「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を語る上で、絶対に外せない「伝説」が存在することをご存知でしょうか。現在、多くのファンが親しんでいるのは2012年から始まったTVアニメシリーズ(制作:david production)ですよね。しかし、それよりもずっと前、1990年代から2000年代初頭にかけて、一部の熱狂的なファンを唸らせたもう一つのアニメ化作品がありました。
それが「ジョジョの奇妙な冒険 OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)」です。
「ジョジョOVAとは一体何なのか?」「今のTVアニメと何が違うの?」そんな疑問を持つ方のために、今回はその独特すぎる魅力や、今から視聴するための具体的な方法、そして二度と実現不可能なほど豪華なキャスト陣について、徹底的に深掘りしていきます。
そもそもジョジョOVAとは?制作の歴史と特殊な構成
ジョジョの第3部「スターダストクルセイダース」を映像化したこのOVAシリーズは、実は2つの時期に分かれて制作されました。ここが少し複雑なのですが、物語の順番通りに作られたわけではないのです。
1993年版:衝撃の「後半」からスタート
最初にリリースされたのは1993年から1994年にかけての全6話。驚くべきことに、物語のクライマックスである「エジプト上陸後」から物語が始まります。イギーの登場、ヴァニラ・アイスとの死闘、そしてDIOとの最終決戦。ファンが最も見たい部分を、当時の最高技術で叩きつけたのがこの1993年版です。
2000年版:補完された「前半」の旅路
その後、数年の空白を経て2000年から2002年にかけて制作されたのが、物語の序盤を描く全7話の「Adventure」シリーズです。日本での承太郎と花京院の出会いから、エジプトへ向かう道中が描かれました。
つまり、全13話を時系列順に観るなら「2000年版(1〜7話)→1993年版(8〜13話)」という流れになります。制作会社は「A.P.P.P.(アナザー・プッシュ・ピンプ・プランニング)」。今のアニメとは全く異なる、重厚でシリアスな空気感が漂っています。
TVアニメ版との決定的な違い:演出・作画・ロードローラー
今のTVアニメ版が「原作の完全再現」を目指しているのに対し、OVA版は「ジョジョを映画的なリアリズムで再構築する」という方向性を取っています。そのため、ファンなら驚くような違いがいくつもあります。
圧倒的な劇画調とリアリズム
OVA版の画面は、とにかく「暗くて渋い」のが特徴です。キャラクターの筋肉の陰影、エジプトの乾燥した空気感、服のシワに至るまで、実写映画のような密度で描き込まれています。背景美術のクオリティも凄まじく、ただの「アニメ」の枠を超えた芸術性すら感じさせます。
また、特筆すべきは「無音」の使い方です。TVアニメ版が派手なBGMや擬音(ゴゴゴ…など)を多用するのに対し、OVA版はあえて音を消し、環境音や足音だけで緊張感を演出します。これが、いつスタンド攻撃を受けるかわからないという心理的恐怖を見事に表現しているんです。
「ロードローラー」ではなく「タンクローリー」
原作ファンが最も衝撃を受けた改変の一つが、DIOが承太郎に叩きつける物体です。原作やTVアニメではおなじみの「ロードローラー」ですが、1993年版のOVAではなんと「タンクローリー」に変更されています。
なぜ変更されたのか? それは「爆発による視覚的な迫力」を優先したためだと言われています。タンクローリーが爆発し、炎に包まれる承太郎。この独自の演出は、当時のスタッフがいかに「映像としての衝撃」を重視していたかを物語るエピソードです。
伝説の豪華キャスト!OVA版だけで聴ける「渋いジョジョ」
OVA版の魅力として語り継がれているのが、今の時代ではまず揃えることが不可能な超豪華声優陣です。TVアニメ版のキャストも素晴らしいですが、OVA版は「大人の男の渋さ」が際立っています。
- 空条承太郎(CV:小杉十郎太)小野大輔さんの承太郎が「熱いヒーロー」なら、小杉さんの承太郎は「冷徹なプロフェッショナル」。低く響く声が、高校生離れした承太郎の威圧感を完璧に表現しています。
- DIO(CV:田中信夫)子安武人さんのハイテンションなDIOとは対照的に、田中信夫さんのDIOは「静かなる絶対悪」。落ち着いたトーンで淡々と絶望を突きつけてくる演技は、鳥肌が立つほどの恐怖を感じさせます。
- ジョセフ・ジョースター(CV:大塚周夫)伝説の名優・大塚周夫さんが演じるジョセフは、酸いも甘いも噛み分けた「老練な策士」そのもの。孫の承太郎を見守る眼差しと、いざという時の判断力の鋭さが声だけで伝わってきます。
- 花京院典明(CV:鈴置洋孝)「機動戦士ガンダム」のブライト・ノア役などで知られる鈴置さんによる花京院。理知的で少し影のあるキャラクター性が、その美声によってさらに深められています。
このほか、ポルナレフ役に森功至さん、アヴドゥル役に小林清志さん(次元大介役でおなじみ)と、まさにレジェンド級の布陣。この声の演技を聴くだけでも、OVA版を観る価値があると言っても過言ではありません。
今からジョジョOVAを視聴する方法はあるのか?
さて、ここまで読んで「そんなにすごいのなら今すぐ観たい!」と思った方も多いはず。しかし、ここで一つ大きな壁が立ちはだかります。実は、ジョジョOVAは現在、非常に視聴が困難な「幻の作品」になりつつあるのです。
サブスク配信がほとんどない理由
2026年現在、NetflixやU-NEXT、Amazonプライム・ビデオといった主要な動画配信サービスにおいて、ジョジョOVAはラインナップに含まれていません。これには制作権利の問題や、過去に演出上のトラブルで出荷停止になった経緯などが複雑に絡んでいるようです。
確実な視聴方法は「宅配レンタル」
今から手軽に、かつ安全に視聴するための最善策は、TSUTAYA DISCASなどの宅配DVDレンタルサービスを利用することです。
ネット配信はされていなくても、全国の倉庫に眠っているDVDを郵送してもらう形であれば、今でも全13話を鑑賞することが可能です。特に「1993年版」の後半エピソードは、映像の迫力を存分に味わうためにDVDでの視聴を強くおすすめします。
また、中古市場でDVD-BOXを探すという手もありますが、現在は廃盤となっておりプレミアム価格がついていることが多いため、まずはレンタルでチェックするのが賢い選択でしょう。
まとめ:ジョジョOVAとは?TVアニメ版との違いや視聴方法、豪華キャストまで徹底解説!
改めて振り返ってみると、ジョジョOVAは単なる「古いアニメ」ではありません。それは、北久保弘之氏や今敏氏といった、後に日本アニメ界を背負って立つ才能たちが、荒木飛呂彦先生の「ジョジョ」という宇宙を全力で解釈し、映像化した一つの結晶なのです。
TVアニメ版が「原作への愛」だとしたら、OVA版は「アニメーションとしての挑戦」。
- 映画のようなシリアスな演出を楽しみたい
- レジェンド声優たちの重厚な演技に浸りたい
- タンクローリーが爆発するDIO戦を目撃したい
そんな方は、ぜひ宅配レンタルなどを駆使して、この伝説の13話を体験してみてください。きっと、あなたの知っている「ジョジョ」の世界が、より一層深く、色濃いものになるはずです。
今のデジタルアニメでは決して出せない、あの時代のセル画に宿る「執念」を、その目で確かめてみてはいかがでしょうか。

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