国民的人気アニメ『ドラゴンボール』シリーズにおいて、北の界王様がいる界王星で、猿のバブルスくんと一緒にちょこまかと動き回っている小さなキャラクターを覚えていますか?
そう、茶色の体でバッタのような姿をし、手に大きなハンマーを持って悟空を追いかけ回していた、あのグレゴリーです。
一見すると、界王星になくてはならないレギュラーキャラクターのように思えますが、実は彼にはファンを驚かせる「意外な正体」や「秘密」が隠されています。今回は、ドラゴンボールの名脇役であるグレゴリーについて、そのルーツやアニメと原作の違い、そして愛される理由を深掘りしていきます。
グレゴリーの正体とプロフィール
まずは、グレゴリーがどのようなキャラクターなのか、基本的なプロフィールをおさらいしておきましょう。
グレゴリーは、あの世にある「界王星」に住んでいる、二足歩行をする昆虫のような姿をした生き物です。見た目はバッタやコオロギに近く、背中には羽根があり、空中を非常に高速で飛び回ることができます。
性格はバブルスくんとは対照的で、非常に理知的で礼儀正しいのが特徴です。界王様に対しては絶対的な忠誠心を持っており、敬語で話します。その一方で、界王様をバカにしたり失礼な態度をとったりする相手には、小さな体を震わせて激怒する熱い一面も持っています。
特筆すべきは、その身体能力です。界王星は地球の10倍の重力がある過酷な環境ですが、グレゴリーはその中を平然と、しかも目にも止まらぬ速さで飛び回ります。悟空が界王星で修行を始めた際、バブルスくんを捕まえる修行の次のステップとして用意されたのが「重いハンマーを持って、飛び回るグレゴリーを叩く」というものでした。
あのサイヤ人である悟空が、最初はかすりもしなかったほどですから、グレゴリーのスピードがいかに異常であるかが分かります。
「原作にはいない」という驚きの真実
ここで、多くの読者が驚く事実をお伝えします。実はグレゴリー、鳥山明先生による原作漫画『ドラゴンボール』には、1コマも登場しません。
彼は、アニメ『ドラゴンボールZ』の制作にあたって追加された「アニメオリジナルキャラクター」なのです。
通常、アニメオリジナルキャラクターというと、アニメスタッフが独自に考案することが多いのですが、グレゴリーの場合は少し特殊です。当時、アニメが原作の進行に追いつきそうになっていたため、修行シーンなどを引き延ばす必要がありました。そこでアニメスタッフが原作者の鳥山明先生に「界王星にもう一人キャラクターを出してほしい」と依頼し、鳥山先生が自らデザインを描き下ろしたのがグレゴリー誕生の経緯です。
そのため、原作には登場しないものの、そのビジュアルやキャラクター性は非常に「ドラゴンボールらしさ」に溢れています。鳥山先生が関わっているからこそ、違和感なく作品の世界観に溶け込んでいるのですね。
もし、原作の漫画しか読んでいない人がアニメを観たら、「この虫みたいなやつ、誰?」と驚くことでしょう。しかし、アニメ派にとってはバブルスくんとグレゴリーは、界王様とセットの「トリオ」として完全に定着しています。
名前の由来は世界的な文学作品?
グレゴリーという名前、どこか聞き覚えがあると感じたことはありませんか?ファンの間では、この名前の由来はフランツ・カフカの有名な小説『変身』の主人公、グレゴール・ザムザではないかと言われています。
『変身』は、ある朝目覚めると巨大な毒虫になっていた男の悲劇を描いた物語です。グレゴリーも「虫」の姿をしていることから、鳥山先生らしいブラックユーモアを交えたネーミングセンスが光っています。
こういった細かい遊び心が、サブキャラクター一人ひとりにも設定されているのが、ドラゴンボールという作品の奥深さでもあります。
修行から死後の世界まで!劇中での活躍
グレゴリーの初登場は、ベジータたちが地球に襲来する前の、悟空が蛇の道を通り抜けて界王星に辿り着いたエピソードです。
悟空はまず、重力に慣れるためにバブルスくんを捕まえる修行を行いました。それをクリアした後に課せられたのが、前述した「グレゴリー叩き」です。素早いグレゴリーを重いハンマーで追いかけるこの修行は、悟空の瞬発力と動体視力を飛躍的に向上させました。
この時、グレゴリーは悟空に対して「今のままじゃサイヤ人には勝てないよ」といったニュアンスのアドバイスをしたり、界王様のダジャレに付き合ったりと、非常に重要な狂言回しの役割を果たしています。
その後、セル編でも彼は重要な(そして不憫な)役割を担います。セルが自爆を試みた際、悟空は地球を救うためにセルを界王星へと瞬間移動させました。その結果、界王様、バブルスくん、そしてグレゴリーは爆発に巻き込まれて命を落としてしまいます。
アニメ版では、爆発の瞬間に慌てふためくグレゴリーの姿が描かれており、視聴者の涙(と笑い)を誘いました。死後は頭の上に天使の輪を浮かべた姿で登場し、その後も変わらず界王星で界王様のお世話を続けています。
さらに、時を経て放送された『ドラゴンボール超』でも、グレゴリーはレギュラーとして続投しています。ビルス様が界王星にやってきた際には、その圧倒的な神の気圧に怯えながらも、界王様を必死にサポートする健気な姿を見せてくれました。
ゲームの世界でも「グレゴリー」は大忙し
グレゴリーの活躍はアニメの中だけにとどまりません。近年のドラゴンボール関連のゲーム作品においても、彼は非常に重要な立ち位置にいます。
特に有名なのが、スマートフォン向けアプリの『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』です。このゲームでは、キャラクターを「覚醒」させて強化するために、専用のアイテム(覚醒メダル)が必要になります。そのメダルの一つが、まさに「グレゴリー」なのです。
ドラゴンボール グッズこのグレゴリーのメダル、実はゲーム内でもっとも頻繁に使用されるアイテムの一つで、油断するとすぐに在庫が切れてしまいます。そのため、多くのプレイヤーが「またグレゴリーが足りない!」「グレゴリーを買い込まないと」と、日々彼のアイコンを目にすることになります。アニメを観ていない若い世代のファンでも、「名前と顔は知っている」という逆転現象が起きているほどです。
また、アクションRPGドラゴンボールZ カカロットでは、アニメの修行シーンが忠実に再現されており、プレイヤー自身が悟空を操作してグレゴリーを追いかけるイベントが発生します。アニメのあの「もどかしさ」を体験できるのは、ファンにとって嬉しい演出でした。
なぜグレゴリーはこれほど愛されるのか?
アニメオリジナルキャラクターは、時として「本編のテンポを悪くする」と批判されることもあります。しかし、グレゴリーに関してはそういった声はほとんど聞かれません。なぜこれほどまでに受け入れられ、愛されているのでしょうか。
一つは、「界王様との掛け合い」の完成度です。
界王様は一人でギャグを飛ばすタイプですが、それに対して無言でリアクションするバブルスくんと、的確に言葉でツッコミを入れるグレゴリーがいることで、界王星のシーンがコメディとして非常に安定しました。グレゴリーのツッコミは、時に視聴者の気持ちを代弁してくれるため、非常に親近感が湧くのです。
二つ目は、声優・三ツ矢雄二さんの名演技です。
『タッチ』の上杉達也役などで知られるベテラン、三ツ矢雄二さんが声を担当しています。あの独特のハイトーンで、少し生意気ながらも憎めないグレゴリーのキャラクターを見事に作り上げました。三ツ矢さんの演技があったからこそ、ただの「虫」以上の個性が吹き込まれたと言っても過言ではありません。
三つ目は、「悟空の成長の証」としての存在です。
あのアニメ史に残る最強ヒーロー・孫悟空が、必死になってハンマーを振り回し、ようやく一撃を食らわせた相手。それがグレゴリーです。悟空の強さの基準がまだ「地球規模」だった頃の象徴のような存在であり、初期のドラゴンボールが持っていたワクワク感を思い出させてくれるのです。
グレゴリーを知るとアニメがもっと楽しくなる!
ここまで、ドラゴンボールのグレゴリーについて詳しく解説してきました。
原作漫画を完璧に網羅しているファンでも、アニメ版を見返すと「あ、こんなにグレゴリーって喋ってたんだ!」と新しい発見があるはずです。逆に、アニメから入った人は、原作を読んで「バブルスくんしかいない!」という事実に驚くことでしょう。
彼は単なる「アニメの尺稼ぎ」のために生まれたキャラではありません。界王星という、孤独になりがちな修行の場を明るく彩り、悟空という戦士に「スピード」の重要性を教えた、立派な師範代の一人なのです。
ドラゴンボール 漫画 セットもしこれから『ドラゴンボールZ』や『ドラゴンボール改』、そして『ドラゴンボール超』を観る機会があれば、ぜひ界王様の隣でせっせと働くグレゴリーの姿に注目してみてください。彼の小さな体が、壮大な物語の中でいかに大きな役割を果たしているかを感じることができるはずです。
ドラゴンボールのグレゴリーとは?正体や原作との違いを再確認して楽しもう
最後に改めてまとめておきます。
- グレゴリーはアニメオリジナルのキャラクターだが、デザインは鳥山明先生。
- 界王星での修行に欠かせない、スピードに特化した実力者。
- 名前の由来はカフカの『変身』の主人公である可能性が高い。
- ゲーム作品では育成に欠かせない最重要アイテム(?)としても有名。
ドラゴンボールという作品は、悟空やベジータといったメインキャラクターだけでなく、グレゴリーのような魅力的なサブキャラクターたちが脇を固めているからこそ、何十年経っても色褪せない魅力を持っています。
次にドラゴンボールの話で盛り上がる時は、「実はグレゴリーって原作にいないんだぜ」という豆知識を披露してみてはいかがでしょうか。きっと「えっ、そうなの?!」と驚かれるはずですよ。
今回の解説を通じて、少しでも多くの方がドラゴンボールのグレゴリーというキャラクターに愛着を持っていただければ幸いです。

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