『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいて、誰もが一度は「このスタンド名、どこかで聞いたことがあるな?」と感じたことがあるはずです。それもそのはず。ジョジョに登場する「スタンド」の多くは、作者である荒木飛呂彦先生が愛してやまない洋楽のバンド名や楽曲名、そして神秘的なタロットカードなどが由来となっているからです。
この記事では、第3部から最新の第9部まで、ジョジョのスタンドに隠された驚きの元ネタを徹底的に深掘りしていきます。名前の由来を知れば、ジョジョの世界観がさらに立体的で魅力的なものに見えてくること間違いなしですよ!
始まりは運命を暗示するタロットカードから
ジョジョにおける「スタンド」という概念が初めて登場したのは第3部『スターダストクルセイダース』です。この時期のネーミングは、音楽ではなく「タロットカード」の大アルカナがベースとなっていました。
主人公・空条承太郎のスタンド「スタープラチナ(星の白金)」は、タロットの17番目ジョジョの奇妙な冒険 第3部に位置する「星」が元ネタです。このカードが持つ「希望」や「光明」といった意味が、承太郎の圧倒的なパワーと不屈の精神に重なります。
また、宿敵DIOの「ザ・ワールド(世界)」は21番目のカード「世界」に由来します。タロットにおいて「世界」は究極の完成や調和を意味しますが、時を止めるという万能に近い能力は、まさにこのカードが示す「支配」や「完遂」のイメージにぴったりですよね。
物語の中盤からはエジプト神話の神々をモチーフにした「エジプト九栄神」が登場。ペット・ショップの「ホルス神」や、ダービー兄弟の「オシリス神」「アトゥム神」など、スタンドの能力と神話の役割が巧妙にリンクしているのが特徴です。
黄金の精神を彩る「洋楽」というエッセンス
第4部以降、スタンド名の主流は劇的に変化します。荒木先生の趣味が前面に押し出され、洋楽のアーティスト名やアルバム名がそのままスタンド名として使われるようになったのです。
例えば、第4部の主人公・東方仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」。この元ネタはイギリスの伝説的バンド、ピンク・フロイドの楽曲「Shine On You Crazy Diamond」です。「壊れたものを直す」という仗助の優しい能力は、亡きメンバーへの敬愛を込めたこの楽曲の温かさと響き合っているように感じられます。
第5部のジョルノ・ジョバァーナが操る「ゴールド・エクスペリエンス」は、鬼才プリンスのアルバム名が由来です。プリンスが追求した「生命の躍動」や「官能的な美しさ」は、生命を生み出すジョルノの能力そのものを象徴しているかのようです。
また、ブチャラティの「スティッキィ・フィンガーズ」は、ザ・ローリング・ストーンズの名盤から名付けられました。実際のアルバムジャケットには本物のジッパーが付いていたという逸話があり、そこから「ジッパーを付ける能力」を着想したというエピソードはあまりにも有名です。
ザ・ローリング・ストーンズ スティッキィ・フィンガーズを聴きながら読み返すと、ジッパーを開閉するあの音がリズムを刻んでいるように聞こえてきませんか?
歌詞の内容まで踏み込んだ第6部以降の深層世界
第6部『ストーンオーシャン』からは、単に名前を借りるだけでなく、楽曲の歌詞や背景にあるメッセージを能力に反映させる手法がより洗練されていきました。
空条徐倫の「ストーン・フリー」は、ジミ・ヘンドリックスの曲名が元ネタです。歌詞にある「俺は自由だ、誰にも縛られない」というメッセージは、刑務所という不自由な空間から脱出しようとする徐倫の強い意志を体現しています。
また、エルメェスの「キッス」はアメリカのロックバンドKISSから。プッチ神父の「ホワイトスネイク」や「C-MOON」もそれぞれ有名アーティストの楽曲ですが、物語の核心に迫るにつれ、名前と運命が重なり合っていく演出には鳥肌が立ちます。
第7部『スティール・ボール・ラン』では、ジョニィ・ジョースターのスタンド「タスク(牙)」がフリートウッド・マックの「Tusk」から。そして大統領の「D4C」こと「ダーティー・ディーズ・ダン・ダート・チープ」はAC/DCの楽曲です。この曲の邦題「いともたやすく行われるえげつない行為」というフレーズは、並行世界を渡り歩く不気味な能力を見事に言い表していますよね。
最新作第9部『ジョジョランズ』で見せる新たな試み
現在連載中の第9部『The JOJOLands』でも、その伝統は健在です。主人公ジョディオ・ジョースターのスタンド名は「ノーヴェンバー・レイン(11月の雨)」。これはガンズ・アンド・ローゼズの珠玉のバラードから取られています。
雨を降らせる能力が、この壮大な楽曲の旋律とどうリンクしていくのか。荒木先生がどのフレーズからインスピレーションを得たのかを考察するのも、リアルタイムで連載を追うファンの楽しみの一つです。
また、仲間たちのスタンド名も「スムース・オペレイター(シャーデー)」や「ザ・ハッスル(ヴァン・マッコイ)」など、R&Bやディスコといった幅広いジャンルから引用されており、荒木先生の音楽的バックグラウンドの広さを改めて見せつけられます。
デザインの由来と荒木飛呂彦先生のこだわり
スタンドの元ネタは音楽だけではありません。荒木先生はファッション誌や彫刻、建築からも多くのヒントを得ています。
例えば、多くのスタンドが身に纏う機械的なラインや独特の装飾は、ミケル・ジャクソンの衣装や、イタリアのハイブランド「ヴェルサーチ」の独創的なデザインから影響を受けていると言われています。また、スタンドのポージング(いわゆるジョジョ立ち)は、ルネサンス期の彫刻家ミケランジェロの作品を研究して生み出されたものです。
「音楽を聴いてイメージを膨らませ、ファッションや芸術をミックスして形にする」。このプロセスがあるからこそ、スタンドは単なる「超能力」を超えた、一つの「芸術作品」としての地位を確立しているのです。
海外版での改名騒動という名の裏話
豆知識として面白いのが、海外版のジョジョにおける名称変更です。欧米では著作権(パブリシティ権)の規制が非常に厳しいため、そのままのアーティスト名を使うことができません。
そのため、海外のアニメやゲームでは「大人の事情」による改名が行われています。
- キラークイーン → Deadly Queen(デッドリー・クイーン)
- ゴールド・エクスペリエンス → Golden Wind(ゴールデン・ウィンド)
- スティッキィ・フィンガーズ → Zipper Man(ジッパー・マン)
「ジッパー・マン」という潔すぎる改名には日本のファンからも苦笑いが漏れましたが、これもまた、元ネタが偉大なアーティストたちであることの証左とも言えるでしょう。
ジョジョのスタンド元ネタ総まとめ!洋楽・映画・タロットの由来と意外な裏話も解説
ここまで見てきたように、ジョジョのスタンド名は荒木飛呂彦先生の深い教養と、音楽・芸術へのリスペクトによって構築されています。
単に格好良い名前を付けるだけでなく、その曲が持つ雰囲気、歌詞のメッセージ、アーティストの生き様までもがキャラクターの血肉となっているのです。もし気になるスタンドがあったら、ぜひその元ネタとなった楽曲を一度フルで聴いてみてください。
きっと、これまでとは違う新しい「ジョジョの奇妙な冒険」の景色が見えてくるはずですよ!
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