「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を語る上で、切っても切り離せないのが「洋楽」というエッセンスですよね。作者の荒木飛呂彦先生が無類の音楽好きであることは有名ですが、その中でも特にアニメファンと原作ファンの双方に強烈なインパクトを与えたアーティストがいます。
それが、オーストラリア出身のデュオ、**サヴェージ・ガーデン(Savage Garden)**です。
ある人は「第4部のアニメのエンディング曲」として彼らを知り、またある人は「第6部に登場する一羽の鳩」の名前としてそのフレーズを記憶刻んでいることでしょう。この記事では、ジョジョという壮大な物語の中で、サヴェージ・ガーデンという名前がどのような役割を担い、なぜこれほどまでにファンの心を掴んで離さないのか、その魅力を深掘りしていきます。
90年代を席巻したデュオ「サヴェージ・ガーデン」とは?
まずは、元ネタとなったアーティストについておさらいしておきましょう。サヴェージ・ガーデンは、ボーカルのダレン・ヘイズと、インストゥルメンタル担当のダニエル・ジョーンズの2人からなるユニットです。
彼らがデビューしたのは1990年代半ばのこと。透き通るようなハイ・トーンボイスと、キャッチーでありながらどこか切なさを感じさせるメロディラインで、瞬く間に世界中のチャートを席巻しました。
日本でもラジオやテレビのBGMで頻繁に流れていたので、「名前は知らなくても曲を聴けばわかる!」という方も多いはず。特にデビューシングルの『I Want You』や、全米1位を記録したバラード『Truly Madly Deeply』は、今聴いても全く色褪せないマスターピースです。
彼らの音楽性は、エレクトロ・ポップの軽快さと、ロックの力強さが絶妙にブレンドされています。この「新しさと懐かしさが同居する感覚」こそが、ジョジョという作品の世界観と共鳴した最大の理由かもしれません。
第4部アニメED『I Want You』がもたらした衝撃
2016年、TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』が放送開始された際、エンディングテーマにサヴェージ・ガーデンの『I Want You』が起用されたことは大きな話題を呼びました。
1999年の杜王町という時代設定
第4部の舞台は1999年の日本、M県S市杜王町です。この「1999年」という設定が非常に重要で、当時リアルタイムで世界的に大ヒットしていたのがまさにサヴェージ・ガーデンでした。
アニメ制作陣は、当時の空気感を再現するためにこの楽曲を選んだといいます。イントロの速いテンポの刻みと、サイバーな雰囲気を纏ったサウンド。それが、杜王町という一見平和な町に潜む「不気味な殺人鬼の気配」や「スタンド使い同士の奇妙な日常」に見事にマッチしていました。
スタイリッシュな映像演出
ED映像では、物語の舞台となる街並みがグラフィカルに描かれ、キャラクターたちがリズムに合わせて登場します。疾走感あふれるサビの部分で、主人公・東方仗助たちが歩く姿を見て、「これこそジョジョだ!」と膝を打ったファンも多かったのではないでしょうか。
このタイアップを機に、日本盤のベストアルバムサヴェージ・ガーデンのジャケットを荒木先生が描き下ろすという、ファン垂涎の公式コラボレーションも実現しました。
第6部「ストーンオーシャン」に登場するサヴェージ・ガーデンの正体
さて、音楽としての接点のほかに、原作漫画の中でも「サヴェージ・ガーデン」という言葉は重要な役割を持って登場します。第6部『ストーンオーシャン』を読んだ方なら、忘れられないあのシーンがあるはずです。
承太郎のDISCを運ぶ「伝書鳩」
第6部の序盤、空条徐倫は父である承太郎の「記憶」と「スタンド」のDISCを取り戻すために奔走します。奪還したDISCを、刑務所の外にいるスピードワゴン財団(SPW財団)に渡さなければなりませんが、厳重な監視の中では容易ではありません。
そこで活用されたのが、SPW財団によって高度な訓練を施された「伝書鳩」でした。この鳩に与えられたコードネームこそが「サヴェージ・ガーデン」なのです。
サヴェージ・ガーデン作戦の緊張感
徐倫は、敵のスタンド使いによる妨害を潜り抜け、中庭で待つ鳩のもとへDISCを届けようとします。この一連のシークエンスは「サヴェージ・ガーデン作戦」と呼ばれ、読者に手に汗握る緊張感を与えました。
なぜ、あえて鳩の名前に人気バンドの名前を冠したのか。それは、一見するとただの鳥に過ぎない存在が、実は世界の運命(承太郎の命)を左右するほど重要なミッションを背負っているという、ジョジョ特有の「ギャップの美学」が反映されているように感じられます。
荒木飛呂彦先生が描く「音楽と物語」のリンク
ジョジョの物語において、音楽は単なるBGMや名前の借用以上の意味を持っています。サヴェージ・ガーデンの場合も、その歌詞やユニットの持つイメージが、作品のテーマと密接にリンクしている部分があります。
「欲求」と「運命」の交差
例えば『I Want You』の歌詞には、対象に対する強い渇望や、止まらない思考の渦が描かれています。これは、自分たちの運命を変えようと足掻く徐倫や、真実を追い求める第4部の面々の情熱とも重なります。
また、サヴェージ・ガーデンという言葉自体を直訳すれば「野蛮な庭」となります。これは、美しく整えられているようでいて、その実態は弱肉強食のスタンドバトルが繰り広げられる「杜王町」や「グリーン・ドルフィン・ストリート刑務所」そのものを暗喩しているようにも読み取れます。
ジョジョファンなら聴いておきたいサヴェージ・ガーデンの名曲
もしあなたがアニメのEDで『I Want You』を好きになったのなら、ぜひ他の楽曲もチェックしてみてください。彼らの音楽を知ることで、ジョジョの世界観がより立体的に見えてくるはずです。
- Truly Madly Deeply:至高のラブソングです。第4部の平穏な日常の裏側にある、深い愛情を感じさせます。
- The Animal Song:野生の感覚を歌ったこの曲は、どこか動物が活躍するジョジョのエピソードを彷彿とさせます。
- To The Moon And Back:孤独と救いをテーマにした曲で、徐倫の心情に寄り添うような切なさがあります。
これらの名曲が収録されたアルバムSavage Garden Albumを聴きながら原作を読み返すと、新しい発見があるかもしれません。
ジョジョの「サヴェージ・ガーデン」とは?元ネタから6部の活躍までまとめ
ここまで見てきた通り、サヴェージ・ガーデンという名前は、ジョジョの歴史において非常に多層的な意味を持っています。
第4部では、1999年という時代の熱狂を伝える**「スタイリッシュな音楽」として。 第6部では、絶望的な状況から希望を繋ぐ「勇敢な伝書鳩」**として。
この二つの要素が、数十年の時を超えて一つの作品の中で共鳴している点は、ジョジョというシリーズが持つ奥深さを象徴しています。音楽から入ったファンも、漫画から入ったファンも、この「サヴェージ・ガーデン」というキーワードを通じて、荒木先生が愛したポップ・カルチャーの風を感じることができるでしょう。
次にジョジョのアニメを観る時、あるいはコミックスのページをめくる時、その背後に流れるメロディに耳を傾けてみてください。きっと、運命の糸で結ばれた音楽と物語の素敵な関係に、改めて感動するはずです。
もし、さらに深く彼らの音楽に触れたいと感じたら、まずはサヴェージ・ガーデン ベストを手に取ってみることをおすすめします。ジョジョの「サヴェージ・ガーデン」をきっかけに、あなたのプレイリストに新しい彩りが加わることを願っています。

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