「ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風」を読んでいて、誰もが一度はこう思ったはずです。
「キング・クリムゾンの能力、結局どういうこと……?」
ブチャラティもナランチャも、そして読者である私たちも、気づいた時には「結果」だけがそこにありました。あまりに強大で、あまりに難解。作者の荒木飛呂彦先生が描くこのスタンドは、少年漫画史の中でも屈指の「初見殺し」な能力です。
今回は、そんなジョジョ屈指の謎であるキング・クリムゾンの正体を、公式設定と深い考察を交えて、どこよりも分かりやすく紐解いていきます。この記事を読み終える頃には、あなたもディアボロと同じ視点で「時を飛ばした先」を見通せるようになっているはずです。
キング・クリムゾンとは?「時を飛ばす」の真意を理解する
まずは基本のキから。ディアボロのスタンド、キング・クリムゾンの最大の特徴は「この世の時間を消し去り、その間のプロセスを飛ばす」ことです。
世の中の時間は通常、1、2、3、4、5……と流れていきますよね。キング・クリムゾンが発動すると、例えば「2、3、4」の部分が丸ごとカットされ、1の次にいきなり5がやってきます。
この時、世界中の人間は「2、3、4」の間に何をしていたか、何を考えていたかの記憶を一切失います。チョコレートを食べようとしていた人は、気づいたら口の中に甘い味が広がっている。階段を登っていた人は、気づいたら上の階に立っている。
「過程」が消え、「結果」だけが残る。これがこの能力の本質です。
そして、この消し去られた時間の中で唯一、意識を持って自由に動けるのが本体であるディアボロだけなのです。
予知能力「エピタフ」が最強の矛(ほこ)になる理由
キング・クリムゾンを理解する上で、もう一つ欠かせないのが額にある小さな顔、サブ能力の「エピタフ(墓碑銘)」です。
エピタフは「最大10秒先の未来」を100%の精度で予知します。この予知は、ディアボロの髪の毛の裏側などに映像として映し出されます。
ここで重要なのは、ジョジョの世界においてエピタフが見せる未来は「絶対に起こる運命」だということです。もしエピタフが「相手のパンチが自分の顔面にめり込む未来」を映したなら、それは避けることのできない確定事項になります。
しかし、ディアボロだけはキング・クリムゾンで「その瞬間(プロセス)」を消し去ることで、自分に降りかかる不都合な運命から逃れることができるのです。
未来を予知し、気に入らないプロセスを削除する。このコンボこそが、ディアボロを無敵たらしめている正体です。
「時を止める」能力との決定的な違い
よく議論になるのが、第3部の承太郎やDIOが持つ「ザ・ワールド」との違いです。どちらも「他人が動けない間に自分だけが動く」という点では似ていますが、ルールが決定的に違います。
「時を止める」能力は、静止した世界の中で相手に触れたり、攻撃を叩き込んだりできます。DIOがナイフを投げれば、時が動き出した瞬間に一斉に刺さりますよね。
対してキング・クリムゾンの「時を飛ばす」最中は、ディアボロは世界から隔離されたような状態になります。そのため、飛ばしている最中に相手を直接殴ったり、傷つけたりすることはできません。
ディアボロができるのは、あくまで自分に飛んでくる弾丸を透過させたり、相手の背後に回り込んだりといった「位置取り」まで。攻撃を加えるのは、常に「時を飛ばし終えた直後」になります。
この制限があるからこそ、ディアボロは常に慎重に、かつ確実に仕留められる瞬間を狙って暗躍しているわけです。
読者が混乱する「トリッシュ連れ去り」の謎を解く
ここで多くのファンが首をかしげるシーンがあります。エレベーターの中で、ブチャラティの目の前からトリッシュの手首を切り落として連れ去った場面です。
「飛ばしている間は干渉できないルールじゃないの?」という疑問。
これにはいくつかの考察がありますが、最も有力なのは「運命の確定」を利用したという説です。
エピタフで「自分がトリッシュの手首を切って連れ出す未来」が見えたとします。それは確定した運命なので、ディアボロが何もしなくても(あるいは時を飛ばしても)「結果」として残ります。
ディアボロは、自分がブチャラティに見つかるという「プロセス」だけを消去し、トリッシュを傷つけて連れ出すという「確定した結果」だけを現実に残した。そう考えると、この矛盾も論理的に説明がつきます。
まさにジョジョの奇妙な冒険 第5部のテーマである「運命」を支配する男ならではの戦い方と言えるでしょう。
なぜジョルノは勝てたのか?レクイエムの圧倒的な力
これほどまでに完璧なキング・クリムゾンを、なぜジョルノ・ジョバァーナは倒せたのか。それは、矢によって進化した「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)」が、キング・クリムゾンの真逆の能力だったからです。
キング・クリムゾンが「プロセスを消して結果に到達する」能力なら、レクイエムは「結果に到達する意志も力も、すべてゼロに戻す」能力です。
ディアボロがどんなに「勝利」という結果を確定させようとしても、レクイエムはその「到達点」自体を消し去ってしまいます。時間を飛ばしても、その先にある「結末」がゼロに戻されるため、ディアボロは「死ぬという結果」にすら辿り着けず、永遠に死に続けるループに陥りました。
物理的な強さではなく、概念的な相性で負けた。これが、帝王ディアボロの最期でした。
まとめ:ジョジョ5部「キング・クリムゾン」の能力を徹底解説!意味不明な謎を公式・考察から完全解明
キング・クリムゾンの能力は、一見すると複雑怪奇です。しかし、その根底にあるのは「未来を知り、自分に都合の悪い過程を捨て去る」という、極めてエゴイスティックで合理的な精神です。
ディアボロが恐れたのは、自分の正体がバレること、そして自分自身の運命が誰かに左右されることでした。だからこそ、彼は「過程」という不確定要素を嫌い、「結果」だけを求めたのです。
物語の結末を知った上で、もう一度ジョジョの奇妙な冒険を読み返してみてください。ブチャラティたちの必死の抵抗が、いかにこの絶望的な能力に風穴を開けていったか。そのカタルシスが、より一層深まるはずです。
「時を飛ばす」という謎が解けた今、あなたの目に映るジョジョ5部の世界は、これまでとは違った輝きを放っていることでしょう。
次は、あなたの手でこの「結果」を確かめてみてください。
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