『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』。その物語が大きく動き出す第2クールで、私たちの耳に飛び込んできたのがbattaの歌う『chase』でした。
それまでのジョジョOPといえば、1部の「その血の運命」に代表されるような、どこか仰々しく、運命の重みを感じさせるブラスバンドやオーケストラ調の楽曲、あるいは3部の熱い漢たちのコーラスが印象的でした。しかし、『chase』は違います。
歪んだギターの音色から始まる、荒々しいガレージロック。この曲が初めて流れたとき、多くのファンが「えっ、今までのジョジョと全然違う!」と衝撃を受けたはずです。今回は、この『chase』という楽曲が持つ深い意味や、映像に隠されたゾッとするような伏線、そしてなぜ一部で「嫌い」という声が上がったのかというデリケートな問題まで、徹底的に掘り下げていきます。
突如として現れた「異質」なオープニング曲
ジョジョ4部の前半(第1クール)を彩ったのは、明るくポップなディスコチューン『Crazy Noisy Bizarre Town』でした。黄金の精神を持つ若者たちが、杜王町という魅力的な街で過ごす日常。まさに「日常系ジョジョ」の楽しさが詰まった1曲です。
ところが、第15話から導入された『chase』は、その空気を一瞬で塗り替えました。
- 重く引きずるようなイントロ
- 叫ぶようなボーカル
- 焦燥感を煽るリズム
これには理由があります。物語が、岸辺露伴の登場や「弓と矢」の謎、そして何よりシリアルキラー・吉良吉影の影が忍び寄る「サスペンスホラー」へと変貌したからです。楽曲の雰囲気がガラリと変わったのは、杜王町の平和が内側から腐食し始めたことのメタファー(比喩)でもあったのです。
歌詞に込められた「chase(追跡)」の多重構造
タイトルの『chase』。直訳すれば「追跡する」「追いかける」という意味ですが、この歌詞は誰の視点で書かれているのでしょうか。読み解いていくと、複数のキャラクターの感情が重なり合っていることがわかります。
東方仗助たちの「執念」
最もストレートな解釈は、主人公・仗助たちが殺人鬼を追い詰める決意です。
「奪われた」というフレーズは、吉良の手によって消された街の住人や、友人への想いを指しているのでしょう。
「見つけ出すまで chase you」という歌詞には、正体不明の敵を絶対に逃がさないという、若者らしい真っ直ぐで激しい怒りが込められています。
吉良吉影の「歪んだ日常」
面白いのは、この曲が吉良吉影自身の視点にも重なる点です。
吉良にとって、自分の正体を探ろうとする仗助たちは、平穏な暮らしを壊しに来る「魔物」のような存在。
「追い詰められているのは自分の方だ」という焦燥感や、それでも自分の欲望(手首への執着)のためにターゲットを「chase」し続ける彼の異常性が、あのスピード感のあるロックサウンドと奇妙に一致します。
川尻早人の「孤独な戦い」
後半、物語の鍵を握る少年・早人。スタンド使いでもないただの小学生が、ビデオカメラを手に殺人鬼(父に成り代わった男)を追跡する。あの絶望的な状況での「chase」こそが、この曲の泥臭い響きに最も近いのかもしれません。
もしジョジョの熱いバトルをゲームでも楽しみたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル Rをチェックしてみるのも良いでしょう。楽曲の熱量をそのまま指先で体感できます。
映像に仕掛けられた「初見殺し」の伏線たち
『chase』の魅力は楽曲だけではありません。オープニング映像には、初見では気づかない、あるいは原作を知っていると「うわっ!」と声を上げてしまうような演出が散りばめられています。
- モノクロから色づく演出冒頭、モノクロの画面が徐々に色を帯びていきます。これは隠れていた殺人鬼が表舞台に引きずり出される過程や、物語が深刻さを増していく様子を表現しています。
- 重ちー(矢安宮重清)の背後の影映像の中で、無邪気に笑う重ちーの背後に「ハサミ」のシルエットが映り込むカットがあります。これは彼が後に辿る悲劇的な運命、そして吉良吉影の武器(爆弾)との接触を暗示しており、非常に不穏です。
- 路地裏の「手」吉良の冷蔵庫を思わせるカットや、不自然に配置された「女性の手」。これらは彼の異常な性癖と、杜王町に潜む闇を視覚的に突きつけてきます。
- 振り返る仗助の表情サビの疾走感の中で、キャラクターたちが次々と振り返ります。犯人を探す鋭い視線と、誰かに見られているという恐怖。両方の意味が込められた演出です。
なぜ「嫌い」という意見が生まれたのか?
検索ワードでも見かける「ジョジョ chase 嫌い」という不穏な言葉。しかし、これには明確な理由があり、多くは「食わず嫌い」や「期待とのギャップ」から来るものでした。
1. 従来のジョジョソングとの乖離
それまでのOPは、いわゆる「アニソン」としての記号性が非常に強いものでした。それに対し、『chase』は現代的な邦ロック、パンクロックのスタイルを全面に出しています。これが、一部のファンには「普通のアニメっぽくなってしまった」と感じさせてしまったようです。
2. 1クール目の「明るさ」が大好きだった反動
4部前半のポップな雰囲気を愛していた視聴者にとって、あまりに暗く、激しいこの曲は拒絶反応を引き起こす要因になりました。しかし、これは制作陣の「狙い通り」でもあります。視聴者に「日常が終わった」という危機感を抱かせるためのショック療法だったのです。
3. ボーカルの「生々しさ」
battaのボーカルは、喉を締め上げるような、叫びにも似た歌い方が特徴です。綺麗に整った歌唱を好む層には少し「うるさい」と感じられた可能性もありますが、この「泥臭さ」こそが、必死に犯人を追う4部メンバーの心情を最もよく表していると言えるでしょう。
再評価のきっかけとなった「アコースティック版」
実は『chase』には、通常版とは別にアコースティックアレンジが存在します。これが劇中で使用された際、評価が180度変わったというファンも少なくありません。
激しいギターを封印し、切ないメロディラインを強調したこのバージョンは、失われた命への鎮魂歌のように響きます。これを聞いたことで、「激しい通常版も、実は内側にこんな悲しみを秘めていたんだ」と気づかされるのです。
この楽曲の変化は、作品を深く理解するための助けになります。より高音質でその繊細な音色を聴きたい方は、ゼンハイザー ヘッドホンなどの質の高いオーディオ機器で、背景の音まで拾ってみるのがおすすめです。
杜王町の空気感を作り上げたbattaの功績
今となっては、『chase』なしの4部は考えられません。
吉良吉影というシリーズ屈指の悪役が登場し、物語のテンションが最高潮に向かって加速していく中、この曲の疾走感は必要不可欠でした。
最初は「ジョジョっぽくない」と感じていた人も、第2クールを見終わる頃には、サビの「chase you!」というフレーズが頭から離れなくなっているはずです。それは、この曲が単なるBGMではなく、4部という作品の「心臓の鼓動」そのものだったからです。
もしあなたがまだ「なんとなく苦手だな」と思っているなら、ぜひ歌詞を追いながら、吉良を追う仗助たちの足音だと思って聴き返してみてください。きっと、今まで聞こえなかった熱いメッセージが届くはずです。
ジョジョ4部OP『chase』の歌詞と伏線を徹底考察!なぜ「嫌い」と言われる?まとめ
ここまで、『chase』という楽曲が持つ多層的な魅力について解説してきました。
- 楽曲の意図: 4部が「日常」から「サスペンス」へ移行したことを示す重要なスイッチ。
- 歌詞の深み: 追う者(仗助・早人)と追われる者(吉良)、両方の焦燥感が同居している。
- 映像の秘密: 重ちーの悲劇や吉良の狂気が巧妙に隠されている。
- 評価の真相: 「嫌い」という声は、それだけこの曲が「日常を壊す」という役割を完璧に果たした証拠。
ジョジョの物語は、常に挑戦の連続です。音楽においてもその姿勢は一貫しており、『chase』はその挑戦が生んだ名曲と言えるでしょう。
ジョジョの世界観をもっと深く知りたい、あるいは自室を杜王町のような雰囲気にしたい方は、ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない Blu-ray BOXを手元に置いて、何度でも映像と音楽のシンクロを確かめてみてください。
きっと次に『chase』を聴くときは、イントロが流れた瞬間に鳥肌が立つような、全く新しい体験になるはずですよ!

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