詰める点です。相手の能力の正体を推理し、自分の能力をどう応用すれば逆転できるのか。まるで精密なパズルを解くような、あるいは高度な心理戦を繰り広げるポーカーのような緊張感が、読者を惹きつけてやまないのです。
ジョジョの奇妙な冒険 第3部を手に取れば、その圧倒的なアイデアの奔流に驚かされることでしょう。
2. 泥臭くも美しい「人間讃歌」という一貫したテーマ
作者の荒木飛呂彦先生が一貫して掲げているテーマが「人間讃歌」です。これは、特別な才能を持った超人の物語ではなく、恐怖に震える足で一歩前へ踏み出す「普通の人間の勇気」を肯定する物語だということです。
ジョジョの登場人物たちは、しばしば逃れられない過酷な運命に直面します。理不尽な悪意、大切な仲間の死、そして自分自身の限界。そんな絶望的な状況の中で、彼らは決して諦めません。
「勇気とは怖さを知ることッ!『恐怖』を我が物とすることじゃあッ!」
作中のこのセリフに象徴されるように、恐怖を消し去るのではなく、恐怖を抱えたまま立ち向かう姿こそが「黄金の精神」として描かれます。この泥臭くも高潔な精神性に、私たちは自分自身の人生を重ね合わせ、深い感動を覚えるのです。大人になってから読み返すと、より一層その言葉の重みが心に響きます。
3. 漫画の枠を超えた「アート」としてのビジュアル
ジョジョを敬遠する理由として最も多い「絵が独特」という点ですが、実はこれこそが最大の魅力でもあります。ジョジョの画風は、イタリアの彫刻やルネサンス期の美術、そして現代のファッション誌からインスピレーションを受けています。
特筆すべきは、キャラクターがとる不自然で優雅なポージング、通称「ジョジョ立ち」です。解剖学的な正確さよりも、画面上の構図としての美しさや力強さを優先したそのスタイルは、もはや漫画というより一幅の絵画のようです。
さらに、色彩感覚も独特です。空が黄色かったり、地面がピンクだったり。現実の風景に縛られない自由な配色は、登場人物の感情の揺れ動きをダイレクトに視覚へ訴えかけてきます。
この唯一無二のビジュアルは、ファッション業界からも熱烈な支持を受けており、ジョジョの奇妙な冒険 画集を眺めるだけでも、その芸術性の高さに圧倒されるはずです。
4. 部ごとにジャンルが激変する「大河群像劇」の楽しさ
ジョジョのもう一つの大きな特徴は、第1部から現在の第9部まで、主人公を交代しながら数世代にわたる血脈の物語を描いている点です。しかも、部ごとに作品のジャンルがガラリと変わります。
- 第1部:英国貴族の誇りと吸血鬼との死闘(ホラー・アクション)
- 第2部:軽薄だが天才的な主人公が神のごとき存在に挑む(アドベンチャー)
- 第3部:エジプトを目指す世界横断の旅(ロードムービー)
- 第4部:日本の地方都市に潜む殺人鬼を追う(日常・サスペンス)
- 第5部:イタリアのギャング界での成り上がり(ピカレスク・ロマン)
このように、部ごとに舞台も雰囲気も異なるため、自分のお気に入りを見つけやすい構造になっています。第1部が合わなくても第4部にはまる、といった現象が起きるのもジョジョならではの面白さです。
もし、全巻揃えるのが大変だと感じるなら、まずは自分が興味のある舞台の部からチェックしてみるのも一つの手です。ジョジョの奇妙な冒険 文庫版なら、部ごとにまとまっていて読みやすいですよ。
5. 日常を彩る「名言」と「悪の美学」
ジョジョを語る上で、ネットミームにもなっている数々の名言を無視することはできません。
「だが断る」
「あ……ありのまま 今 起こった事を話すぜ!」
「いいや!限界だ押すね!」
これらの言葉がなぜこれほどまでに記憶に残るのか。それは、そのセリフが発せられる瞬間のキャラクターの覚悟が、読者の魂を揺さぶるからです。
また、ジョジョは「悪役」が非常に魅力的なことでも知られています。世界を支配しようとする圧倒的なカリスマを持つDIO、静かな平穏を愛しながら殺人を繰り返す吉良吉影。彼ら悪役にも、彼らなりの「正義」や「哲学」があり、単純な勧善懲悪では片付けられない深みがあります。
光が強ければ影も濃くなるように、強烈な悪役が存在するからこそ、立ち向かう主人公たちの輝きがより一層増して見えるのです。
初心者はどこから入るのが正解?おすすめの導入ルート
ここまで魅力を語ってきましたが、「結局どこから見ればいいの?」という疑問にお答えします。
基本的には第1部から順番に読むのが、血統のドラマを理解する上ではベストです。しかし、現代の感覚からすると第1部は少し古風に感じるかもしれません。そんな方には、以下のルートがおすすめです。
- アニメから入る: 現在、第6部までアニメ化されています。色彩設計や音楽、声優さんの熱演が素晴らしく、漫画の独特な絵柄にもスムーズに馴染めます。
- 第3部から読む: スタンド能力の基本が網羅されており、最も知名度が高い部です。
- 第4部から読む: 日本が舞台なので感情移入しやすく、ミステリー要素が強いため、普段漫画を読まない方にもおすすめです。
ジョジョの奇妙な冒険 アニメ Blu-rayで、まずは動くジョジョを体験してみるのも良いでしょう。
ジョジョは何が面白いの?その答えは「人間の可能性」への信頼
結局のところ、ジョジョは何が面白いのか。その答えは、極限状態で見せる「人間の可能性」を、圧倒的な熱量と美学で描き切っている点に集約されます。
最初は独特な絵柄に戸惑うかもしれません。独特な擬音に笑ってしまうかもしれません。しかし、読み進めるうちに、あなたはキャラクターたちが抱く「黄金の精神」に、自分自身の心が熱くなるのを感じるはずです。
それは、単なる娯楽としての漫画を超えて、私たちが日々生きていく上での「勇気」を分けてくれるような、そんな特別な体験になるでしょう。
もし、あなたが日々の生活に少し退屈していたり、何かに立ち向かう勇気が欲しかったりするなら、ぜひジョジョの奇妙な世界へ足を踏み入れてみてください。そこには、あなたの人生を少しだけ変えてしまうかもしれない、熱い物語が待っています。
まずはジョジョの奇妙な冒険 第1部 カラー版を1冊、めくってみることから始めてみませんか?あなたの奇妙な冒険は、そこから始まります。


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