「ドラゴンボールの単行本、あの表紙のデザインが最高なんだよね」
そんな風に、ふとした瞬間に手に取りたくなるのが、鳥山明先生が描くドラゴンボールのコミックスです。全42巻という長い物語の中で、10巻という数字は物語の大きな転換点。レッドリボン軍との激闘を終え、次なる不思議な冒険へと足を踏み入れるワクワク感が詰まった一冊です。
今回は、ファンの間でも「構図がオシャレ」「初期の空気感が凝縮されている」と評判のドラゴンボール10巻の表紙にスポットを当てて、そこに隠された秘密や収録エピソードの魅力をたっぷりと紐解いていきます。
ドラゴンボール10巻の表紙を彩るキャラクターとデザインの妙
まず、当時のジャンプ・コミックス版(新書版)の表紙を見てみましょう。目に飛び込んでくるのは、如意棒を背負い、どこか凛々しくも幼さを残した主人公・孫悟空の姿です。
その隣には、物語の始まりからの相棒であるブルマが描かれています。この10巻の表紙、実は本編のシリアスな展開とは少し趣が異なり、まるで「放課後の冒険」を楽しんでいるような、日常の延長線上にあるワクワク感が表現されているのが特徴です。
鳥山明先生のイラストは、キャラクターだけでなく「小物」や「背景」にも凄まじいこだわりが詰まっています。10巻の表紙でも、キャラクターが身に着けている装備や、メカニックな造形に注目してみてください。
当時の鳥山先生は、必ずしも「その巻の内容に直結するシーン」を表紙に選んでいたわけではありません。むしろ、その時描きたかったマシンや、キャラクターのファッションを優先して描き下ろすことが多く、それが結果として1枚の「アート作品」としての完成度を高めています。
この時期の悟空は、まだ体が小さく、丸みを帯びたフォルムをしています。しかし、その瞳には強敵を倒してきた自信と、未知の世界への好奇心が宿っています。ブルマのデザインも、当時の流行を鳥山流にアレンジしたハイセンスなもので、今見ても全く古臭さを感じさせないのは驚異的です。
占いババ編の幕開け!10巻に収録された濃密なストーリー
表紙の爽やかさとは裏腹に、10巻の内容は手に汗握るバトルの連続です。
物語は、レッドリボン軍を壊滅させた悟空が、行方不明になった最後のドラゴンボールを探す場面から始まります。ドラゴンレーダーに映らないという絶望的な状況。そこで亀仙人の助言により、悟空たちは「占いババ」の元を訪れることになります。
この「占いババ編」は、ドラゴンボールという作品が「格闘漫画」としての純度を高めていく非常に重要なエピソードです。占いババに占ってもらうための条件は、彼女が用意した5人の刺客を倒すこと。ここで展開される変則的なバトルが、読者を一気に物語に引き込みます。
個性豊かな5人の戦士たち
占いババが呼び寄せた戦士たちは、どれも一癖も二癖もある連中ばかりです。
- ドラキュラマン: ムエタイの使い手でありながら吸血鬼。クリリンを翻弄する意外な強さを見せました。
- スケさん: 姿が見えない透明人間。ヤムチャが苦戦する中、ブルマと亀仙人の「協力(?)」による攻略法は、初期ドラゴンボールらしいコミカルな名シーンです。
- ミイラくん: 圧倒的なパワーとスピードを誇る強敵。ここで悟空が圧倒的な実力の差を見せつけ、読者に「悟空の成長」を確信させます。
- アックマン: 地獄からの使者。相手のわずかな悪の心を増幅させて爆発させる「アクマイト光線」は、全作品を通しても屈指のチート能力。しかし、心が清らかな悟空には効かないという演出が、主人公の純粋さを際立たせました。
そして、最後に待ち受ける「5人目の男」。この正体が、10巻の評価を不動のものにしています。
涙なしには読めない!「じっちゃん」との再会
10巻のクライマックス、そして全ドラゴンボールファンが「屈指の名シーン」として挙げるのが、仮面の男との戦いです。
狐の面を被った謎の戦士は、悟空の弱点である「尻尾」を正確に把握しており、まるで悟空のすべてを知っているかのような立ち回りをします。激闘の末、面が割れて明らかになったその正体は、死んだはずの育ての親、孫悟飯(じっちゃん)でした。
それまで最強の少年として大人たちをなぎ倒してきた悟空が、じっちゃんの姿を見た瞬間に「わーーーん!」と泣きじゃくりながら飛びつく姿。このギャップに、胸を打たれない読者はいないでしょう。
「占いババが1日だけ死者を現世に呼び戻す」という設定は、後にドラゴンボールの物語で非常に重要な役割を果たすことになりますが、その初出がこの感動的な再会だったのです。表紙で見せる明るい表情の裏側に、こうした深い家族愛の物語が隠されていると思うと、改めて10巻の重みが伝わってきます。
バージョン別で見る10巻表紙の違い
ドラゴンボールは、その人気の高さから何度も再販されており、実は「10巻の表紙」といっても複数のパターンが存在します。
- ジャンプ・コミックス版(新書版):私たちが最も見慣れている、黄色い背表紙が特徴のオリジナル版。悟空とブルマが描かれた、当時の熱気を感じるデザインです。
- 完全版:ドラゴンボール 完全版の10巻は、鳥山明先生による完全描き下ろし。新書版とは構図が全く異なり、より洗練された筆致で描かれたキャラクターが特徴です。背景の余白を活かしたモダンなデザインは、インテリアとして飾りたくなるほど。
- 新装再編版:当時の週刊少年ジャンプの表紙イラストなどを再構成したもの。こちらもまた違った迫力があり、コレクター心をくすぐります。
どのバージョンも、その時代の鳥山先生のセンスが爆発しており、ファンならすべて揃えたくなる魅力があります。もし古本屋や書店でドラゴンボールを見かけたら、ぜひ10巻の表紙を手に取って、そのラインの美しさを確かめてみてください。
10巻からつながる物語の広がり
占いババ編を終えた悟空は、さらに広い世界へと飛び出していきます。この10巻での経験は、単なるパワーアップだけでなく、精神的な成長ももたらしました。
占いババというキャラクターを通じて「あの世」の概念が登場したことで、物語のスケールは地球を飛び出し、後に宇宙や全宇宙へと広がっていくことになります。いわば10巻は、冒険活劇から壮大な叙事詩へと進化する種がまかれた一冊と言えるでしょう。
また、ドラゴンボールを語る上で欠かせない「如意棒」の使い方も、この時期は非常にテクニカルで面白い時期です。後期の超サイヤ人同士の肉弾戦も素晴らしいですが、10巻付近の「道具や地形を駆使したバトル」には、初期ならではの工夫が詰まっています。
ドラゴンボール10巻の表紙を徹底解説!描かれたキャラの秘密と占いババ編の見どころを振り返って
ここまで、ドラゴンボール10巻の表紙と、その中に閉じ込められた珠玉のストーリーについてお届けしてきました。
改めて振り返ると、10巻は「鳥山明という天才のアート」と「心揺さぶる友情と家族愛」が完璧なバランスで共存している巻だということがわかります。表紙に描かれた悟空とブルマの表情は、これから始まる大冒険への希望に満ちており、それは何度読み返しても色あせることがありません。
もし、あなたの本棚にドラゴンボールが眠っているなら、ぜひ10巻を引っ張り出してみてください。あの頃、ページをめくる手が止まらなかったワクワク感が、表紙を開いた瞬間に蘇ってくるはずです。
ドラゴンボール10巻の表紙を眺めるだけでも、鳥山先生が作り上げた世界の広大さと、キャラクターたちの息遣いを感じることができる。それこそが、この作品が世代を超えて愛され続ける最大の理由なのかもしれません。

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