「トゥルルルルル……トゥルルルルル!」
この独特すぎる擬音を耳にした瞬間、頭の中に「カエル」や「タバコ」を耳に当てて必死な顔をしているピンク色の髪の青年が浮かんだなら、あなたは立派なジョジョ好きですね。
『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』に登場するヴィネガー・ドッピオ。彼が口で着信音を鳴らしながら、およそ電話とは思えない物体を手に取るシーンは、シリーズ屈指の「奇妙さ」を放っています。
なぜ彼は自ら「トゥルルル」と鳴らすのか? あのシュールな行動にはどんな意味があるのか? 今回は、ドッピオの謎めいた電話の習慣から、元ネタ、さらには物語の核心に迫る精神状態まで、その魅力を徹底的に深掘りしていきます。
ドッピオの「トゥルルル」が初登場した衝撃のシーン
物語の中盤、サルディニア島に降り立ったヴィネガー・ドッピオ。彼はギャング組織「パッショーネ」のボスであるディアボロの「もっとも信頼のおける腹心」として登場しました。
しかし、読者が最初に抱いた感想は「こいつ、大丈夫か?」という困惑だったはずです。突如として「トゥルルルルル」と自ら電話の着信音を口ずさみ、近くにいたカエルをひっ掴んで耳に当てる……。
「はい、ボス! こちらドッピオです!」
カエルのお腹に向かって大真面目に報告を始めるその姿は、あまりにも異常でした。ジョジョの世界には多くのスタンド使いが登場しますが、ここまで日常生活の認識が壊れているキャラクターは珍しく、読者に強烈なインパクトを与えたのです。
「電話」として使われた奇妙なアイテムたち
ドッピオにとって、ボスからの指令は絶対です。そしてその指令は、常に「電話」を通じてやってきます。たとえそこに本物の電話機がなくても、彼の脳内では着信音が鳴り響き、手近なものが受話器へと変貌します。
作中で彼が「電話」として使用した代表的なアイテムを振り返ってみましょう。
- カエル: 記念すべき(?)最初の受話器。生きたまま耳に押し当てられ、ドッピオの熱い報告を聞かされる羽目になりました。
- タバコ: 暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロとの死闘中に使用。戦闘の緊迫感と「タバコで通話」というシュールさのギャップが凄まじいシーンです。
- アイスクリーム: 街中を移動している最中、コーンに乗ったアイスを耳に当てて会話。当然、耳の周りはベタベタになります。
- おもちゃの電話: 占い師の館にあったもの。ようやく形が電話に近いものが登場しましたが、やはり回線は繋がっていません。
これらのアイテムを手に取る際、ドッピオは一切の迷いがありません。彼にとって、これらは間違いなく「ボスと繋がるための聖なる通信機器」なのです。
なぜ自作自演の着信音を鳴らすのか?その精神的な背景
多くのファンが考察するのが、「なぜわざわざ口で音を出すのか」という点です。これにはドッピオ(およびディアボロ)の特殊な精神構造が深く関わっています。
ドッピオは、ディアボロという強大な悪の二重人格における「表の人格」です。ディアボロは自分の正体を完璧に隠すため、ドッピオ自身に「自分がボスと同一人物である」ことを気づかせていません。
「トゥルルル」という音は、ディアボロがドッピオの意識に直接語りかける際の「精神的な合図」のようなものだと考えられます。ドッピオの脳内では、ボスからのアクセスが「電話の着信」として翻訳されており、それが無意識のうちに口から漏れ出しているのでしょう。
つまり、あの音は単なる独り言ではなく、二つの人格が交差する瞬間に生じる「バグ」のような現象。自分を「ただの部下」だと思い込むための、ドッピオなりの必死な自己暗示とも言えるのです。
アニメ版で進化した「トゥルルル」の表現力
アニメ版『黄金の風』において、ドッピオ役を演じた斉藤壮馬さんの演技は神がかっていたと評判です。
文字で書けば同じ「トゥルルル」ですが、アニメではシーンによってそのトーンが細かく使い分けられていました。
- のんびりとした日常での、どこか抜けたような「トゥルルル」
- リゾット戦での、焦りと狂気が混じった鋭い「トゥルルル」
特に、iphoneなどの現代的なスマートフォンの着信音とは似ても似つかない、どこかレトロでアナログな響きが、ドッピオの純粋さと不気味さを引き立てていました。
視聴者は、声優さんの熱演によって「本当にドッピオには電話の音が聞こえているんだ」という実感を強く持たされることになったのです。
ネットミームとしての「トゥルルル」とファンの楽しみ方
この個性的な擬音は、今やネット上の共通言語としても定着しています。
SNSや掲示板では、何かを待っている時や、誰かに連絡を催促する際に「トゥルルル」と書き込まれることが多々あります。また、海外のファンコミュニティでも「Turururu」として広く知られており、カエルを耳に当てたコスプレやファンアートが今もなお作られ続けています。
また、もしあなたがジョジョの奇妙な冒険 第5部を読み返したり、アニメを観返したりするなら、ぜひドッピオの周囲にいる「一般人の反応」にも注目してみてください。
道端で若者がアイスを耳に当てて「トゥルルル」と唸っているのを見た通行人の、あの「関わってはいけないものを見る目」。あのリアクションこそが、ジョジョという作品が持つシュールな笑いの真骨頂と言えます。
ディアボロからの指令とドッピオの忠誠心
ドッピオにとって、電話の向こうのボスは「神」に近い存在です。
ボスからの電話は、彼に勇気を与え、時にはスタンド能力の一部(キング・クリムゾンの腕やエピタフ)を貸し与えるきっかけとなります。
「ドッピオ……私の可愛いドッピオ……」
ディアボロが電話越しにかける甘い言葉は、ドッピオの忠誠心を極限まで高めます。しかし、その実態は自分自身への語りかけ。この悲劇的で滑稽な関係性が、第5部の物語をより重層的なものにしています。
ドッピオは最後まで、自分がボスそのものであることを知らずに駆け抜けました。彼にとっての「トゥルルル」は、最も信頼する誰かと繋がっているという、孤独な魂の救いだったのかもしれません。
ジョジョの「トゥルルル」とは?ドッピオが電話をかける謎の行動と元ネタを徹底解説!:まとめ
ヴィネガー・ドッピオが発する「トゥルルル」という擬音。それは単なる変な癖ではなく、二重人格という複雑な設定、キャラクターの純粋すぎる忠誠心、そして荒木飛呂彦先生の独特なセンスが結晶となった、ジョジョ史上屈指の名演出です。
日常の中で、もしふと孤独を感じたり、誰かの助けが必要になったりしたときは、ドッピオを思い出してみてください。……いえ、さすがにカエルを耳に当てるのはおすすめしませんが。
最新のデバイスandroidで友達と通話する際も、心の中でこっそり「トゥルルル」と鳴らしてみれば、いつもの会話が少しだけ「奇妙な冒険」に変わるかもしれません。
ジョジョの物語は、こうした細かな擬音や一見無意味に見える行動の中にこそ、キャラクターの深い人間性が隠されています。次に第5部を読み返す際は、ぜひドッピオの「着信音」の変化に耳を澄ませてみてくださいね。

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