せっかく療養に専念しようと思っていた矢先、ポストに届いた一通の封筒。開けてみると「不支給」の文字や、支給が止まるという内容の「通知」。頭が真っ白になってしまいますよね。
「まだ働ける状態じゃないのに、どうして?」「これからどうやって生活していけばいいの?」と不安で胸がいっぱいになるのは、決してあなただけではありません。
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった時の大切な命綱です。その受給が止まる、あるいは認められないという「打ち切り通知」には、必ず理由があります。そして、その通知が届いたからといって、すべてを諦める必要はありません。
この記事では、傷病手当金の打ち切り通知が届いた時に知っておくべき理由、納得できない場合の対処法、そしてその後の生活を守るための具体的なステップを詳しく解説します。
なぜ届いた?傷病手当金の打ち切り通知に隠された理由
傷病手当金の支給が止まる、あるいは不支給になるのには、健康保険法に基づいたいくつかの明確な基準があります。まずは、あなたの元に届いた通知がどのケースに当てはまるのかを冷静に把握しましょう。
1. 医学的に「労務不能」と判断されなかった
最も多く、かつ納得しにくいのがこの理由です。主治医が「休業が必要」と診断書を書いていても、保険者(協会けんぽや健康保険組合)側の審査医が「書類の内容を見る限り、軽作業なら可能ではないか」と判断すると、不支給通知が届きます。
特にうつ病などの精神疾患の場合、診察時の会話内容や、書類に記載された日常生活の様子(「買い物に行ける」「家事ができている」など)が、「就労可能」と誤解される材料になってしまうケースが少なくありません。
2. 支給期間(通算1年6か月)の満了
傷病手当金には受給できる期限があります。2022年1月の法改正により、期間は「支給開始日から通算して1年6か月」となりました。
かつては途中で復職しても期間がカウントされ続けていましたが、現在は「実際に支給を受けた日数」を合計して計算します。この「1年6か月分」をすべて使い切ってしまうと、たとえ病気が治っていなくても制度上、受給は終了します。これは「打ち切り」というより「期間満了」という扱いになります。
3. 退職日当日に「出勤」してしまった
退職後も傷病手当金を継続して受取ろうと考えている場合、最大の落とし穴がこれです。健康保険の資格を失った後も受給を続けるには、「退職日に労務不能であったこと」が絶対条件です。
「最後の日だから」と挨拶回りに行ったり、私物を片付けに数時間だけ会社に顔を出したりすると、それが「出勤」とみなされます。「働ける状態だった」と判断されるため、退職日以降の受給資格がすべて消滅してしまうのです。
4. 傷病手当金よりも高い給与や年金を受け取っている
休業中でも会社から一部給与が出ていたり、障害年金や老齢年金を受給し始めたりした場合、傷病手当金との調整が行われます。受け取っている金額が傷病手当金の日額を上回る場合、手当の支給は止まります。
納得できない!不支給への反撃「審査請求」と再申請の手順
もし届いた通知の内容が、あなたの今の体調と著しくかけ離れているなら、泣き寝入りする必要はありません。正当な権利を主張するための道が用意されています。
まずは保険者に「理由の真意」を電話で聞く
通知書に書かれている理由は、「労務不能と認められないため」といった簡潔な一行だけのことが多いです。これでは対策が立てられません。まずは保険者に電話をして、「具体的に診断書のどの記述が不支給の決め手になったのか」を聞き出しましょう。
主治医に相談し、より詳細な意見書を書いてもらう
保険者から聞き出した理由を主治医に伝えましょう。
「家事ができているから働けると言われましたが、実際は食事を作るのが精一杯で、仕事のプレッシャーには耐えられません」
といった具体的な現状を、医師から改めて「追加の意見書」として書いてもらうのです。この追加書類を添えて再申請することで、決定が覆るケースもあります。
社会保険審査官への「審査請求」を行う
再申請でもダメな場合や、決定を法的に争いたい場合は「審査請求」という制度を使います。これは、通知を受け取った日の翌日から60日以内に、地方厚生局の社会保険審査官に対して「この決定は不当だ」と申し立てる手続きです。
審査請求は自分で行うこともできますが、法律の専門知識が必要になるため、社会保険労務士などのプロに相談するのも一つの手です。生活がかかっているからこそ、慎重に進めるべきステップと言えます。
傷病手当金が終わった後の「お金の不安」を解消する選択肢
期間満了や不支給が確定してしまった場合、次に考えなければならないのは「生活の立て直し」です。傷病手当金以外にも、あなたをサポートする制度はいくつか存在します。
障害年金の申請を検討する
病気やケガが長引き、仕事や生活に大きな制限がある場合、障害年金を受給できる可能性があります。傷病手当金の受給期間が終わるタイミング(初診日から1年6か月経過時)は、まさに障害年金の請求ができるようになる時期と重なります。
障害年金は審査に数か月かかるため、傷病手当金が終わりそうだと分かった時点で、早めに年金事務所や社労士に相談し、準備を始めるのが賢明です。
雇用保険(失業保険)の受給期間延長
「病気はだいぶ良くなったけれど、まだすぐには働けない」という状態で退職した場合は、ハローワークで失業保険の「受給期間延長」の手続きをしましょう。
通常、失業保険は「すぐに働ける人」が対象ですが、この手続きをしておけば、体調が完全に回復して働けるようになったタイミングで、受給をスタートさせることができます。最大で4年まで期間を延ばせるため、焦って復職して再発させるリスクを減らせます。
自治体の自立支援医療や福祉制度を利用する
医療費の自己負担を軽減する「自立支援医療(精神通院医療)」などを活用して、出ていくお金を減らすことも重要です。また、どうしても生活が困窮する場合は、一時的な貸付制度や生活保護という選択肢も恥ずかしいことではありません。まずは市役所の福祉窓口で、今の状況を正直に話してみてください。
療養中のメンタルケアと環境づくり
打ち切り通知というショッキングな出来事は、あなたのメンタルに大きなダメージを与えます。「社会から見捨てられた」と感じてしまうかもしれませんが、それは単なる事務的な手続きの結果に過ぎません。
療養生活を支えるのはお金だけではありません。心身を休めるための環境づくりも大切です。
例えば、静かな環境で読書をしたり、好きな音楽を聴いたりして、脳をリラックスさせる時間を作ってください。リラックスのお供に、ノイズキャンセリング機能の優れたヘッドフォン AirPods Pro や、疲れにくいクッション Yogibo など、少しでも自分が快適になれるアイテムを生活に取り入れるのも、回復への投資と言えるでしょう。
また、スマホの画面を見すぎて不安なニュースばかり追いかけてしまうと、交感神経が優位になり、回復を遅らせてしまいます。夜はデジタルデバイスから離れ、質の良い睡眠を確保するように努めてください。
傷病手当金の打ち切り通知が届いたら?不支給の理由と再申請・審査請求の手順を解説:まとめ
「傷病手当金の打ち切り通知」という文字を見て、絶望的な気持ちになっているあなたへ。
まずは深呼吸をしてください。通知が届いたことは、あなたがこれまで一生懸命に病気と向き合い、休養を必要としてきた証拠でもあります。
今回の内容を振り返ります。
- 通知の理由を確認する: 医学的な判断ミスか、期間満了か、手続きの不備かを見極める。
- アクションを起こす: 保険者への詳細確認、主治医への相談、そして必要に応じた審査請求。
- 次のセーフティネットへ: 障害年金や失業保険の延長など、公的制度をフル活用する。
一人で抱え込むのが一番危険です。家族、友人、主治医、あるいは社会保険労務士や自治体の相談窓口など、頼れる場所にはすべて頼ってください。
お金の問題を整理することは、心の安定に直結します。あなたが再び、前を向いて歩き出せる日が来ることを心から応援しています。適切な手続きを踏んで、あなたの正当な権利を守り抜きましょう。

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