「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を語るうえで、絶対に外せない要素といえば何でしょうか?波紋?スタンド?それとも、あまりにも独特すぎるポージング「ジョジョ立ち」でしょうか。
もちろんそれらも重要ですが、ジョジョという唯一無二の世界観を支えているのは、視覚に直接突き刺さってくるような「擬音」の数々です。
その中でも、初期の第1部において読者の脳裏に強烈なインパクトを焼き付け、今なおネットミームとして愛され続けている言葉があります。
それが**「ズキュウウウン」**です。
今回は、この伝説的な擬音の正体から、あまりにも衝撃的な元ネタのキスシーン、そしてアニメ版で再現された「あの音」の秘密まで、その魅力を徹底的に掘り下げていきます。
「ズキュウウウン」の衝撃的な元ネタと状況
まずは、この擬音がどこで登場したのか、その「現場」を確認してみましょう。
元ネタは、シリーズの原点である第1部「ファントムブラッド」の序盤です。主人公ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)の恋人であるエリナ・ペンドルトンに対し、宿敵ディオ・ブランドーが強引にキスを奪うシーンで、この文字が大きく画面に踊りました。
普通、恋愛漫画や映画のキスシーンであれば「チュッ」や「パッ」といった、どこか甘酸っぱさや静寂を感じさせる音が使われるのが一般的ですよね。しかし、荒木飛呂彦先生が選んだのは、鼓膜を突き破らんばかりの「ズキュウウウン」でした。
このシーンの背景を知ると、なぜこれほどまでにバイオレンスな擬音が使われたのかがよく分かります。
ディオがエリナにキスをしたのは、彼女を愛していたからではありません。ジョナサンの唯一の心の支えであるエリナを汚し、ジョナサンの精神を完膚なきまでに叩きのめすための「攻撃」だったのです。
つまり、この「ズキュウウウン」は愛の音ではなく、相手の尊厳を土足で踏みにじる「侵略の音」であり、エリナの平穏な日常が破壊される「爆発音」でもあったわけです。
なぜ「ズキュウウウン」なのか?表現に込められた意味
ジョジョの擬音は、単なる環境音の再現ではありません。荒木先生は「その場の空気感」や「キャラクターが受けている心理的衝撃」を文字として視覚化することに長けています。
「ズキュウウウン」という文字を改めて眺めてみてください。
「ズ」という濁音から始まり、「キュ」という鋭い音、そして「ウウウン」という余韻。ここには、以下のようなニュアンスが凝縮されています。
- 精神的な貫通力: 弾丸が身体を貫くような、あるいは鋭利な刃物が突き刺さるような鋭さ。
- 圧倒的な優位性: ディオがエリナを力で抑え込み、逃げ場をなくしているという絶望的なパワーバランス。
- 静寂の打破: それまでの平穏な二人の関係が、一瞬にして修復不可能な形へと変えられてしまった衝撃。
もしこれが普通の「チュッ」だったなら、エリナが受けた辱めや、その後のジョナサンの激昂、そして読者が感じる「ディオという男の底知れない邪悪さ」は、ここまで伝わらなかったはずです。文字そのものがエネルギーを持って迫ってくる、まさにジョジョの本質が詰まった表現と言えるでしょう。
伝説の台詞「そこにシビれる!あこがれるゥ!」とのセット運用
この「ズキュウウウン」のシーンを語るうえで、絶対に欠かせない存在がいます。それはディオの取り巻きの少年たちです。
ディオがエリナの唇を奪った直後、見物していた彼らは手を叩いて大喝采を送ります。そこで放たれたのが、あのあまりにも有名な台詞です。
「おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!」
この一連の流れがセットになることで、「ズキュウウウン」は単なる効果音から、ネット上で多用される「様式美」へと昇華されました。
現代のSNSや掲示板でも、誰かが破天荒な行動をしたり、常人には真似できないような大胆な振る舞いをした際、この一連のやり取りがセットで引用されることがよくあります。
悪のカリスマとしてのディオの片鱗と、それを全肯定してしまう取り巻きたちの狂気。このコントラストが、擬音のインパクトをさらに強固なものにしているのです。
その後のエリナの対応が「ズキュウウウン」を完成させる
実は、このキスシーンには続きがあります。そして、その続きこそがエリナという女性の強さを描き、擬音の価値をさらに高めています。
ディオに唇を奪われ、泥まみれの辱めを受けたエリナ。普通なら泣き崩れて終わるところですが、彼女は違いました。彼女はすぐさま近くの水溜まりに駆け寄り、泥水で口をすすぎます。
この時の擬音がまた独特で、「ズピィーッ」という音と共に、彼女はディオの痕跡を拒絶しました。
「あんな汚らわしい男のキスなんて、泥水で洗った方がまだマシだ」という無言の抵抗。この毅然とした態度に、さしものディオも顔を真っ赤にして激昂します。
「ズキュウウウン」という暴力的な侵略に対し、エリナが精神の気高さで打ち勝った瞬間です。この対比があるからこそ、読者の心には「ズキュウウウン」という音がただのギャグではなく、ドラマチックな一場面として深く刻まれているのです。
アニメ版で再現された「ズキュウウウン」の音の正体
漫画で描かれた「ズキュウウウン」という文字。これを映像作品であるアニメでどう表現するかは、制作陣にとっても大きな挑戦だったはずです。
2012年から始まったTVアニメシリーズでは、このシーンに驚きの演出が加えられました。
実際に流れたのは、なんと「ギュイーン!」という強烈なエレキギターのスクラッチ音のような音色でした。
普通の生活音ではあり得ない、ロックでパンクなサウンド。これが画面に大きく表示される「ズキュウウウン」というフォントと重なり、視聴者に強烈な視覚・聴覚体験を与えたのです。
アニメ制作スタッフの「ジョジョ愛」が感じられるこの演出は、ファンの間でも「これこそがズキュウウウンの正解だ」と大絶賛されました。
現実的な「キスの音」を捨てることで、原作が持つ「衝撃」を120%再現することに成功した稀有な例と言えるでしょう。もし、このシーンを未見の方がいれば、ぜひ音響に注目して視聴してみてください。
日常生活やネットで見かける「ズキュウウウン」の使い方
今やこの言葉は、ジョジョの枠を超えて様々な場面で使われています。
例えば、SNSで自分の好きなアイドルやキャラクター(いわゆる「推し」)の素晴らしい写真が流れてきたとき、「ハートを射抜かれた」という意味で「ズキュウウウンときた!」と表現する人がいます。
本来は「汚辱」や「侵略」の音だったものが、時代を経て「衝撃的なときめき」を象徴する言葉へと変化していったのは非常に興味深い現象です。
また、漫画やイラストの二次創作などでも、キャラクターが勢いよく何かに衝突したり、衝撃的な告白をしたりするシーンで、オマージュとしてこの擬音が書き込まれることも珍しくありません。
ジョジョを知らない世代であっても、この語感の良さと勢いに惹かれ、なんとなく「すごい衝撃があったんだな」と理解させてしまうパワーが、この5文字には宿っているのです。
荒木飛呂彦先生の擬音哲学とジョジョの世界
「ズキュウウウン」以外にも、ジョジョには数多くの発明的な擬音が存在します。
- メメタァ: カエルを拳で叩いた時の、肉体と波紋が干渉する音。
- パパウ パウパウ: ツェペリさんが波紋の呼吸を整える際に出る音。
- ゴゴゴゴゴ: 何か不穏な気配や、圧倒的なプレッシャーが漂っている状態を示す音。
これらの擬音に共通しているのは、「耳で聞こえる音」を模写しているのではなく、「脳が感じている感覚」を言語化しているという点です。
荒木先生は、ホラー映画の演出や洋楽のビート、イタリアの芸術作品などから多くのインスピレーションを受けていると公言されています。
「ズキュウウウン」という音も、おそらく先生の脳内では、単なる唇の接触音ではなく、ディオという悪魔的な存在が放つ「禍々しいオーラ」が空気を切り裂く音として鳴っていたのではないでしょうか。
ジョジョを楽しむために欠かせない「音」の感性
ジョジョを読み進める際、これらの擬音を意識するだけで、物語への没入感は数倍に跳ね上がります。
文字として流し読みするのではなく、もし自分がその場にいたらどんな衝撃を感じるか、どんな音が頭の中で響くかを想像してみてください。すると、白黒の紙面からディオの冷徹な体温や、ジョナサンの熱い怒りがリアルに伝わってくるはずです。
もし、これからジョジョを読み始めようとしている、あるいはアニメを観ようとしているなら、まずはジョジョの奇妙な冒険 第1部をチェックして、伝説の始まりに触れてみることをおすすめします。
特に第1部は、後のスタンドバトルとは異なる「人間ドラマ」の濃密さが魅力です。泥臭く、それでいて気高い人間たちの戦いの中に、この「ズキュウウウン」という一見風変わりな擬音がどれほど重要なスパイスとして機能しているかが理解できるでしょう。
まとめ:ジョジョの「ズキュウウウン」とは?元ネタのキスシーンや意味、アニメの音まで徹底解説!
さて、ここまでジョジョ屈指の名擬音「ズキュウウウン」について深く掘り下げてきました。
一見すると、ただの奇妙な擬音に思えるかもしれません。しかし、その裏側にはディオという男の狡猾なキャラクター性、エリナという女性の揺るぎないプライド、そしてジョナサンの激しい情熱が複雑に絡み合っています。
この5文字は、単なる音の説明ではなく、第1部における「善と悪」の衝突を象徴する重要なキーワードだったのです。
「ズキュウウウン」の本当の意味を知ることで、ジョジョという作品が持つ「人間讃歌」のテーマが、より鮮明に浮かび上がってきたのではないでしょうか。
次にこの言葉を目にしたときは、ぜひあのディオの冷笑と、エリナの凛とした横顔、そしてアニメ版の激しいギターサウンドを思い浮かべてみてください。きっと、ジョジョの世界がより一層「シビれる」ものになるはずです。
最後に、ジョジョの世界をもっと深く知りたい方は、公式サイトやコミックスで他の擬音についても調べてみると、さらに面白い発見があるかもしれませんよ。
それでは、ジョジョの「ズキュウウウン」とは?元ネタのキスシーンや意味、アニメの音まで徹底解説!というテーマでお届けしました。あなたのジョジョライフが、より刺激的なものになることを願っています!

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