「薬屋のひとりごと」を読んでいると、どうしても放っておけない存在がいますよね。そう、四夫人(上級妃)の一人でありながら、なぜかいつも泣きべそをかいている「里樹妃(リーシュひ)」です。
彼女が登場するたびに「またいじめられてる……」「この子、幸せになれるの?」と、ハラハラしながら見守っているファンの方も多いはず。華やかな後宮に身を置きながら、なぜ彼女だけがこれほどまでに不遇な扱いを受けているのでしょうか。
今回は、里樹妃が抱える複雑すぎる過去の経歴から、侍女たちによる陰湿ないじめの真相、そして最新エピソードで注目を集めている馬閃(バセン)との恋の行方まで、彼女の人生を徹底的に掘り下げて解説していきます。
幼な妻の悲劇?里樹妃の数奇な経歴と「徳妃」の立場
里樹妃の不幸を語る上で欠かせないのが、彼女が歩んできたあまりにも特殊なキャリアです。弱冠14歳ほどでありながら、彼女はすでに「二度の入内」を経験しています。
最初の入内は、わずか9歳のときでした。お相手は現皇帝ではなく、その父親である「先帝」です。しかし、ほどなくして先帝が崩御。形式上の妻であった里樹妃は、一度後宮を出て出家し、尼としての生活を送ることになります。
普通ならここで物語は終わるはずですが、現皇帝の即位に伴い、彼女は再び呼び戻され「徳妃」という高い地位を与えられました。しかし、これが彼女の苦難の始まりとなります。現皇帝にとって里樹妃は「父の元妻」という立場。道徳的な観点からも、皇帝が彼女に手を付けることはまずありません。
つまり、彼女は後宮という「皇帝の寵愛を競う場」にいながら、スタートラインに立つことすら許されない「名ばかりの妃」として放置されてしまったのです。
孤独を深める要因:身近な味方がいない絶望
里樹妃がこれほどまでに孤立してしまったのは、彼女自身の性格と、実家の立ち位置にも原因があります。
彼女は非常に純粋で、世間知らずなお嬢様です。感情がすぐに顔に出てしまい、嘘を吐くのも下手。策略が渦巻く後宮において、これほど扱いやすい「獲物」はいません。さらに、実家である卯(ボウ)の一族は、彼女を政治的な駒としてしか見ておらず、後宮で娘がどのような扱いを受けているかに関心を持っていませんでした。
後ろ盾が弱く、本人も気が弱い。そんな状況が、周囲の人間を増長させてしまったのです。
陰湿ないじめの真相。なぜ侍女たちは里樹妃を狙うのか
里樹妃を語る上で避けて通れないのが、彼女の身の回りの世話をするはずの侍女たちによるいじめです。普通、主人がいじめられれば侍女が守るものですが、彼女の場合は「身内」が最大の敵でした。
- 「なめられる」主人の悲哀侍女たちは、里樹妃の幼さと気の弱さを利用し、主従関係を逆転させていました。彼女の大切な持ち物を勝手に持ち出したり、命令を無視したりするのは日常茶飯事。彼女が泣いても「また子供がわがままを言っている」と一蹴する始末です。
- 命に関わる「青魚アレルギー」の嫌がらせ猫猫が介入するきっかけとなったのが、食事による嫌がらせです。里樹妃は青魚を食べるとじんましんが出る重度のアレルギーを持っていました。しかし、侍女たちはそれを単なる「好き嫌い」だと決めつけ、わざと膳に青魚を並べ、無理やり食べさせようとしていました。
- 猫猫による救いこの異変に気づいたのが、玉葉妃の毒見役であった猫猫です。園遊会の席で里樹妃の危機を察知し、毒舌を交えながらも彼女を救い出したシーンは、多くの読者が胸をなでおろした瞬間でしょう。
なぜこれほどまでの虐待が行われたのか。それは、侍女たちが里樹妃を「自分たちより劣る存在」として見下すことで、自らのストレスを解消していたからです。里樹妃自身が「彼女たちは私のためにやってくれている」と信じ込もうとしていた健気さが、より一層悲劇を際立たせていました。
園遊会毒殺未遂事件。里樹妃が狙われた本当の理由
物語の序盤で起きた「園遊会の毒殺未遂事件」。当初は玉葉妃が狙われたと思われていましたが、真相は里樹妃をターゲットにしたものでした。
この事件の犯人は、阿多妃に仕えていた侍女頭・風明です。彼女が里樹妃を殺そうとした動機には、過去の悲しい事故が絡んでいました。
かつて風明は、阿多妃の赤子に良かれと思って「蜂蜜」を与え、そのせいで赤子を死なせてしまいました。当時は蜂蜜の危険性が知られていなかったのですが、里樹妃は幼少期に同じく蜂蜜で死にかけた経験があり、その知識を持っていました。
「里樹妃が蜂蜜の毒性を周囲に話せば、自分の過ちが露呈してしまう」
そんな自分勝手な恐怖から、風明は里樹妃を亡き者にしようと企てたのです。里樹妃は何一つ悪いことをしていないのに、ただ「知っていた」というだけで命を狙われる。まさに不幸の連鎖と言わざるを得ません。
出自の悩みと父との絆。猫猫が解き明かした真実
里樹妃には、自らの血筋に対する深い悩みもありました。「自分は本当に父の娘なのだろうか」という疑念です。実家での居心地の悪さが、そんな不安を加速させていたのかもしれません。
しかし、ここでも猫猫の観察眼が光ります。猫猫は、里樹妃の歯の本数が通常よりも少ないという「先天性欠損」の特徴を見抜き、それが父親である卯領(ボウリョウ)と同じであることを突き止めました。
科学的な根拠をもって「あなたは間違いなくお父様の子ですよ」と証明されたとき、里樹妃が流した涙には、これまでの孤独が少しだけ癒やされたような安堵が含まれていました。不器用ながらも、家族との絆を確認できた数少ない救いのエピソードです。
運命を変える出会い。馬閃(バセン)との不器用な恋
不幸のどん底にいた里樹妃に、ついに春の兆しが見え始めます。その相手が、壬氏の忠実な部下であり、武骨な青年・馬閃です。
二人の出会いは、里樹妃の護衛を馬閃が務めたこと。最初は単なる仕事としての関係でしたが、馬閃は里樹妃の境遇を知り、彼女が受けている不当な扱いに憤りを感じるようになります。
- 馬閃の男気と里樹妃のときめき馬閃は、言葉こそ荒いものの、心根は非常に真っ直ぐで誠実な男です。自分を守ってくれる存在が誰もいなかった里樹妃にとって、毅然とした態度で自分を助けてくれる馬閃は、まさに白馬の騎士に見えたことでしょう。
- 「妃」という高すぎる壁しかし、二人の前には「身分」という巨大な壁が立ちはだかります。里樹妃は皇帝の妃。たとえ寵愛を受けていなくても、他国の男(臣下)と通じることは重罪です。馬閃もそのことは痛いほど理解しており、自分の感情を押し殺そうと葛藤します。
- もどかしい距離感原作小説では、船上での事件や後宮外での接触を通じて、二人の距離が少しずつ近づいていく様子が描かれています。馬閃が彼女のために怒り、彼女のために行動する姿は、これまでの里樹妃の不遇を知る読者からすれば「もう、早く幸せになってくれ!」と叫びたくなるほどもどかしく、尊いものです。
里樹妃の結末はどうなる?彼女が手にするはずの幸せ
物語は現在進行形で進んでいますが、里樹妃の今後については多くの推測が飛び交っています。
彼女が後宮でこのまま「徳妃」として朽ち果てていくのは、あまりにも報われません。ファンの間では「臣籍降下(皇族や妃の身分を離れること)」によって、彼女が自由の身になる展開が強く望まれています。
もし彼女が妃の座を降りることができれば、馬閃との結婚も夢ではありません。一族の道具でもなく、皇帝の飾り物でもなく、一人の女性として愛される生活。それこそが、里樹妃がこれまで耐え忍んできた苦難に対する、唯一の正当な報酬と言えるのではないでしょうか。
猫猫もまた、彼女の不憫さを理解しており、間接的に彼女をサポートし続けています。周囲の優しい人々(と、ちょっと不器用な武官)の助けがあれば、彼女の物語は必ずハッピーエンドに向かうと信じたいところです。
薬屋のひとりごと里樹妃はなぜ不幸?過去の経歴や馬閃との恋愛、結末まで徹底解説!:まとめ
いかがでしたでしょうか。里樹妃というキャラクターは、初期の頃こそ「泣いてばかりの頼りない少女」という印象が強かったかもしれません。しかし、その背景にある壮絶な過去や、味方が一人もいない中での孤独を知れば知るほど、彼女の強さや健気さが心に響いてきます。
- 9歳で先帝の妃になり、一度出家してから再入内した異例の経歴
- 侍女たちの嫌がらせやアレルギー問題に耐え続けた孤独
- 己の無実と血筋を証明してくれた猫猫との出会い
- 身分の壁を超えて、自分を認めてくれる馬閃との恋
彼女の人生は決して平坦ではありません。むしろ、人よりも多くの涙を流してきました。しかし、最新の展開では少しずつ自分の意志を持ち、前を向こうとする姿も見せてくれています。
馬閃との恋が成就し、彼女が心からの笑顔を取り戻すその日まで、私たちは「薬屋のひとりごと」を読み進める手を止めることができそうにありません。彼女のこれからの歩みが、光に満ちたものであることを願ってやみません。

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