ジョジョのコマ割りはなぜ凄い?荒木飛呂彦の漫画術と視線誘導の秘密を徹底解説!

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漫画という表現媒体において、ストーリーやキャラクターと同じくらい重要なのが「コマ割り」です。しかし、これほどまでに「コマ割りそのもの」が芸術として語られる作品は、世界中を探しても『ジョジョの奇妙な冒険』の他にないでしょう。

「ジョジョの誌面は迫力がすごいけれど、実はどういう仕組みで描かれているの?」

「なぜあんなに複雑なポーズなのに、スラスラ読めてしまうのか?」

そんな疑問を持つ方のために、今回は漫画家・荒木飛呂彦先生が仕掛ける「視線誘導」の魔術と、読者を物語に引き込む緻密な計算について深掘りしていきます。これを読めば、次にジョジョを読み返す時の感動が何倍にも膨らむはずです。


読者の目を完璧にコントロールする「視線誘導」の基本

ジョジョの誌面を開くと、まず目に飛び込んでくるのは強烈なキャラクターと独特な擬音ですよね。一見すると情報量が多くて目が回りそうになりますが、実は読者の視線は荒木先生の手のひらの上で完璧に転がされています。

日本の漫画は、基本的に「右上から左下」に向かって視線が流れるように作られています。荒木先生はこの基本ルールを徹底的に守りつつ、さらに「加速」させるテクニックを駆使しています。

誘導の起点を作るキャラクターの指先と視線

ジョジョの登場人物たちは、よく印象的なポーズをとっています。これを「ジョジョ立ち」と呼びますが、実はこのポーズ、単にかっこいいだけではありません。キャラクターの「指先」や「視線」が、次に読むべきコマやセリフの方向を正確に指し示しているのです。

例えば、右上のコマで承太郎が指を差せば、読者の目は自然とその指の延長線上にある左下のコマへと移動します。このように、絵そのものが「次はここを見てください」という矢印の役割を果たしているため、読者は迷うことなくページをめくることができるのです。

枠線を突き抜ける「はみ出し」の効果

ジョジョでは、キャラクターの腕や武器がコマの枠線を突き抜けて描かれることが多々あります。これは画面に奥行きと立体感を与えるだけでなく、視線を次のコマへ「押し出す」物理的なガイドラインになっています。

枠を壊すことで生まれる「動」のエネルギーが、静止画であるはずの漫画に圧倒的なスピード感をもたらしているわけですね。


独自の「荒木割り」が生み出す緊張感と芸術性

一般的な漫画のコマ割りは、四角い枠が整然と並ぶことが多いですが、ジョジョは違います。荒木先生独自のコマ構成、いわゆる「荒木割り」には、読者の心理を揺さぶる仕掛けが満載です。

斜めの線がもたらす「不安」と「スピード」

ジョジョのバトルシーンを見返してみてください。コマの区切り線が垂直や水平ではなく、斜めに引かれていることに気づくはずです。

人間は水平な線を見ると安心し、斜めの線を見ると「不安定さ」や「動き」を感じる性質があります。スタンド攻撃を受ける緊迫した瞬間や、予期せぬ事態が起こるシーンでこの斜めのコマ割りを多用することで、読者は無意識のうちにキャラクターと同じ緊張感を共有することになります。

黄金比に基づいた完璧なレイアウト

荒木先生はルネサンス美術を深く研究されており、画面構成に「黄金比」を取り入れていることでも有名です。第7部『スティール・ボール・ラン』では「黄金の回転」がテーマになりましたが、それは物語の中だけの話ではありません。

ページ全体のコマの配置、キャラクターの重心、そして背景のパース(遠近法)に至るまで、美しく安定して見える比率が計算されています。だからこそ、どれだけ奇抜な構図であっても、私たちの目には「バラバラ」ではなく「一枚の完成された絵」として美しく映るのです。


擬音とロゴがコマの一部として機能するデザイン術

ジョジョを語る上で欠かせないのが「ゴゴゴ」「ドドド」「メメタァ」といった独特の擬音(オノマトペ)です。これらもまた、コマ割りの重要なパーツとして機能しています。

空間の密度を調節するタイポグラフィ

ジョジョの擬音は、単なる「音の説明」ではありません。文字自体が背景の一部として描き込まれ、空間の密度をコントロールしています。

例えば、静まり返った不気味な廊下で「ゴゴゴ」という文字が空間を埋め尽くすように配置されていれば、読者はそこに「重圧感」や「殺気」を感じ取ります。文字がコマの境界線をまたいで配置されることで、複数のコマにまたがる時間の経過や、空間の連続性を表現することもあります。

読みやすさを支えるセリフの配置

文字情報の扱いも秀逸です。ジョジョはモノローグ(心の声)や状況説明のテキストが非常に多い漫画ですが、それが絵を邪魔していると感じることは少ないはずです。

それは、テキストボックスの形や配置が、視線誘導のルート上に完璧に組み込まれているからです。絵を読み、次に文字を読み、また次の絵へと流れるサイクルが、一つの大きな円を描くように構成されています。


漫画術の極致!「溜め」と「解放」のダイナミズム

ジョジョの面白さは、情報の「密度」のコントロールにあります。

小さなコマで状況を刻み、大ゴマで爆発させる

バトル中の駆け引きでは、あえて小さなコマを連続させることがあります。これは読者の視線移動を細かく刻むことで、時間の流れを遅く感じさせ、じわじわと追い詰められるような「溜め」を作る演出です。

そして、能力の正体が判明した瞬間や、逆転の「オラオラ」が炸裂する瞬間、ページいっぱいの大ゴマや見開きで一気に視覚情報を解放します。この緩急の差が、読者にカタルシス(解放感)を与え、物語の熱量を一気に引き上げるのです。


まとめ:ジョジョのコマ割りはなぜ凄い?荒木飛呂彦の漫画術と視線誘導の秘密を徹底解説!

ここまで見てきた通り、『ジョジョの奇妙な冒険』のコマ割りは、単なる奇抜なデザインではありません。それは、読者の視線を1ミリ単位で誘導し、心理的な緊張と緩和をコントロールするために磨き上げられた「究極の漫画術」です。

荒木飛呂彦先生が、西洋美術の伝統と日本の漫画独自の文法を融合させたことで、ジョジョは読むたびに新しい発見がある、立体的なエンターテインメントへと昇華されました。

もし、あなたがこれからジョジョを読み始める、あるいは読み返そうとしているなら、ぜひキャラクターの「指先」や「コマの傾き」に注目してみてください。そこには、物語を最高に楽しませるための、荒木先生からの「招待状」が隠されていることに気づくはずです。

漫画表現の可能性を広げ続けるジョジョの世界。その凄みは、コマとコマの間に流れる、計算し尽くされた情熱にこそ宿っているのです。

もし作画や構図をさらに深く学びたい方は、荒木先生の著書を手に取ってみるのも良いかもしれません。漫画という魔法の仕組みが、より鮮明に見えてくることでしょう。

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