90年代の『りぼん』黄金期を支えた伝説のギャグ漫画、赤ずきんチャチャ。その正統続編として2012年から連載が始まった『赤ずきんチャチャN』が、全5巻でひっそりと完結していたことをご存知でしょうか。
かつてのファンが久しぶりに本作を手に取り、最終巻を読み終えたときに抱く共通の感想。それは「え、これで終わり?」「もしかして打ち切りだったの?」という戸惑いです。チャチャたちのドタバタ劇は、なぜあのような形で幕を閉じたのか。今回は、読者が気になる打ち切り説の真相や完結の背景、そして作品への評価を深く掘り下げていきます。
赤ずきんチャチャNが「打ち切り」と囁かれる最大の理由
『赤ずきんチャチャN』が唐突に終わったと感じる人が多いのには、明確な理由があります。それは、物語に明確な「クライマックス」が用意されていなかったからです。
通常の漫画であれば、最終回に向けて伏線が回収されたり、宿敵との決着がついたり、あるいはキャラクターたちの将来が示唆されたりするもの。しかし、本作の最終回は、いつも通りのシュールなギャグの応酬のまま、ふんわりと幕を閉じました。
この「日常がそのまま途切れたような感覚」が、読者に「無理やり終わらされたのではないか」という予感を与えたのです。また、前作が全13巻という長編だったのに対し、今作が全5巻というコンパクトな巻数で終わったことも、打ち切り説に拍車をかけました。
連載誌が『Cookie』という大人向けの媒体に移ったことで、作品に求められる「引き」や「盛り上がり」の基準が変わったことも影響しているのかもしれません。
舞台を「東京」に移したことが完結に与えた影響
今作の最大の特徴は、魔法の国を飛び出して、チャチャたちが現代の「東京」にやってきたという設定です。スカイツリーが見える世界で、魔法使いたちが一般人に混じって生活する姿は新鮮でした。
しかし、この設定こそが物語の寿命を左右した側面もあります。
魔法の国というファンタジーな箱庭の中であれば、どんなに理不尽なギャグも「魔法だから」で許容されました。ところが、東京という現実的な舞台にチャチャたちが放り込まれたことで、ギャグの切れ味が「シュール」を通り越して「狂気」に近いものへと変貌していったのです。
魔法使いが現実社会で浮きまくる様子は面白い反面、物語を大きく動かすようなドラマを生み出しにくいという欠点もありました。チャチャたちが東京に馴染みすぎることもなく、かといって魔法の国へ帰るドラマチックな理由も提示されないまま、日常のワンシーンとして連載が収束していったのは、この舞台設定ならではの結果だったと言えるでしょう。
彩花みん先生の独特な「ギャグのテンション」と時代性
『赤ずきんチャチャ』シリーズの魅力は、何といっても作者・彩花みん先生の唯一無二のセンスです。脈絡のないセリフ回し、突拍子もない行動、そして時折混じる毒。
『赤ずきんチャチャN』でもその刃は研ぎ澄まされており、かつてのファンは赤ずきんチャチャN 1巻を開いた瞬間、「あ、これだ!」と懐かしさに震えたはずです。
しかし、その「変わらなさ」が、長期連載においてはハードルになった可能性も否定できません。90年代のハイテンションなギャグは、現代の読者層にとっては少しカロリーが高すぎたのかもしれません。
また、掲載誌が隔月刊の『Cookie』であったため、連載のペースがゆっくりでした。全5巻を出すのに約7年という歳月を要したことで、ストーリーの推進力よりも「時々会える懐かしい友人」のような立ち位置に落ち着いたことが、自然な形での完結へと導いたのではないでしょうか。
読者の本音!完結に対する評価と「同窓会」としての価値
本作に対するファンの評価は、実は非常に温かいものが目立ちます。打ち切りかどうかという議論はあるものの、それ以上に「描き続けてくれたこと」への感謝が勝っているのです。
- 「あの頃のまま」であることの尊さ多くの続編漫画が絵柄の変化や設定の改変でファンを困惑させる中、彩花先生の描くチャチャ、リーヤ、しいねちゃんは、驚くほど当時のイメージを保っていました。
- 大人になったからこそ分かるブラックユーモア『りぼん』時代よりも少しだけ毒気が増したギャグは、大人になった読者にとって心地よい刺激となりました。
- サブキャラたちの再登場お鈴ちゃんやマリン、どろしー君といったお馴染みのメンバーが、現代の東京で相変わらずの奇行を繰り返す姿には、安心感すら漂っていました。
多くの読者にとって、『赤ずきんチャチャN』は壮大な物語の続きというよりも、終わりのない放課後をもう一度見せてもらうような「贅沢な同窓会」だったのです。だからこそ、ドラマチックな結末がなくても、それはそれで「チャチャらしい」と受け入れられている側面があります。
赤ずきんチャチャNは打ち切り?完結の理由や最終回の謎、読者の評価まとめ
結局のところ、『赤ずきんチャチャN』が打ち切りだったのか、それとも円満完結だったのか。その答えは、公式には語られていません。しかし、全5巻を通して描かれたのは、どんな場所に行っても、何年経っても変わらない「チャチャたちの愉快な日常」そのものでした。
最終回が唐突に見えたのは、彼女たちの時間がこれからもどこかで続いていくことを示唆していたからかもしれません。物語を無理に完結させるのではなく、読者の心の中に「いつもの騒がしい日常」を残したまま筆を置く。それこそが、彩花みん先生流の美学だったとも考えられます。
もし、あなたがまだ東京編の結末を見届けていないのなら、ぜひ赤ずきんチャチャN 5巻を手に取ってみてください。そこには、派手な大団円はありませんが、読み終えたあとに「あぁ、やっぱりチャチャたちはこうでなくちゃ」と思わず笑みがこぼれる、そんな不思議な安心感が待っています。
かつての魔法使い見習いたちが、大人になった私たちに届けてくれた最後の魔法。それは、何気ない日常こそが一番楽しく、愛おしいものであるというメッセージだったのかもしれません。
次は、前作の懐かしいエピソードを赤ずきんチャチャ 文庫版で読み返して、チャチャたちの歴史を最初から辿り直してみるのも、素敵な休日の過ごし方になりそうですね。

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