「ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒート!!」
ジョジョファンの皆さんなら、この熱量をファッションの世界で体現した伝説のプロジェクトを覚えているでしょうか。それは、イタリアが誇る至高のラグジュアリーブランド「GUCCI」と、唯一無二の世界観を持つ『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦先生による奇跡のコラボレーションです。
単なるキャラクターグッズの枠を遥かに超え、モード誌の表紙を飾り、世界中のGUCCI直営店のウィンドウをジャックしたあの狂騒。月日が流れた今でも、その輝きは色あせるどころか、二次流通市場では「家宝級」の扱いを受けるほどのプレミア価値がついています。
今回は、岸辺露伴や空条徐倫が纏ったGUCCIのアイテムの数々、そして今からこれらを手に入れるための現実的な方法について、徹底的に深掘りしていきます。
2011年:岸辺露伴がフィレンツェの工房へ降り立った日
すべての始まりは2011年でした。GUCCI創設90周年、そして荒木飛呂彦先生の執筆30周年という、二つの大きな節目が重なったことでこのプロジェクトは動き出しました。
当時のGUCCIクリエイティブ・ディレクター、フリーダ・ジャンニーニ氏は、もともと日本のマンガ文化に対して深い理解とリスペクトを持っていました。彼女が荒木先生の描く、強烈な色彩感覚と彫刻のような肉体美に惹かれたのは、必然だったのかもしれません。
この時、集英社のファッション誌『SPUR』の付録として描き下ろされたのが、短編読み切り『岸辺露伴 グッチへ行く』です。
物語は、露伴が祖母の遺品であるGUCCIのバッグを修理するために、イタリアのフィレンツェにある工房を訪れるところから始まります。このバッグには「中に入れたお金や貴重品が消えてしまう」という、まるでスタンド能力のような不思議な仕掛けがありました。
しかし、それは単なる消失ではなく、持ち主に危機が迫った時に「等価交換」として幸運をもたらしてくれるという、ブランドの職人魂とジョジョ的哲学が融合した粋な結末を迎えます。
作中で露伴が着用していたのは、すべて実際に販売されていたGUCCIのメンズウェアの新作。スリムなシルエットに、グッチを象徴するビットローファー。漫画のキャラクターが現実のハイファッションを完璧に着こなす姿は、当時のファッション業界に大きな衝撃を与えました。
新宿の「グッチ新宿」で開催された原画展には、等身大の露伴マネキンが登場し、ファンが列をなしました。この時、私たちは初めて「二次元の美学が三次元のラグジュアリーを凌駕する瞬間」を目撃したのです。
2013年:空条徐倫、世界のウィンドウを支配する
第1弾の成功を受け、2013年にはさらに規模を拡大した第2弾が始動しました。今度の主役は、第6部『ストーンオーシャン』の主人公、空条徐倫です。
この時発表された短編『徐倫、GUCCIで飛ぶ』では、徐倫が母親のGUCCIのヴィンテージアイテムを譲り受け、ユニコーンなどの幻想的な生き物たちが登場する不思議な世界を旅します。
この第2弾が特筆すべきなのは、その展開の規模です。なんと、東京だけでなくニューヨーク、パリ、ロンドン、香港など、世界70店舗以上のGUCCI直営店で、荒木先生の描き下ろしイラストがウィンドウ・ディスプレイを飾ったのです。
ジョジョのキャラクターたちが、世界一等地の路面店でGUCCIの新作コレクションを纏い、堂々とポーズを決める。まさに「世界を股にかけた」コラボレーションとなりました。
この時のコレクションのテーマは、グッチの伝統的な「フローラ(花柄)」でした。荒木先生特有のサイケデリックな配色と、華やかなフローラ柄が絶妙にマッチし、GUCCIのシルクスカーフやバッグには、徐倫のアイコンである蝶のモチーフが巧みに取り入れられました。
ファンを虜にした伝説のコラボアイテムたち
当時のラインナップを振り返ると、今見ても溜息が出るほど美しいものばかりです。単にロゴを並べただけのものではなく、一つ一つのアイテムに「ジョジョの血統」が流れています。
- 描き下ろしプリントのスカーフ最もアート性が高く、コレクターの間で今も争奪戦が繰り広げられているのがシルクスカーフです。荒木先生のイラストが全面にプリントされており、額装してインテリアとして飾るファンも少なくありません。
- フローラ柄のスニーカー徐倫が作中で着用していたハイカットやローカットのスニーカー。グッチの伝統的な柄でありながら、ジョジョらしい毒気のあるカラーリングが施されており、足元から圧倒的な存在感を放ちます。
- アイコンバッグと小物の数々露伴モデルのボストンバッグや、徐倫のカラーをイメージした財布、カードケースなど。一見すると上品なGUCCIのレザーグッズですが、その細部にはジョジョの世界観が宿っています。
これらのアイテムは、当時の直営店でも即完売するものが多く、手に入れられた人は非常に幸運でした。特に、日本限定のアイテムや、特定の店舗でしか扱われなかった受注生産品は、現在では幻の逸品と化しています。
現代における入手方法と二次流通のリアル
さて、ここからが現実的なお話です。2011年や2013年のコラボアイテムを、今からGUCCIのブティックで購入することは不可能です。どうしても手に入れたい場合、中古市場や二次流通を頼ることになります。
しかし、ここで注意しなければならないのが「偽物(フェイク品)」の存在です。
これほどまでに人気があり、価値が高いアイテムとなると、残念ながら精巧なコピー品が出回ることがあります。特に、フリマアプリなどで極端に安く出品されているGUCCIの財布などは、警戒が必要です。
安全に入手するためのポイントをいくつか挙げます。
- 信頼できるブランド古着専門店を利用する大手のリサイクルショップや、鑑定士が常駐しているブランド古着店で購入するのが最も安全です。実物を確認できる店舗であれば、縫製の質やタグの形状、シリアルナンバーの有無をチェックできます。
- 保存状態を厳しくチェックする特にスニーカーは要注意です。発売から10年以上が経過しているため、ソールが加水分解してボロボロになっている可能性があります。観賞用として割り切るなら良いですが、履くことを想定しているなら、保管環境が明記されているGUCCIのシューズを選びましょう。
- 付属品の有無を確認する当時の専用ボックスや、コラボ限定のショッパー(紙袋)、タグなどが揃っているものは、コレクション価値が格段に上がります。これらが揃っていることは、本物であることを証明する一つの材料にもなります。
現在の相場は、アイテムによっては当時の定価の数倍に跳ね上がっていることもあります。しかし、ジョジョとGUCCIという二つの巨星が交わった記念碑的なプロダクトであることを考えれば、その金額を払う価値は十分にあると言えるでしょう。
なぜこのコラボは伝説となったのか
多くのブランドがアニメや漫画とコラボレーションを行う中で、なぜジョジョとGUCCIの結びつきだけがこれほどまでに特別視されるのでしょうか。
それは、両者が「美学」において一切の妥協をしなかったからです。
荒木先生は、単にキャラクターにブランドの服を着せただけではありません。その服が持つ歴史や背景、素材の質感までを理解し、自分の絵の中に再構築しました。一方でGUCCI側も、漫画を「子供のもの」として扱うのではなく、最高のアートとして敬意を払い、自社のブランドイメージを大胆に委ねました。
ジョジョの登場人物たちがとる「ジョジョ立ち」は、もともとルネサンス彫刻やファッション誌のモデルのポーズから着想を得たものです。つまり、ジョジョのキャラクターがGUCCIを纏ってポーズを決めるのは、ある意味で「起源への回帰」でもあったのです。
この深い相互理解があったからこそ、私たちは単なる広告ではない、魂の震えるような「表現」を目にすることができたのです。
ジョジョ×GUCCIコラボの全歴史。岸辺露伴と徐倫が纏う至高の逸品と入手方法
さて、ここまでジョジョとGUCCIが歩んだ華麗なる歴史を振り返ってきました。
岸辺露伴がフィレンツェで出会った不思議なバッグ、そして空条徐倫が世界中のウィンドウを彩った鮮やかなフローラ。これらは単なる過去の流行ではなく、漫画とファッションが対等に手を取り合った「文化遺産」とも呼べるものです。
もし、あなたが運良くセカンドハンドのショップでGUCCIのコラボアイテムに出会うことがあれば、それは「運命」かもしれません。その時はぜひ、露伴のように好奇心を持って、あるいは徐倫のように強い意志を持って、その逸品を手に取ってみてください。
ハイブランドを纏うということは、そのブランドが持つ歴史と誇りを身に付けるということです。ジョジョのキャラクターたちが教えてくれた「黄金の精神」を、GUCCIの服を通して体現する。そんな贅沢な楽しみ方ができるのは、このコラボレーションを愛したファンの特権なのですから。
今回の記事を通じて、少しでもあの時の興奮が蘇り、皆さんの「ジョジョ愛」と「ファッション愛」がさらに加速することを願っています。
アリーヴェ・デルチ!(さよならだ)

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