「地獄楽」であれほど壮大な世界観を描き切った賀来ゆうじ先生の最新作ということで、連載開始当初はジャンプ読者の誰もが「次世代の看板確定だ!」と確信していましたよね。
しかし、2021年50号から始まった物語は、わずか半年あまり、全25話という短さで幕を閉じることになりました。SNSでは「早すぎる」「まだこれからだったのに」と惜しむ声が続出しましたが、一方で「なぜ失速してしまったのか」という冷静な分析も多く見られます。
今回は、期待作だった『アヤシモン』がなぜ打ち切りとなってしまったのか、その真相に迫るとともに、作品が残した魅力や未回収のまま終わってしまった伏線について深掘りしていきます。
期待の新星『アヤシモン』が打ち切りに至った決定的な理由
週刊少年ジャンプという戦場で、人気作家の新作が早期完結してしまうのは非常にショッキングな出来事です。結論から言えば、最大の要因は「掲載順位の低迷によるアンケート結果の不振」に集約されます。
ジャンプのシステムは非常にシビアです。どんなに画力が優れていても、読者アンケートで「面白い」という票が集まらなければ、物語を畳む準備を迫られます。本作がなぜ読者の心を掴みきれなかったのか、いくつかのポイントを整理してみましょう。
主人公・海堂マルオの「強すぎる設定」が仇となった?
本作の主人公、海堂マルオは漫画の修行を現実で再現し、人間離れした怪力を手に入れた少年です。この「最初から完成された強さ」が、少年漫画の醍醐味である「成長のプロセス」を奪ってしまった感がありました。
敵が現れても圧倒的なパワーで解決してしまうため、バトルに緊張感が生まれにくかったのです。読者がハラハラしながらページをめくる、という体験が少なかったことが、アンケート順位が伸び悩んだ一因と考えられます。
「妖怪×極道」の世界観説明に時間を使いすぎた
新宿歌舞伎町を舞台にした、妖怪たちの勢力争い。設定自体は非常にスタイリッシュで魅力的でしたが、序盤に用語や組織図、ルールの説明が続いてしまいました。
情報量が多い一方で、物語の大きな目的(ゴール)が読者に見えにくかった部分もあります。「結局、この物語はどこに向かっているのか?」という確信を持てないまま、ライバル作品たちのスピード感に置いていかれてしまった印象は拭えません。
執筆環境の影響と不運なタイミング
連載中、賀来先生が体調不良(新型コロナウイルス感染)により休載を余儀なくされた時期がありました。ただでさえ掲載順位が不安定な時期の休載は、物語の勢いを止めてしまうリスクがあります。復帰後もハイペースで物語を進める必要があったため、本来描きたかったエピソードをカットせざるを得なかった可能性は高いでしょう。
打ち切り後も語り継がれる『アヤシモン』の圧倒的な魅力
打ち切りという結果にはなりましたが、本作が決して「駄作」であったわけではありません。むしろ、全25話の中に凝縮されたクリエイティビティは、今なお高く評価されています。
もし未読の方がいれば、ぜひアヤシモン コミックスでその圧倒的な筆致を確認してほしいと思います。
賀来ゆうじ先生の超絶画力とデザインセンス
まず目を引くのは、やはり画力の高さです。妖怪たちの異形な姿、不気味でありながらどこか惹きつけられるビジュアルデザインは、他の追随を許しません。特に戦闘シーンの構図や、エフェクトの描き込みは圧巻の一言。ページをめくるたびに、アート作品を鑑賞しているような感覚に陥ります。
ヒロイン・ウララのキャラクター性
主人公マルオとともに物語を引っ張ったウララも、非常に魅力的なヒロインでした。父の仇を討つという重い宿命を背負いつつ、マルオに振り回されるコメディリリーフとしての役割もこなしていました。彼女の正体にまつわる謎や、マルオとの奇妙な主従関係は、もっと長いスパンで見ていたかった要素です。
完結後に残された「未回収の伏線」と謎の数々
急ぎ足での完結となったため、多くの謎が解明されないまま終わってしまいました。これらはファンにとって、最も「続きが見たかった」ポイントです。
- 鬼王の死の真相と犯人の詳細ウララの父であり、新宿の妖怪たちを束ねていた「鬼王」。彼の死が全ての始まりでしたが、その裏に潜む黒幕や具体的な経緯については、表面的な説明に留まりました。
- マルオの出生の秘密なぜマルオはこれほどまでに頑強なのか。単なる「漫画の修行」だけで説明できない、血筋や特別な理由があったのではないかという匂わせがありましたが、深掘りされることはありませんでした。
- 他勢力の幹部たちの能力物語の後半、強力なライバルたちが集結し始めましたが、彼らがどのような能力(妖術)を使い、マルオとどう戦うのか。そのバトル描写の多くがダイジェスト的になってしまったのは非常に残念です。
これらの伏線は、いつかファンブックや読み切り、あるいは形を変えた続編で語られることを期待するしかありません。
『アヤシモン』を完結まで読んだファンの評価
ネット上のレビューやSNSでの意見を見てみると、打ち切りを惜しむ声が大半を占めています。
「作画が素晴らしすぎて、毎週それだけで読む価値があった。」
「後半、独歩との戦いから一気に面白くなってきたのに、そこで終わるなんて残酷すぎる。」
「ジャンプのアンケート至上主義の犠牲になった感じがして辛い。」
一方で、「最初からこのスピード感で物語が動いていれば、看板作品になれたはず」という建設的な意見も見られました。読者の多くは、本作のポテンシャルを認めていたことがわかります。
完結後に発売された最終巻までの単行本では、連載時には描ききれなかった部分の加筆や修正が行われています。物語の結末をより深く理解するためにも、ぜひアヤシモン 3巻を手に取ってみてください。
まとめ:『アヤシモン』はなぜ打ち切り?理由を徹底考察!完結後の評価や未回収の伏線まとめ
期待を一身に背負って始まった『アヤシモン』でしたが、ジャンプという過酷な環境下でのアンケート不振、そして物語の立ち上がりの遅さが重なり、打ち切りという結果になりました。
しかし、全3巻というコンパクトなボリュームの中に、賀来ゆうじ先生の美学と情熱が詰め込まれているのは間違いありません。「打ち切り=面白くない」という先入観でこの作品をスルーしてしまうのは、あまりにも勿体ないことです。
強すぎる少年と宿命を背負った少女が駆け抜けた、新宿妖怪抗争の記録。未回収の伏線に思いを馳せながら、もう一度最初から読み直してみると、連載当時とは違った発見があるかもしれません。
もしあなたが、短期間でも熱狂できる濃密なバトル漫画を探しているなら、今こそ『アヤシモン』を全巻揃えて一気読みすることをおすすめします。きっと、その画力と熱量に圧倒されるはずですよ。
「アヤシモン」という作品が、今後どのような形で再評価されるのか、あるいは賀来先生の次なる新作にどう活かされるのか。いちファンとして、これからもその動向を追い続けたいと思います。

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