「週刊少年マガジン」で約6年にわたり連載され、多くのファンに愛された真島ヒロ先生のSF大作『EDENS ZERO(エデンズゼロ)』。2024年6月に堂々の完結を迎えましたが、ネット上では今なお「打ち切りだったのではないか?」という噂が絶えません。
物語の終盤、あまりにも加速した展開に「もっとじっくり読みたかった」と感じた方も多いはず。今回は、公式情報やこれまでの連載の流れを整理し、なぜ『エデンズゼロ』に打ち切り説が浮上したのか、その真相と舞台裏に迫ります。
なぜ「打ち切り」という噂が流れてしまったのか
まず、なぜこれほどまでに打ち切り説が囁かれているのか、その主な要因を整理してみましょう。
最大の理由は、最終章である「ユニバース0編」の進行スピードです。それまで数十話かけてじっくり描かれてきた強敵とのバトルや、張り巡らされた複雑な伏線が、物語の終盤に入ると驚くべき速さで回収されていきました。
特に、作中の重要キャラクターであった「魔王四煌星」の過去や、宇宙の支配を目論む「銀河六魔」との決着が、数ページや数コマで処理されるケースが目立ちました。この「急ぎ足感」が、読者に「雑誌の都合で無理やり終わらせられたのではないか?」という印象を与えてしまったのです。
また、前作『FAIRY TAIL』が全世界累計発行部数7,000万部を超える超巨大ヒット作だったことも影響しています。それに比べると『エデンズゼロ』の商業的な数字は、決して低くはないものの、前作ほどの爆発力には至りませんでした。こうした「売上の推移」を根拠に、連載終了を打ち切りと結びつけるファンが多かったのも事実です。
さらに、物語の根幹に関わる「暗黒時代」の設定や、宇宙の謎を握る一部の勢力の動向が、詳細に語られないまま最終回を迎えたことも、消化不良感を抱かせる一因となりました。
真相:これは「予定通り」の完結だったのか
では、実際に『エデンズゼロ』は打ち切りだったのでしょうか。結論からお伝えすると、この完結は「物語の骨子としては予定通りであり、構成を極限まで圧縮した完結」であると言えます。
真島ヒロ先生は、連載初期の段階から「この物語をどのくらいの長さにするか」について言及していました。過去のインタビューでは、「デビュー作の『RAVE』よりは長く、前作の『FAIRY TAIL』よりは短くしたい」という意向を示していたのです。
- 『RAVE』:全35巻(約300話)
- 『FAIRY TAIL』:全63巻(約545話)
- 『EDENS ZERO』:全33巻(293話)
この数字を比較してみると、先生が当初想定していた「300話前後」という目標は、ほぼ完璧に達成されていることがわかります。つまり、作品全体としてのボリューム感は、作者のプラン通りだったということになります。
一般的な「打ち切り」であれば、物語を途中で放り投げたり、最終回がいわゆる「俺たちの戦いはこれからだ!」という投げやりな形になったりしがちです。しかし、『エデンズゼロ』は主人公シキとレベッカの物語としての結末、そして「マザー」に辿り着くという最大の目的をしっかり描き切っています。
終盤の「加速」に隠された作者の意図
予定通りの完結であるにもかかわらず、なぜ最終盤があれほどまでに加速したのか。そこには真島ヒロ先生独自の制作スタイルと、現在の連載環境が関係していると考えられます。
真島先生は漫画界でも屈指の速筆として知られていますが、実は『エデンズゼロ』の連載中、他にも膨大な仕事を並行してこなしていました。続編である『FAIRY TAIL 100 YEARS QUEST』のネーム担当、さらには新作『DEAD ROCK』の同時連載、自らプログラミングまで手がけるゲーム制作など、その活動は多岐にわたります。
こうした状況下で、先生自身が「一つの作品を長く引き伸ばすよりも、最も盛り上がるポイントでテンポよく物語を終わらせ、次の新しい挑戦へ向かいたい」というクリエイターとしての判断を下した可能性が高いです。
また、現在の週刊少年漫画のトレンドとして、「ダラダラと引き伸ばさずに完結させる」という流れもあります。かつてのように10年、20年と続けるよりも、密度を濃くして綺麗に終わらせることが、作品の純度を高めると判断されたのかもしれません。
結果として、読者が期待していた「寄り道」や「サブキャラクターの深掘り」がカットされ、メインストーリーの解決に全リソースが割かれた。これが、私たちが感じた「急展開」の正体と言えるでしょう。
読者が感じた「満足」と「物足りなさ」の境界線
完結を迎えた後、ファンの間では賛否両論が巻き起こりました。
肯定的な意見として多かったのは、「シキとレベッカの関係性が最高だった」という声です。二人の絆が物語の核であり、その結末が美しく描かれたことで、長年のファンは「真島作品らしい、愛に溢れたラスト」として受け入れました。
一方で、厳しい意見としては「ピーノの再登場の仕方が少し強引だった」「強敵だと思っていたヴォイドとの決着があっけなすぎた」といった点が挙げられます。特に「宇宙を舞台にした壮大な群像劇」を期待していた読者にとっては、多くのキャラクターが消化不良のまま退場してしまったことが、打ち切り説を補強する不満点となってしまいました。
SF作品として設定が非常に緻密だっただけに、そのすべてを緻密に描写してほしかったという願いは、裏を返せばそれだけ作品が愛されていた証拠でもあります。
メディアミックスの現状とアニメ第3期の可能性
作品の評価を左右する大きな要素として、アニメ化の動向もあります。『エデンズゼロ』はテレビアニメ第2期まで放送され、重厚なストーリーが映像でも再現されました。
現在は完結直後ということもあり、アニメ第3期の公式発表はまだありません。しかし、原作が最後まで完結しているため、制作側にとっては「着地点が見えている」という大きなメリットがあります。最近では原作完結後に数年かけて最後のアニメ化を行うケースも増えているため、今後の続報に期待したいところです。
もし、これから『エデンズゼロ』を読み返したい、あるいはまだ未体験だという方は、単行本で一気に読み進めるのがおすすめです。週刊連載で読むと「早すぎる」と感じた展開も、一気読みすることで「ジェットコースターのような疾走感」として、また違った面白さを発見できるはずです。
EDENS ZERO 1巻 EDENS ZERO 33巻また、真島先生のSF的ガジェットやコスチュームデザインは、電子書籍やタブレットの綺麗な画面で細部までチェックすると、そのこだわりがより伝わります。
iPad Airエデンズゼロは打ち切り?完結の真相と急展開の理由、読者の評価を徹底解説!:まとめ
改めて振り返ると、『エデンズゼロ』という作品は、決して「人気低迷による強制終了」といった不本意な打ち切りではありませんでした。
それは、作者である真島ヒロ先生が、自ら掲げた「300話前後での完結」というゴールテープに向かって、全速力で駆け抜けた結果です。確かに、最終章のスピード感には戸惑いを感じたファンもいたでしょう。しかし、伏線の多くを回収し、シキたちの冒険に一つの明確な答えを出したその姿勢は、プロフェッショナルな完結の形と言えます。
「打ち切り」という言葉だけが独り歩きしてしまっていますが、その実態は「作者の計画と熱量を限界まで詰め込んだ凝縮のエンディング」だったのです。
シキたちが目指した宇宙の果て、そしてマザーの真実。それらをもう一度、最初のページから辿り直してみると、完結した今だからこそ気づける伏線や愛情に気づけるかもしれません。真島ヒロ先生の次なる挑戦を応援しつつ、この壮大なSFロマンを自分なりに噛み締めてみてはいかがでしょうか。

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