『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』を読み進めていく中で、物語の大きな転換点となるのがイタリアの美しい島、サルディニア島への上陸です。主人公ジョルノ・ジョバァーナたちが、正体不明の組織のボス「ディアボロ」の過去を暴くために目指したその場所。そこで鍵となった言葉が「キツネの尾」でした。
この不思議な響きを持つキーワードには、一体どのような意味が込められているのでしょうか。今回は、ジョジョファンなら避けては通れないサルディニア島の謎と、そこに秘められた伏線の数々をじっくりと紐解いていきます。
母親ドナテラが遺した唯一の手がかり
物語の後半、ブチャラティチームはボスの娘であるトリッシュを連れて逃避行を続けます。ボスの正体を知る唯一の手段は、彼の過去を物理的に遡ることでした。しかし、ボスは自らの足跡を徹底的に消し去っており、唯一残されたヒントはトリッシュの母親、ドナテラ・ウナが語った古い記憶だけだったのです。
ドナテラはかつて、サルディニア島で一人の青年と恋に落ちました。彼女がその場所を回想する際に使った表現こそが、「エメラルドのように青い海岸にある、キツネの尾(コーダ・ディ・ヴォルペ)のような形をした場所」でした。
この「キツネの尾」という言葉は、単なる比喩ではありません。イタリアのサルディニア島に実在する複雑な海岸線を指しており、地形そのものがキツネのふさふさとした尾のように見えるリゾート地を指していたのです。ジョルノたちはこの言葉を頼りに、ボスのルーツへと足を踏み入れることになります。
ディアボロの二面性と「キツネ」の象徴
なぜ荒木飛呂彦先生は、この場所に「キツネの尾」という名前を与えたのでしょうか。そこにはキャラクターの性質を暗示するような、深い意図が感じられます。
キツネは古来より「化ける」「人を欺く」「狡猾」といったイメージを持つ動物です。二重人格であり、ヴィネガー・ドッピオという別人格を使い分けながら正体を隠し続けるディアボロの生き様は、まさに正体を隠して人間に紛れるキツネそのものと言えるかもしれません。
また、ディアボロという名前はイタリア語で「悪魔」を意味しますが、彼がまだ「ソリッド・ナーゾ」という偽名でドナテラと過ごしていた頃は、まだ人間としての温もりがわずかに残っていた時期でもあります。その思い出の地が「キツネの尾」という、どこか幻想的で掴みどころのない名前で呼ばれている点に、皮肉な美しさを感じずにはいられません。
アバッキオの最期と「黄金の精神」
「キツネの尾」の海岸へ辿り着いた一行を待っていたのは、あまりにも過酷な運命でした。レオーネ・アバッキオは、自身のスタンド「ムーディー・ブルース」を使い、15年前のボスの姿を再生(リプレイ)しようと試みます。
しかし、あと一歩というところでボスの奇襲に遭い、アバッキオは命を落としてしまいます。彼が最期に命を懸けて残したものは、ボスの素顔を刻んだ「デス・マスク」でした。
このシーンは第5部の中でも屈指の名場面として知られています。警官時代の後悔を抱え続けてきたアバッキオが、死の直前に「真実に向かおうとする意志」をジョルノたちに託した場所。それこそが、キツネの尾のような形をした、あの美しいエメラルド海岸だったのです。
美しい風景の中で繰り広げられる惨劇と、それを乗り越えていく仲間たちの絆。このコントラストが「キツネの尾」という場所を、読者の心に深く刻み込む要因となっています。
サルディニア島に実在する「コーダ・ディ・ヴォルペ」
ジョジョの物語は、徹底した現地取材や資料に基づいたリアリティが魅力の一つです。「キツネの尾」も例外ではありません。
イタリア語で「Coda di Volpe(コーダ・ディ・ヴォルペ)」は、直訳するとまさに「キツネの尾」となります。実はこれ、カンパーニア州などで栽培されている白ワイン用のブドウ品種の名前でもあるのです。ブドウの房が長く垂れ下がる様子がキツネの尾に似ていることから名付けられました。
作中の舞台となったサルディニア島北部の「コスタ・ズメラルダ(エメラルド海岸)」周辺には、実際に非常に入り組んだ入江が点在しています。上空から見れば、まさにキツネの尻尾が幾重にも重なっているような複雑な地形を確認することができるでしょう。
このような実在する要素を巧みに取り入れることで、読者は「もしかしたら、本当にあそこにディアボロがいたのかもしれない」という錯覚を覚えるほどの没入感を味わうことができるのです。
ディアボロが犯した唯一のミス
完璧主義者であり、運命を支配しようとしたディアボロ。彼は自分の過去を完全に消し去ったつもりでいましたが、結果として「キツネの尾」という場所の記憶をドナテラに残してしまいました。
彼はなぜ、これほどまでに執拗に正体を隠したのでしょうか。それは彼が「絶頂」であり続けるために、弱点となる「過去」を恐れたからです。しかし、皮肉にも彼がかつて持っていた、あるいは演じていた「愛情」の断片が、最終的に彼を追い詰めるナイフとなりました。
この場所を特定されたことが、彼の支配が崩れ始める第一歩だったと言えます。キング・クリムゾンという無敵に近い能力を持ちながらも、一人の女性が大切に抱えていた思い出の言葉――「キツネの尾」――を消し去ることはできなかった。ここに、ジョジョという作品が描く「人間の心の強さ」が表現されています。
ジョジョの物語を彩る場所の力
ジョジョの奇妙な冒険は、場所がキャラクターと同じくらい雄弁に物語を語ります。第5部であれば、ネアポリスの街並み、ヴェネツィアの運河、そしてサルディニア島の海岸。
特に「キツネの尾」が登場するサルディニア島編は、それまでの都会的なマフィアの抗争から一転して、自然豊かな、しかしどこか不気味な静寂に包まれた孤島での戦いへとシフトします。この風景の変化が、物語のクライマックスに向けた緊張感を高める素晴らしい演出となっていました。
もしあなたが改めて第5部を読み返す機会があれば、ぜひ「場所」に注目してみてください。キャラクターたちがどのような景色を見て、どのような風を感じながら命を燃やしたのか。それを想像するだけで、物語の解像度は一気に上がります。
ジョジョの熱い戦いを最新のデバイスで楽しみたい方は、kindleなどの電子書籍リーダーを活用するのもおすすめです。カラー版であれば、あのエメラルド海岸の美しさをより鮮明に堪能できるでしょう。
まとめ:キツネ の 尾 ジョジョ が教えてくれること
「キツネ の 尾 ジョジョ」というキーワードから紐解いてきた今回の考察、いかがだったでしょうか。
この言葉は、単なる地形の説明ではなく、以下のような重層的な意味を持っていました。
- ボスの過去へと繋がる、ドナテラの切ない記憶の象徴
- 真実を追い求めたアバッキオの信念が結実した場所
- 「化ける」ディアボロの二面性を暗示するメタファー
- イタリアの美しい自然と実在の地名をリンクさせたリアリティ
物語の中で、ジョルノたちは多くの犠牲を払いながらも「真実」へと辿り着きました。その舞台となったのが「キツネの尾」であったことは、偶然ではなく必然だったのかもしれません。
ボスの狡猾さと、それを暴こうとしたチームの黄金の精神。そのぶつかり合いを象徴するこの場所について知ることで、ジョジョ第5部の深みをより一層感じていただければ幸いです。
最後に、もしあなたがジョジョのフィギュアや関連グッズをコレクションしたいと考えているなら、フィギュアなどで探してみるのも楽しいですよ。アバッキオやディアボロの姿を眺めながら、あのサルディニア島の激闘に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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