「えっ、マミヤ終わっちゃったの?」
伝説の雀士・赤木しげるの没後20年を描くという、ファンならずとも身震いするような設定で始まった『闇麻のマミヤ』。しかし、物語がこれからというところで「第1部完」の文字とともに誌面から姿を消してしまいました。
ネット上では「事実上の打ち切りではないか?」という悲観的な声から、「福本先生のことだから何か考えがあるはず」という期待まで、さまざまな憶測が飛び交っています。
今回は、なぜ『闇麻のマミヤ』が連載終了という形をとったのか、その真相と、新たに始まった『二階堂地獄ゴルフ』への移行背景について、ファン目線で深掘りしていきます。
闇麻のマミヤは打ち切り?突如として訪れた「第1部完」の衝撃
2023年5月、麻雀漫画の聖地とも言える『近代麻雀』の誌面で、衝撃的なニュースが駆け抜けました。福本伸行先生の最新作として注目を集めていた『闇麻のマミヤ』が、第6巻分のエピソードを終えたところで突如として連載を終了したのです。
単行本の巻末や誌面には「第1部 完」と記されていましたが、物語の状況は決して大団円とは言えませんでした。主人公のマミヤが強大な敵と対峙し、これからさらに深い闇の世界へと足を踏み入れる……そんな予感に満ちたタイミングでの中断だったからです。
多くの読者が「これは実質的な打ち切りなのでは?」と疑ったのは、無理もありません。通常、長期連載を前提とした作品がこのタイミングで終わる場合、そこには何らかの「大人の事情」が介在していることが多いからです。
しかし、単なる「不人気による強制終了」と切り捨てるには、本作が担っていた役割はあまりにも巨大でした。何しろ、あの『アカギ』の正統なる系譜を受け継ぐ作品だったのですから。
『アカギ』という偉大すぎる伝説がもたらした光と影
『闇麻のマミヤ』を語る上で避けて通れないのが、前作にあたる『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』の存在です。
27年という歳月をかけて描かれた「鷲巣麻雀」の決着を経て、赤木しげるという男は漫画界における一種の聖域となりました。その赤木がこの世を去ってから20年後の世界を描くという設定は、開始当初、最大級のインパクトをもって迎えられました。
初期の物語では、かつて赤木と共闘した治(オサム)が年老いた姿で登場し、読者を一気に福本ワールドへと引き込みました。しかし、物語が進むにつれて、読者の間にはある種の「戸惑い」が広がり始めます。
それは、主人公・マミヤのキャラクター性です。福本作品の主人公といえば、カイジのような極限状態での泥臭さや、アカギのような神がかった静謐さが特徴です。対してマミヤは、女性主人公という新しさもありましたが、どこか従来の福本キャラよりもマイルドで、ファンが求めていた「ヒリつくような命のやり取り」とのギャップが生じていたのかもしれません。
また、本作の核心である「闇麻(やみま)」という特殊ルールも、評価を二分する要因となりました。
特殊ルール「闇麻」が物語のテンポに与えた影響
本作のタイトルにもなっている「闇麻」は、麻雀に「ブラインド(牌を隠す)」という要素を加えた画期的なルールでした。
- リーチをかける際に牌を伏せることができる
- 点棒を支払うことで、相手の伏せ牌を確認できる
- 心理的な駆け引きが通常の麻雀よりも重層的になる
このルール自体は非常に面白く、いかにも福本先生らしい発明でした。しかし、これが連載という形式においては諸刃の剣となったのです。
ただでさえ心理描写に定評があり、一局の進行がゆっくりであることで知られる福本作品です。「闇麻」という複雑なルールが加わったことで、戦況を説明するためのモノローグや解説が増え、読者が期待する「物語の進展」が著しく停滞してしまった感は否めません。
週刊や月刊で物語を追う読者にとって、一つの対局が何年も続くことは珍しくありませんが、その中での「カタルシス(解放感)」が不足してしまったことが、連載継続のハードルを上げた可能性は高いでしょう。
期待の新作『二階堂地獄ゴルフ』への電撃移行
『闇麻のマミヤ』が休止した直後、同じ『近代麻雀』で始まったのが『二階堂地獄ゴルフ』です。
これには多くのファンが驚きました。「麻雀漫画の専門誌でゴルフ漫画を始めるのか?」という驚きです。しかし、蓋を開けてみれば、この『二階堂地獄ゴルフ』が恐ろしいほどの熱量を持って迎えられました。
主人公・二階堂進は、名門進学校に通いながらプロゴルファーを目指すも、あと一歩のところでプロテストに落ち続け、気づけば崖っぷちの生活を送っている男です。この「持たざる者が地獄の淵で足掻く」という描写が、初期の『賭博黙示録カイジ』賭博黙示録カイジを彷彿とさせ、読者の心を鷲掴みにしました。
ここからは推測の域を出ませんが、作者である福本伸行先生の中で、創作のエネルギーが「麻雀」という枠を超えて、別の形での「人間の業」を描くことに向かったのではないでしょうか。
作家にとって、キャラクターが勝手に動き出すような「乗っている」状態は極めて重要です。現在の福本先生にとって、マミヤの物語を複雑なルールの中で進めるよりも、二階堂という男の転落と再生を描くことの方が、クリエイティブな情熱を注ぎやすかったのかもしれません。
「第1部完」の真意と再開の可能性を考察する
では、『闇麻のマミヤ』がこのまま歴史の闇に消えてしまうのかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。
福本先生の過去作を振り返ると、長期の休載を挟んだり、タイトルを変えて実質的な続編を描いたりすることは珍しくありません。『天 天和通りの快男児』天 天和通りの快男児から『アカギ』が派生したように、あるいは『カイジ』がシリーズごとに副題を変えるように。
「第1部完」という言葉は、作者本人や編集部の中に、いつかこの物語を完結させたいという意志が残っている証左でもあります。
ただし、現在連載中の『二階堂地獄ゴルフ』が絶好調であること、そして他にも複数の連載や監修(『中間管理録トネガワ』などのスピンオフ作品含む)を抱えていることを考えると、数年単位での時間は必要になるでしょう。
今、私たちができることは、マミヤという魅力的なキャラクターが再び雀卓の前に座る日を待ちつつ、現在進行形で描かれている「地獄」を楽しむことなのかもしれません。
まとめ:闇麻のマミヤは打ち切りではなく、新たな伝説への準備期間か
ここまで『闇麻のマミヤ』の連載終了を巡る背景について詳しく見てきました。
結局のところ、本作は単純に数字が悪くて切られた「打ち切り」というよりは、**「作家の創作エネルギーの転換と、物語の再構築のための戦略的撤退」**と捉えるのが最も自然です。
『アカギ』というあまりにも巨大な遺産のあとを継ぐ物語として、マミヤはまだ成長の途中にありました。複雑すぎる「闇麻」のルールや、前作ファンからの過剰な期待など、困難な状況下での連載だったことは間違いありません。
しかし、福本先生が新作で見せているキレ味鋭い描写を見る限り、その筆力は衰えるどころか、新たな境地に達しているようにも見えます。その力が再び麻雀というジャンルに向けられたとき、私たちは本当の意味での『闇麻のマミヤ』第2部を目撃することになるはずです。
もし、あなたが今、福本作品の飢えを感じているのなら、最新の単行本闇麻のマミヤを読み返しつつ、地獄のようなゴルフの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
**闇麻のマミヤは打ち切り?連載終了の真相と続編「二階堂」への移行理由を徹底解説!**というテーマでお届けしましたが、結論として、この物語の灯はまだ消えてはいません。再開のその日まで、彼らが残した「闇」の記録をじっくりと咀嚼しておきましょう。

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