『ジョジョの奇妙な冒険 第3部』を読んでいて、もっとも「やられた!」と思わされたシーンはどこでしょうか?承太郎の圧倒的なパワー?それともDIOの絶望的な能力?
もちろんそれらも最高ですが、古参ファンの間で語り草となっているのが、刺客ズィーズィーによるあの衝撃的なメタ発言です。
「勝ったッ!第3部完!」
このセリフ、今ではネットミームとして定着していますが、改めて振り返るとズィーズィーという男は、ジョジョの敵キャラの中でも非常にユニークで、かつ恐ろしい存在でした。今回は、謎多き本体の素顔から、愛車(スタンド)の元ネタ、そして歴史に残る名言の裏側まで、徹底的に深掘りしていきます!
ズィーズィーとは何者?車の中に隠された「腕」の正体
ジョジョ第3部「スターダストクルセイダース」のパキスタン編。荒野の峠道で承太郎一行を執拗に追い詰めたのがズィーズィーです。
まず、彼の初登場時のインパクトを思い出してください。読者が目にするのは、車の窓から突き出された、血管が浮き出るほどパンパンに膨れ上がった筋骨隆々の「腕」だけ。この腕があまりに強そうだったため、当時は「どんな大男が乗っているんだ?」と誰もが戦慄しました。
しかし、いざ正体が暴かれてみると……。
車から引きずり出された本体は、後頭部が禿げ上がり、お世辞にも強そうとは言えない小太りの男でした。あのムキムキの腕は、実は「腕相撲で鍛え上げただけ」という、なんともシュールな設定(あるいはスタンドによる虚飾)だったのです。
この「見た目のハッタリ」こそがズィーズィーの本質であり、彼の卑屈で執念深い性格を象徴しています。強い自分を演出するために腕だけを鍛え、本体は安全な車内に引きこもる。まさに、匿名性の陰に隠れて攻撃してくる現代のSNSトラブルにも通じるような、嫌〜なリアリティを持ったキャラクターと言えるでしょう。
スタンド「ホイール・オブ・フォーチュン(運命の車輪)」の驚異
ズィーズィーが操るスタンドは、タロットカードの10番目を暗示する「ホイール・オブ・フォーチュン(運命の車輪)」です。
このスタンドの最大の特徴は、実体のある「車」にスタンドパワーを付加して強化する「物質同化型」であること。一般人にも見えるため、単なる交通トラブルに見せかけた暗殺には最適の能力でした。
その能力は、単なる「改造車」の域を遥かに超えています。
- 物理法則を無視した走行: 垂直に近い崖を登り、地中に潜り、あわやという場面で承太郎たちの背後を取る。
- 変幻自在のボディ: 車体を鋭利なトゲだらけに変化させたり、狭い隙間を通り抜けるために平べったくなったりと、状況に合わせてフォルムを変えます。
- ガソリン弾の連射: 指先(あるいは車体の一部)からガソリンを弾丸のように発射。これが皮膚に触れれば、火花一つでターゲットを焼死させることができます。
特にガソリンを浴びせる攻撃は、直接的な破壊力を持つスタープラチナに対して「触れさせずに勝つ」ための極めて合理的な戦法でした。
ちなみに、この「得体の知れない車がどこまでも追ってくる恐怖」の演出は、スティーヴン・スピルバーグ監督の初期の名作映画『激突!』がモチーフになっていると言われています。荒木飛呂彦先生の映画愛が、このスリリングなカーチェイス戦に凝縮されているんですね。
もしあなたがジョジョのフィギュアや関連グッズを探しているなら、ジョジョの奇妙な冒険 超像可動などでチェックしてみると、スタンド使いの造形の細かさに改めて驚かされるはずです。
「勝ったッ!第3部完!」――なぜこのセリフは伝説になったのか
ズィーズィーを語る上で、この名言を外すことは絶対にできません。
承太郎にガソリンを浴びせ、火を放ち、炎に包まれる宿敵の姿を見た瞬間、ズィーズィーは高らかに叫びました。
「勝ったッ!第3部完!」
このセリフが衝撃的だった理由は、キャラクターが物語の構造そのものに言及する「メタ発言」だったからです。普通、漫画のキャラは自分が「第3部」という物語の中にいるなんて知りません。それをあえて口にさせることで、ズィーズィーの絶頂感と、読者の「まさかここで終わるわけないけど、どうなるんだ!?」という困惑を見事に煽りました。
しかし、そこは我らが空条承太郎。彼は地面に穴を掘って火をやり過ごし、服を脱ぎ捨てて(本人いわく「やれやれ、いい服だったのに」)生還していました。
結果として、ズィーズィーはスタープラチナのオラオララッシュを浴びて再起不能(リタイア)。皮肉にも、「完」したのは物語ではなく、ズィーズィー自身の出番だったというわけです。
この潔いまでの「フラグ建築」と「即回収」の流れは、ジョジョにおける敵キャラの様式美として、今なお多くのファンに愛されています。
ズィーズィーのモデル「ZZ Top」とロックな世界観
ジョジョの登場人物の多くは、有名なミュージシャンやバンドがモデルになっています。ズィーズィーの由来は、アメリカの伝説的ロックバンド「ZZ Top(ズィー・ズィー・トップ)」です。
ZZ Topといえば、胸まで届く長い髭とサングラス、そして何より「改造されたヴィンテージカー(ホットロッド)」がトレードマーク。彼らのミュージックビデオには必ずと言っていいほどカッコいい車が登場します。
ズィーズィー自身のルックスには長い髭はありませんが(むしろハゲ頭ですが)、車を武器として戦うスタイルや、どこかアメリカン・ニューシネマのような荒廃した空気感は、モデルとなったバンドのイメージをジョジョ流に解釈したものだと言えるでしょう。
こうした音楽ネタを知っていると、ジョジョの読書体験はさらに深まります。もし彼らの音楽を聴きながら読み返したいなら、ZZ Top Best Albumなどで、ズィーズィーの戦いのBGMにふさわしい曲を探してみるのも面白いかもしれません。
ズィーズィー戦が描いた「知略」の重要性
第3部の序盤から中盤にかけて、承太郎たちは数々の刺客と戦いますが、ズィーズィー戦は特に「地形と状況を利用した頭脳戦」の色が強いエピソードです。
単に力が強い方が勝つのではなく、「どうやって相手を自分の土俵(車での追いかけっこ)に引きずり込むか」というズィーズィーの戦略。そして、絶体絶命のピンチを「穴を掘って逃げる」というシンプルかつ大胆な発想で切り抜けた承太郎。
この一戦は、後の第4部や第5部でさらに複雑化していく「特殊能力バトル」の雛形になったとも言えます。派手な格闘シーンだけでなく、一瞬の油断が命取りになる心理的な駆け引き。これこそが、私たちがジョジョに熱中し続ける理由の一つではないでしょうか。
まとめ:ジョジョのズィーズィー徹底解説!「勝ったッ!第3部完!」の元ネタや能力の謎に迫る
いかがでしたでしょうか。
ズィーズィーは、一見すると「腕だけ太い変な男」で終わってしまうキャラクターかもしれません。しかし、その背後には映画『激突!』へのオマージュ、ZZ Topというロックの魂、そして漫画史に残るメタ的な名セリフが隠されていました。
「勝ったッ!第3部完!」
この一言に込められた、彼のあまりにも短かった黄金時代。次にジョジョ第3部を読み返すときは、ぜひパキスタンの荒野で必死に車を操っていた、あの卑屈で愛すべき小悪党の勇姿に注目してみてください。
ジョジョの世界は、こうした一癖も二癖もある脇役たちがいるからこそ、どこまでも深く、面白いのです。
もし、この記事を読んで「久しぶりに第3部を1巻から読み直したくなった」という方がいれば、ジョジョの奇妙な冒険 第3部 カラー版などで、あの鮮やかなカーチェイスを再体験してみてくださいね!

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