『ジョジョの奇妙な冒険 第1部 ファントムブラッド』を読み返していると、強烈なインパクトを残して去っていく脇役たちがたくさんいますよね。その中でも、短時間の登場ながら「生理的な恐怖」を読者に植え付けたキャラクターといえば、ジョジョのアダムスではないでしょうか。
物語の舞台がイギリスの田舎町「風の騎士たちの町(ウインドナイツ・ロット)」に移った直後、不気味な存在感を放っていた彼。今回は、アダムスの正体や恐ろしい能力、そして意外な元ネタについて、ジョジョ愛を込めて深掘りしていきます!
突如現れた不気味な農夫!アダムスの正体とは?
ジョナサン・ジョースター一行が、ディオを追ってウインドナイツ・ロットに到着した際、最初に出会った住人がアダムスでした。
見た目はごく普通の、少し頑固そうな中年の農夫。しかし、その正体はすでにディオの手によって吸血鬼の配下となった**「屍生人(ゾンビ)」**だったのです。
アダムスの恐ろしさは、単なる怪物としての力ではなく「人間になりすます知能」にありました。ジョナサンたちが町に入ったとき、彼はごく自然にそこに存在し、あたかも生きた人間であるかのように振る舞っていました。
ジョジョの世界におけるゾンビは、理性を失った獣のようなタイプも多いですが、アダムスは「獲物を油断させてから仕留める」という、狡猾なハンターのような性質を持っていたのが特徴です。
ポコを震え上がらせた「にがい薬」の恐怖
アダムスを語る上で欠かせないのが、地元の少年・ポコとの関係です。ポコにとってアダムスは、ゾンビになる前は「近所の知り合いのおじさん」だったはず。だからこそ、その豹変ぶりはトラウマ級の恐怖を演出しました。
ポコが姉を助けるために勇気を出して行動しようとした際、アダムスは彼を引き留め、冷酷な言葉を投げかけます。
「オメーのこと牛小屋にとじこめてにがい薬のませてやるとよォ!」
このセリフ、一見すると近所の子供を叱るおじさんの小言のようにも聞こえますが、その実はポコを恐怖で支配し、逃げ出さないようにするための脅しでした。
さらに、アダムスの身体的特徴で最も記憶に残るのは、その**「異常に長い舌」**です。ポコの背後に回り込み、耳元で囁きながら、蛇のように伸びる舌でポコの血を吸おうとするシーンは、初期ジョジョ屈指のホラー演出と言えるでしょう。
ジョナサンの洞察力が光る!アダムスのあっけない最期
アダムスはポコを人質のように扱い、ジョナサンたちの隙を突こうとしましたが、相手が悪すぎました。ジョナサン・ジョースターは、波紋を習得し、人間を超越した感覚を身につけつつありました。
ジョナサンは、アダムスが襲いかかってくる前から、彼の「呼吸音」や「気配」が人間のものではないことを見抜いていたのです。
アダムスが本性を現し、ポコに襲いかかった瞬間、ジョナサンは迷わず反撃に出ます。波紋を流し込むまでもなく、その圧倒的な身体能力でアダムスの舌を掴み、地面に叩きつけました。
最終的にアダムスは、ジョナサンに頭部を完全に踏み潰され、文字通り「消滅」することになります。ディオの刺客としては前座のような存在でしたが、彼を瞬殺したことで、ジョナサンの成長と強さが際立つ結果となりました。
名前の由来はあのロックスター?アダムスの元ネタを考察
ジョジョといえば、登場人物の多くに洋楽アーティストやバンド名の元ネタがあることで有名ですよね。アダムスの名前の由来も、世界的なミュージシャンから取られています。
そのモデルは、カナダ出身のロックシンガー、ブライアン・アダムスです。
1980年代を代表するスターであり、ハスキーボイスで情熱的なラブソングを歌う彼のイメージと、作中の不気味なゾンビであるアダムスには、正直なところ共通点はほとんどありません。
しかし、この「爽やかなロックスターの名前を、あえてグロテスクな敵キャラにつける」という荒木飛呂彦先生の遊び心こそが、ジョジョという作品の魅力でもあります。
もしブライアン・アダムスの名曲を聴きながらジョジョの奇妙な冒険 第1部を読み返してみたら、そのギャップに少しニヤリとしてしまうかもしれませんね。
脇役ながらファンに愛されるアダムスの魅力
アダムスは、物語全体で見ればほんの数ページしか登場しないキャラクターです。しかし、ファンの間では今でも「あのベロの長いゾンビ」として語り草になっています。
その理由は、単なる敵役としての怖さだけでなく、彼の放った「にがい薬」というフレーズの独特な言語感覚にあるのではないでしょうか。
「殺してやる」や「食ってやる」といった直接的な表現ではなく、子供が一番嫌がる「にがい薬」という言葉を使って心理的に追い詰める。この妙に現実味のある悪意こそが、アダムスというキャラクターを記憶に刻み込んでいるのです。
また、アニメ版では声優の高橋英則さんが、アダムスの不気味さと狡猾さを絶妙な演技で表現しており、原作以上の存在感を放っていました。映像で見るアダムスの舌の動きは、より一層の嫌悪感(褒め言葉です!)を視聴者に与えてくれました。
ジョジョのアダムスから学ぶ「1部のホラー要素」
『ジョジョの奇妙な冒険』は、部を重ねるごとに特殊能力(スタンド)のバトル漫画へと進化していきますが、第1部に関しては「吸血鬼とゾンビによるホラー作品」という側面が非常に強いです。
アダムスというキャラクターは、そのホラー要素を象徴する存在でした。「昨日まで隣人だった人間が、実は化け物に入れ替わっているかもしれない」という恐怖。これは古典的なホラー映画の手法でもありますが、それをイギリスの荒野という舞台で見事に描き切っています。
ポコという守るべき対象がいる中で、正体を隠した敵が間近に迫っている緊迫感。アダムスとの遭遇シーンは、ジョナサンの勇気と冷静さを試すための、重要な試練だったと言えるでしょう。
まとめ:ジョジョのアダムスが残した爪痕
いかがでしたでしょうか。
ジョジョのアダムスは、第1部の初期に登場した小悪党ではありますが、そのビジュアルのインパクトと独特なセリフ回しによって、読者の心に深く残るキャラクターとなりました。
- 人間になりすましていたディオの刺客(ゾンビ)
- ポコを恐怖で支配しようとした「にがい薬」の脅し
- ブライアン・アダムスという豪華な元ネタとのギャップ
- ジョナサンの圧倒的な力を見せつけるための踏み台としての役割
これらを知った上で改めて第1部を読み返すと、アダムスの登場シーンがより一層味わい深く感じられるはずです。
ジョジョの世界には、彼のような魅力的な脇役が数多く存在します。メインキャラクターだけでなく、こうした「一瞬の輝き(と不気味さ)」を放つサブキャラに注目してみるのも、ジョジョを楽しむ醍醐味ですね。
あなたもぜひ、この機会にジョジョの奇妙な冒険 文庫版を手にとって、アダムスの長い舌と、ジョナサンの勇姿を再確認してみてください!

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