「ジョジョの奇妙な冒険」を読んだことがある人なら、一度は鏡の前で体をひねってみたことがあるのではないでしょうか。そう、あの伝説的なポージング「ジョジョ立ち」です。
単なる漫画のキャラクターのポーズだと思って侮ることなかれ。ジョジョ立ちは、美術解剖学、ファッション誌のモデル、そしてイタリア彫刻の要素が複雑に絡み合った、まさに「肉体の芸術」なのです。
今回は、初心者でも宴会やSNSで即実践できる簡単なものから、もはや人間をやめなければ不可能な超高難易度ポーズまで、その種類とやり方を徹底的に解説します。これを読めば、あなたも明日から「黄金の精神」をその身に宿せるはずですよ!
ジョジョ立ちとは?荒木飛呂彦先生が描く「静と動」の芸術
そもそも「ジョジョ立ち」とは、著者である荒木飛呂彦先生が描く、独特の捻りやパースがついたポージングを指します。1987年の連載開始当初からその片鱗は見えていましたが、シリーズが進むにつれて、よりファッショナブルで、かつ重力を無視したようなポーズへと進化していきました。
このポーズの最大の魅力は「不自然なまでの美しさ」にあります。普通、人間は立っているときにこれほどまで腰を入れ、首を傾け、指先を遊ばせることはありません。しかし、その「過剰な演出」こそが、キャラクターの強い意志や、スタンド使い同士の緊張感を表現しているのです。
ジョジョ立ちのルーツを探る:彫刻とファッションの融合
なぜあんなにも不思議なポーズが生まれたのか。その秘密は、荒木先生が愛する「イタリア・ルネサンス」と「ファッション誌」にあります。
ベルニーニの彫刻から学んだ「捻り」
荒木先生は、バロック期の彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの作品から多大な影響を受けています。ベルニーニの彫刻は、どの角度から見ても美しく、かつ激しい動きの一瞬を切り取ったような「螺旋状の捻り」が特徴です。ジョジョ立ちにおいて「腰と肩を逆方向にひねる」という動作が多いのは、この古典芸術の理論に基づいているからなのです。
ハイブランドのモデルが魅せる「ライン」
また、80年代から90年代にかけてのVOGUEやELLEといったファッション誌のモデルたちも重要なインスピレーション源です。服を美しく見せるための不自然なポージングや、手足の長いシルエットを強調する立ち振る舞いが、ジョジョのキャラクターたちに投影されています。まさに、古典芸術と現代ファッションのハイブリッドと言えるでしょう。
【初級編】誰でもすぐに再現できる代表的なジョジョ立ち
まずは「ジョジョ立ちをやってみたいけれど、体が硬いから不安……」という方に向けた、入門編のポーズをご紹介します。これらは重心が安定しているため、写真撮影や挨拶代わりにも最適です。
空条承太郎:不遜なる「指差し」と「帽子」
第3部の主人公、承太郎のポーズは最も有名です。
やり方は至ってシンプル。
- 片方の手をズボンのポケットに深く入れる。
- もう片方の手で帽子のつばを軽く触る、あるいは力強く前方を指差す。
- 顎をぐっと引き、視線は鋭く相手を射抜く。
- ポイントは「猫背気味に肩を上げること」。これにより、彼の持つ圧倒的な威圧感とクールな雰囲気を再現できます。
東方仗助:リーゼントを誇る「腰入れ」
第4部の仗助は、承太郎に比べて少し華やかな印象です。
- 足を肩幅より少し広めに開く。
- 腰を思い切り左か右に突き出す(サイドベントの動き)。
- 手首を柔らかく曲げ、顔の近くに持ってくる。この時、手のひらを自分に向けるのではなく、外側へ向けるようにスナップを効かせると、一気に「第4部らしさ」が際立ちます。
【中級編】体幹とバランスが必要な本格派ポーズ
少し慣れてきたら、筋力とバランス感覚が求められる中級ポーズに挑戦してみましょう。ここからは「ジョジョ立ち」特有の筋肉痛が始まります。
ジョナサン・ジョースター:顔を隠す「守護の構え」
第1部の単行本表紙などで見られる、手を顔の前に持ってくるポーズです。
- 右手を顔の正面に置き、手のひらを外側に向ける。
- 指を一本一本、節くれ立つように力強く曲げる。
- 膝を深く曲げ、重心をかなり低く落とす。
- 左手は後方の地面を指すように伸ばす。このポーズは、大腿四頭筋にかなりの負荷がかかります。紳士たるもの、脚力の鍛錬は欠かせません。
ジョルノ・ジョバァーナ:襟を掴む「黄金の精神」
第5部の主人公、ジョルノの象徴的なポーズです。
- 胸元の開いた服(の想定)の襟を、右手でグイッと掴む。
- 左手は腰に添え、肘を鋭角に突き出す。
- 両足をクロスさせ、つま先立ちに近い状態でバランスを取る。上半身のひねりと足元の不安定さが合わさることで、ジョルノ特有のしなやかさと気高さが表現されます。
【上級編】重力への反逆!難易度MAXのポージング
ここからは、特別な訓練(あるいはスタンド能力)が必要なレベルです。周囲の安全を確認してから行ってください。
ジャン・ピエール・ポルナレフ:驚異の「斜め立ち」
第3部のポルナレフが見せた、斜め45度に体を傾けるポーズです。
- 足を固定したまま、上半身を真横、あるいは斜め後ろに倒す。
- 片足立ちに近い状態で、もう片方の足は空中に浮かせる。物理法則を無視したこのポーズを完璧に再現するには、凄まじい腹筋と背筋、そして「壁などの支え」が必要になります。実際、公式の撮影などでも、ワイヤーや支柱を使って再現されることが多い「伝説のポーズ」です。
キラークイーン:静かなる爆弾の「猫足」
第4部のヴィラン、吉良吉影のスタンドが見せるポーズです。
- 両手の手首を内側に強く曲げ、胸の前で交差させるように配置。
- 膝を内側に入れ、極端な内股で立つ。
- 首をカクンと横に倒し、無機質な表情を作る。人間らしい動きを排除し、動物的かつ不気味なシルエットを作ることが成功の鍵です。
ジョジョ立ちを成功させるための3つの極意
ただ形を真似るだけでは、本物のジョジョ立ちにはなりません。そこに「魂(アニマ)」を込めるためのコツを伝授します。
- 「連動」ではなく「対抗」させるジョジョ立ちの基本は、右を向けば左にひねる、という対抗運動(コントラポスト)です。肩のラインと腰のラインをわざと平行にしないことで、画面の中に強いエネルギーが生まれます。
- 指先の表情にこだわる手は「第二の顔」です。指を揃えるのではなく、一本ずつ独立した動きをさせてください。中指と薬指をくっつけ、人差し指と小指を広げる……といった不自然な指の形が、ジョジョ特有の「メゴメゴした」質感を生みます。
- 「覚悟」を決めた表情ポーズが完璧でも、顔が緩んでいては台無しです。眉間に力を入れ、視線を一点に集中させる。あるいは、すべてを見透かしたような余裕の笑みを浮かべる。キャラクターになりきる「覚悟」こそが、最大の演出になります。
現代に息づくジョジョ立ち:最新のイベントや楽しみ方
2020年代に入っても、ジョジョ立ちの熱狂は衰えを知りません。アニメシリーズの完結や、第9部『The JOJOLands』の連載開始により、新しいポーズが次々と生まれています。
公式スポットでポーズを決める
東京や大阪で開催される「JOJO WORLD」などの期間限定イベントでは、キャラクターの等身大パネルや、ジョジョ立ちをより美しく撮影できる専用のフォトスポットが登場しています。最新の公式ビジュアルでは、より洗練された「引き算の美学」を感じさせるポーズも増えており、古参ファンから新規ファンまで楽しめる内容となっています。
SNSでの「再現動画」が熱い
TikTokやInstagramでは、音楽に合わせて一瞬でジョジョ立ちを切り替える動画が人気です。特にiPhoneなどの最新スマートフォンのカメラ機能を使えば、スローモーションや特殊エフェクトを駆使して、スタンドが出現しているかのような加工も容易にできます。
ジョジョ立ちを行う際の注意点:怪我に注意!
素晴らしい芸術には、時に痛みが伴います。ジョジョ立ちを練習する際は、以下の点に十分注意してください。
- 準備運動を忘れずに: 特に首、手首、腰、足首は念入りにストレッチしましょう。急激なひねりは腰痛の原因になります。
- 場所を選ぶ: 公共の場で突然ポルナレフ立ちをすると、周囲を驚かせるだけでなく、転倒して怪我をする恐れがあります。広い場所で、足場が滑らないことを確認してください。
- 無理をしない: 関節の可動域には個人差があります。「自分は今、石仮面を被っていない」という自覚を持ち、自分の限界を超えない範囲で楽しみましょう。
ジョジョ立ちの種類とやり方完全ガイド!難易度別ポーズ解説から元ネタの秘密まで
いかがでしたでしょうか。ジョジョ立ちの世界は、調べれば調べるほど奥が深く、単なる漫画の模倣を超えた「肉体表現の深淵」であることがお分かりいただけたかと思います。
この記事で紹介したポーズは、膨大なジョジョの歴史のほんの一部に過ぎません。第1部のクラシックなポーズから、最新の第9部で見せる現代的なスタイリッシュさまで、そのバリエーションは無限大です。
まずは鏡の前で、ジョジョの奇妙な冒険の単行本を片手に、自分のお気に入りのキャラクターの「ライン」を探してみてください。最初はその不自然さに戸惑うかもしれませんが、ピタリとポーズが決まった瞬間の快感は、何物にも代えがたいものがあります。
ポーズを通じてキャラクターの精神を理解し、日常の中に少しだけ「奇妙な」スパイスを加えてみる。それこそが、ジョジョという作品をより深く楽しむための近道なのかもしれません。さあ、あなたも「覚悟」を決めて、自分史上最高のジョジョ立ちを披露してみませんか?

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